ハナシは進んで、2人で新しくレコード店をはじめるコトは決まりました。
お店は、前回の記事に書いたように「できるだけ渋谷のレコ屋街のちかく」というコトも決まりました。がっ!しかし、ナイんですよ・・・空き物件が・・・。1999年の夏頃の時期です。
オイラは、まだ大阪に住んでいて物件探しのためだけに大阪〜東京間を何度か行き来していたのですが、全然レコード屋に適した物件が見つかりません。
それに渋谷の空き家物件を探しはじめた頃にイロイロと解ったコトがありました。
一般的に渋谷のレコード屋街と云われる周辺では、オイラ達と同様に「レコード屋をはじめたいっ!」って思う人達がすでに結構存在していて、空き物件の争奪戦になっていたのです。
通常は、秋物件探しといえば、不動産屋に出向いて「渋谷でお店をやりたいので物件を紹介してください」ってコトになると思うのですが、そんな方法で決まったエリア内でライバル多数が存在している中では、空き物件なんか絶対に出てきません。
もう紹介されるのは、ビルのマンションの一室ばかりです。
個人が小さなショップが出来る、手頃な家賃の物件となると、もう台所、風呂完備のマンションの一室を店舗にするしか選択がないのか・・・ってカンジでした。
である日、「紹介したい人がいるので東京にすぐに来てくれっ!」って相方に云われて出向くと1人のオジサンを紹介されました。
実はこの人、渋谷のレコード屋街周辺ではかなり知られた人で「レコード屋をやるにはこの人の紹介物件でしか出来ないっ!」って云われるような伝説の不動産屋さんなのでした。
当時は、渋谷レコード屋街エリアでは、オイラのような個人でレコード屋をやりたい人以外でも大手レコード店がライバル店よりも多くの店舗をエリア内で確保するために物件の取り合いをしているような状態でした。
競合店同士がこの伝説の不動産屋さんに接待攻勢するほど「ゼヒ、ウチに物件を紹介してくださいっ!」というちょっとヘンなコトになっているようでした。
で、オイラふたりで「レコード屋をこのエリアでやりたいんですっ!」って熱意をもって事情を説明すると「よしっ!わかった」といってボロいアパートの2階で営んでいる古着店を紹介されました。
どうやらこの古着店、売上がかんばしくない状態のようで、この伝説の不動産屋さんに「いい条件を提示してやるから店をたたんだらどうか・・・」ってハナシを通してもらったんですよね。
内装を居抜きで使うコトにして内装費用や退去費用をオイラ達が負担して物件を譲ってもらうコトになったワケです。
このボロいアパートの2階の古着屋が、next recordsのはじめの店にとなりました。
もうホントにこのはじめのボロいアパートの物件でレコード屋をはじめるコトは、とんでもなくラッキーでした。
CISCOからは歩いて数十秒の距離、さらにとなりの建物にもレコード店、向かいの建物にもレコード店、細い道路を挟んで直ぐ側にもレコード店というありえないくらいの好条件の物件でした。
もうひと目見ただけで「この立地はヤバスギルっ!」ってふたりで直感しました。
ふたりでレコード屋をはじめると言っても潤沢な資金があるワケないのでナケナシの財産を新しくはじめるレコード店に投入です。
店舗にばかりお金をかけるワケにはいきません、何故ならそもそもレコード自体が全然足らないからです。
相方は渋谷にすでに営業している店が渋谷タワーレコードの近くにあったのですが、不動産の契約で退去するまでに6ヶ月の間、営業を続けるためにその店のレコードを持ってくるコトが出来ませんでした。
そのために、ふたりでアメリカとイギリスを一度に廻るというちょっとかなり強硬な買い付けを敢行しました。
この買い付けはかなりしんどかったです・・・20年以上前のコトですが今でも、鮮明に覚えています、まぁ〜よくやったな・・・って思います・・・若かったしがむしゃらだったんでしょうね。
その時の買い付けでは、偶然出会うコトが出来た人から、元レコードプールのオーナーを紹介してもらったり、あるレコード店では、昨日デカいコレクションが入荷したばかりってというタイミングに遭遇したりと・・・しんどいながらもラッキーの連発でメチャイイレコードをたくさん仕入れるコトが出来ました。
買い付けたレコードが無事に届いてをそれらを商品化している最中も、まだ、レコード屋としてオープンしていないにも関わらず、渋谷を徘徊しているレコード好きな人たちが、ナゼかオンボロアパートの2階の場所に、次々と訪れてくるんですよ・・・。
どうやら作業の合間にかけているレコードのBGMを聴きつけてとなりのレコード店から買い物をして出てきたお客さんが「もしかしてレコード屋があるのか?」って訪れてくるんですよね。
で、年が明けて2000年の1月4日にnext recordsを渋谷で開店するに至るワケです。
今、フツーに考えると年が明けて正月休みの真っ只中にレコード屋をオープンさせるなんてちょっとおかしいと思われるかもしれませんが、実はこの当時、お正月時期というのはレコード店では1年を通して最高にレコードが売れる時だったんですよね。
当時、渋谷のレコード店は、元旦だけ休みで2日から営業していたワケです。
しかも、2日は「初売りセール」と称して、みんなが欲しいタイトルをその日の「初売りセール」に目玉商品としてぶつけて出すために、それらを目当てにしたレコード好きが近郊からソレこそ何千人も集まってレコードを買いまくる日でもありました。
ダースレイダー CISCO坂 PVより
もうホント、冗談抜きでこんな状況でした。next recordsのオープン初日は、まったく宣伝もナニもしていない状態で組み立てたばかりのエサ箱にレコードがまだスカスカの状態にも関わらずありがたいコトに多くの人にレコードを購入してもらうコトができました。
いまでは、ホントありえないコトですが、開店初月にしてレコード屋開店の費用を全額回収出来るくらいの売上があり、相方ふたりして大喜びしました・・・。
SERGIO MENDES / THE REAL THING
SERGIO MENDES / THE REAL THING の試聴
next recordsのサイトでSERGIO MENDESのレコードを探してみる
懐かしい今はなき、はじめのnext recordsの店内の様子
ドラマ、タイガー&ドラゴンよりというワケで、20年前のnext records開店に至る前のハナシを振り返って回想してみたのですが、改めて思うのですが「たまたまのタイミング」がホントに多いというコトをカンジます。
それにまさか、2020年の現在に至るまで同じレコード店を営むコトが出来るなんてその当時は、思いもしませんでした・・・。
前回、今回と書いたnext recordsのはじまりのエピソードの期間ってホンの1〜2年間のコトなんですよね。
渋谷でレコード店をはじめてからの20年の間にも店の開店以上の様々な出来事があったワケですが、いまだにレコード店を営み続けていられるのは、当店を利用してもらえたお客さんがいてこそ・・・って改めて思う次第であります。
渋谷の12インチシングル専門の中古レコード店next. recordsでは12インチシングルのレコードを買取をやっています!
ゼヒ、お気軽にお問い合わせください!
毎週、金曜日に新入荷のアナログレコードをサイトにUPしています。
このブログは、渋谷で唯一の12インチシングル専門のレコード屋、next recordsが、運営しています。