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コンニチワ、渋谷でオリジナル盤12インチシングル専門の中古レコード店を営んでいるNext Recordsです。

最近のアナログ人気のおかげで、零細中古レコード店である渋谷の当店にも「レコード…初めて買います!」という人が増えてきた。
オイラとしては嬉しい限りで、こんなに興味しんしんでレコード棚を眺める人たちを見るのはなかなか感慨深いものであります。

でも、その一方で、ちょっとした「スレ違い」みたいな場面にもよく出くわす。

このブログでもコレまでに何度か取り上げてきたミスマッチ問題ですね。

当店は オリジナル盤12インチシングル専門店。LP(アルバム)は基本扱っていないワケなのですが、これが初めて当店へ来てくれる方にはなかなか想像しづらいらしい。

レコード棚を眺めながら、

「え、アルバムは置いてないんですか?」
「これ全部12インチなんですね…?」
「曲が1〜2曲しか入ってないんだ…」

そんな声を聞くコトがよくある。
そして最後にこう言われてしまうのだ。

「自分、DJじゃないので…」

──これだ。
当店のコンセプトと、来店された方のイメージが、ココでスレ違ってしまうんですよね。

レコード=LP
12インチシングル=DJ用

この認識がメチャ強すぎて、「自分の範疇じゃない」って感じるようで結局ナニも買わずに帰ってしまうお客さんも少なくないワケです。

レコードの世界はもっと自由で、もっと面白いのになぁ…と、店主としてはもどかしさを覚える瞬間でもあります。

でも最近、このすれ違いこそ、オイラが一番伝えたい話の“入り口”なんじゃないかと思うようになったんですよね。


■ 12インチシングルは、本当にDJ専用なのか?

結論を先に言ってしまいますね。

「12インチシングルは、決してDJだけのレコードじゃない。」
むしろ、“家で聴けば聴くほどハマるフォーマット”だと思うんですよ。

これは長く店をやってきた実感でもあり、12インチシングルに魅了された1人の音楽好きとしての本音でもあります。

当店で12インチシングルを買っていく人のうち、本格的にDJ活動をしている人ってせいぜい2〜3割。残りの7割くらいはベッドルームDJや「自宅で好きな音楽を聴きたい」という純粋なリスナーだと思うんです。これは体感ではなく、ホボ確実な数字なんじゃないないかなぁ。

では、DJでもない人たちがナゼ12インチシングルを買うのか。
その理由は結構シンプルで明確だと思います。


■ 人は「思い入れのある1曲」に手を伸ばす

アルバムはアーティストの作品世界をまとめたパッケージだけど、シングルというのはアーティストが「この曲で勝負するぞっ!」と出してくる究極の一発です。

だからこそ、ラジオで流れたり、CMやドラマの主題歌になったり、クラブで繰り返しかかったりと、人の生活と交わる機会が圧倒的に多いんですよね。

結果として、その曲にまつわる自分の思い出が強く残る。

  • 10代の頃、初めて買ったCDがその曲がお目当てだった

  • ハートブレイクした時に聴いていた曲

  • この曲が流れたドラマのシーンが頭から離れない

  • クラブでかかって鳥肌が立つくらい盛り上がった瞬間にプレイされていた

  • ラジオのヘビロテで毎日耳にしていた

こういう曲ほど、12インチシングルを手に取る価値があると思うんですよ。

ナゼなら、12インチシングルでは 「その思い出の曲」 が、まったく違う姿で現れるからなんですよね。


■ 12インチの真の魅力は、曲の「もうひとつの姿」が聴けるコト

これは多くの人が意外に思うトコロだろう…。

同じ曲でも、

  • 展開が違う

  • 曲の長さが違う

  • ブレイクの深さが違う

  • イントロの構築が違う

  • ベースがメチャ太い

  • ドラムが前に出ている

  • バージョンそのものがまったくの別モノ

ということがザラにあるんですよ。

12インチの Extended Version はまさにその象徴です。
LPで聴き慣れた曲を骨格にしつつ、イントロやブレイク、アウトロが大胆に伸びている。

これはDJプレイを意識して作られている側面もあるけれど、自宅のスピーカーでリラックスしながら聴くと、むしろその「作り込み」の素晴らしさがよくわかると思います。

そして Remix はさらにもう一歩踏み込んだ世界です。

Remixerというのは、いわば職人のような存在で、彼らの手にかかると、その曲の「別の人生」が生まれる。

  • Arthur Bakerのアグレッシヴさをより強調したサウンド

  • Shep Pettiboneの高揚感溢れるドラマチックな展開

  • Larry Levanの空間ごと変えてしまうような再構築

  • François Kevorkianのエフェクトを利かしたダビーなアレンジ
  • Frankie Knuclesの優しいシンセとピアノの色彩

  • M&Mの削ぎ落とした精密なエディット

こうしたRemixの醍醐味は、12インチシングルでこそ最大限に味わえると思います。

そして何より面白いのは、こうしたアレンジの変化に、当時のダンスフロアのトレンドがそのまま刻み込まれているコトですね。


■ ブレイクパートこそ「その時代のリアル」が宿る場所

例えば80年代のRemixを聴けば、シンセベースの鳴りやスネアの質感で「あぁ、あの頃の空気感だ」とイッパツでわかる。

90年代NY Garage Houseの12インチなら、ストリングスの滑らかさやボトムの丸み、パーカッションの配置で当時のクラブの光景が思い浮かぶ。

Italo Discoなら、キラキラしたシンセ、跳ねるベース、甘いボーカルの残し方に“イタロ感”が滲む。

そして何より、どの時代も “ブレイク”がすべてを物語っている。

その曲がリリースされた年、その街、そのダンサーたちが何に熱狂していたか──
その空気をイチバン感じられる瞬間が、ブレイク・パートなんじゃないかな。

12インチシングルを自宅でじっくり聴いていると、そのブレイクの「間」がたまらなく良いんですよ。

これはクラブでの興奮とはまた違う、シッカリと味わう音楽の豊かさでもあります。


■ そして12インチシングル最大の武器。それは「音圧」。

これは実際に針を落とさないと伝わりづらいが、12インチシングルはLPより音溝が広く深い。
そしてその分だけ、音に余裕がある。

キックの存在感、ベースの押し出し、ハイのきらびやかさ。
どれもLPとは次元が違う。

同じ曲でも、12インチを聴くと、

「え…? ナンでこんなに違うの?」

と驚く人は本当に多い。

実際、有名な曲で例えるとMichael Jackson / Billie Jean の12インチシングルに収録されているLong Versionなんて、イントロを一瞬聴いただけで「うわっ!スゴッ!」ってホボ全員、目を丸くする。

音の輪郭、低音の沈み込み、展開の伸び方──
あれはLPでは絶対に得られない体験だと思います。


■ オイラが12インチシングルに目覚めた日──「東風」の衝撃

オイラ自身が12インチの魅力に取り憑かれたのは、まだ中学生の頃だった。

きっかけはYMOの「東風 (Tong Poo)」。
アルバムの曲は飽きるホド聴いていた。
でもたまたま中古レコード店で見つけたUK盤の12インチシングルは、値段も手頃で、試しに買ってみた。

「同じ曲だよな…」
ってそんな気持ちで針を落とした瞬間、スピーカーから鳴り響くそのサウンドはまったく違う世界の音だったっ!

イントロのシンセの音圧、ドラムの立ち上がり方、音の太さ。
どれもアルバムとは別物だった。

この衝撃が、オイラを12インチの世界に惹き込んだ。
そして今、レコード店をやっているのも、突き詰めればあの瞬間があったからだと言えますね。


■ お客様も同じ体験をしている

これは店頭でもよく見かける光景なんですが…

「この曲好きなんです」
「12インチもあるんですね」

と軽い気持ちで試聴すると、

「え、ナニこれ…めっちゃカッコいい…!」

と表情が変わる。

思い入れのある曲ほど、12インチシングルで聴くと結構化けるんですよ
そしてその瞬間に、12インチシングルっていうフォーマットの意味が一瞬で伝わる。


■ ビギナーさんにオススメしたい「最初の1枚」

もしあなたが12インチシングルの音をまだ聴いたコトがないなら、オイラがオススメしたいのはたった1つ。

すでに聴き馴染みのあるフェイバリットな曲の12インチシングルを選ぶコト。

知らない曲でなく、
新しいジャンルでなく、
まずは「思い入れのある1曲」の12インチシングル。

ナゼなら、その方が違いがハッキリわかるからなんですよ。

そして多くの場合──
その曲がもっと好きになる。

さらに12インチシングルは、同じタイトルでもプレス国ごとに違うバージョンがあったりする…それもまたLPにはない、12インチシングルならではの面白さでもあります。



PEACHES & HERB / FUNTIME
PEACHES & HERB / FUNTIMEの試聴
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■ 12インチは「DJのため」じゃなく「あなたのため」のレコード

最後にもう一度、ハッキリと言わせてくださいっ!

12インチシングルは、決してDJ専用のレコードじゃないっ。

あなたの「好きな1曲」をイチバン良い形で味わうためのフォーマットだ。

  • 音圧

  • 展開

  • バージョン違い

  • Remix

  • 当時の空気感

  • アーティストのコダワリ

  • Remixerのセンス & スキル

  • エンジニアの美学

その全部が、たった1曲にギュッと濃縮されて詰まっている。

アルバムが「作品の旅」なら、12インチシングルは「1曲への深いダイブ」と言えると思いますよ。

もしあなたが少しでも気になっている曲があるなら、その12インチシングルをゼヒ一度聴いてみてほしい…きっとコレまで聴いてきたレコードの世界観が変わると思いますよ。


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