
渋谷で12インチシングル専門の中古レコード店を営んでいるNextです。
フダン、店頭で接客しているワケですがホントにいろんなタイプのお客さんがご来店していただけます。
昔からレコードを買い続けてきたベテランのDJやコレクターはもちろん、最近は「レコード世代じゃない」若いお客さんも増えてきました。
やっぱりアナログレコードの人気が再燃しているという影響もあるケド、単純に「音楽って面白い」と素直に楽しんでいる若い世代の姿を見ると、オイラもなんだか嬉しくなります。
そんな中でも特によくあるのが、若いお客さんからのこんなリクエストです。
「良さそうなレコードをオススメしてもらえませんか?」
ん〜コレはレコード店主としてはウレシイご指名なんだけど、同時にけっこうな難問でもあったりします。
ナゼかというと、たとえば20代のお客さんがフダンどんな音楽を聴いているかを訊くと、
「最近のR&Bです」とか「K-Popです」だったり「チャートとかで流行っている曲です」
みたいな答えが返ってくるコトが多いんですよね。
ココが悩ましいトコロでもあるワケです。
当店にあるレコードのホトンドは 80年代〜2000年代初期にリリースされたオリジナル12インチシングル。
最新のトレンドのド真ん中の曲なんて、基本的に店頭には存在しないんですよ。
それでも一応プロとしてできる限り「そのお客さんのストライクゾーンに近いモノ」を探して紹介するんだけど、これがまぁ難しい…。
そして何より、オイラはココで 音楽の面白い現象 を目の当たりにする。
■ 最初は刺さらなかったのに、後から大好きになるという不思議
ある若いお客さんのハナシです。
フダンはストリーミングで最新の曲をメインに聴いているという20代前半の女の子。
「最近、レコードを聴き始めたんですけど、ナニを買えばいいかわからなくて…」
そんなカンジで来店していただいたワケです。
そこで「普段どんな音楽が好きで聴いてるんですか?」と訊いたトコロ、最新系のR&Bや軽めのTrap寄りのサウンドが多いらしい。
それでオイラも、限られた在庫の中から“最近の流行から遠くなさそうな12インチシングル”を何枚か選んだ。
もちろん、オイラなりに自信を持って選んだ曲ばかりです。
でも試聴してもらうと、反応は…うーん、正直イマイチといった雰囲気。
サビが来ても「…あ、はい…」みたいな感じで、全然刺さっていないのがアリアリと伝わってくるんですよね。
選んだオイラ側も「アチャ〜、刺さらなかったか…」と、ナンとも言えない心境になる瞬間であります。
だけど、「せっかくオススメしてもらえたらから…」と3枚のR&Bのレコードをご購入いただけました。
トコロがっ!
ひと月後に再び来店してくれたそのお客さんが、こう言ったのだ。
「この間オススメしてもらったレコード、家で何回も聴いてたらめちゃくちゃ好きになりました!」って。
いや〜、こういう話はレコード店主冥利に尽きますよね〜。
オイラも思わず「マジっすか!?」と思わず笑ってしまいました。
どうやら最初は「ピンとこない」とカンジていた曲が、家で繰り返し聴いているうちにだんだんと耳が慣れていき、「めちゃ良い!」に評価がひっくり返ったらしいです。
この現象、実は音楽心理学的にもちゃんと理由があるそうです。
■ “聴ける耳”は育つ──最初は理解できない音が、時間と経験でわかるようになる
耳って、音を拾うだけじゃなくて、“音楽をどう感じるか”まで決めてくれるセンサーみたいな器官でもあったりします。
そしてこの力は、
■ 経験によってどんどんアップデートされていく。
フダン最新の音楽ばかり聴いている人は、最新の音楽に最適化された耳を持っている。
逆に、80年代〜90年代の音楽をたくさん聴いて育った世代は、当時の音楽に最適化されている。
つまり、前述の若いお客さんは 「新しい音楽の耳」を持っていて、古い音楽を理解する準備がまだ整っていなかっただけというコトになります。
しかし、レコードを家で何度も繰り返し聴いているうちに、古い音楽のグルーヴや雰囲気、質感、コード感、アレンジの仕方など古い曲ならではの曲の構造に耳が慣れたんでしょうね。
その結果、
「古い音楽の文法を脳が理解できるようになった」というワケです。
これこそが 「聴ける耳が育つ」 というコトなんだと思うんですよね。
これは若い世代を見ていて本当にカンジるんですよ。
何度かそういった曲を聴いているうちにちゃんと耳が育っていくんでしょうね。
そしてその“育つスピード”がまた早いっ!
個人的にこういったお客さんの耳の進化を見るのがとても嬉しいんですよね。
■ では、なぜベテラン世代は“最新ヒットがわからない”と感じるのか?
ココからが今回のテーマの肝である。
当店にご来店いただける50代以上のお客さんからはこんな声を聞くコトがある。
「最近の若い人が聴いてる音楽の良さがわからんのよ…」
「BillboardのNo.1の曲が全然良いと思えないんだよね…」
これは別に“耳が悪い”ワケでもその人が“ガンコ”なワケでもない。
むしろ逆で、
■ 何十年も音楽を聴いてきたからこそ、聴ける耳を持っている。
だけど、その耳が
過去の音楽の文法に最適化されすぎている
という現象が起きているから新しい曲を聴いてそういった反応になると思われます。
コレどういうコトかというと——
● 若い頃に浴びた音楽が、一生の基準になる
● その基準に沿って脳が“予測モデル”を作る
● その予測と大きく違う音楽は、理解が難しい
例えば、80年代のSoulや90年代のR&Bで育った人は、
「サビの盛り上がり」「展開の多さ」「生楽器の豊かさ」を気持ち良いと感じる。
一方、今の音楽は
-
展開が少ない
-
メロディが少ない
-
同じコードで進む
-
ボーカルに加工が多い
-
低音重視
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空気感中心
-
TikTok仕様で尺が短い
若いころに慣れ親しんだ楽曲と構造からしてまったく違うんですよ。
つまり…
■ “良い音楽”の判断基準そのものが世代で違う
それによって、
「良さがわからない」「ピンとこない」という違和感が生まれているだけなんだと思うんですよ。
■ ベテランほど“比較してしまう”という落とし穴
ベテラン世代が最新の音楽を理解しにくいイチバンの理由は、
自然と過去の情報と照らし合わせてしまうからっていうコトがあると思うんですよね
これはオイラもめちゃくちゃ共感しちゃう部分ってあるんですよ。
たとえば最新のR&Bを聴いていても、
「この曲の展開は、〇〇っぽいなぁ〜」
「このビートの打ち方、90年代のAcid Jazzっぽいな」
「この声って昔の〇〇を思い出すなぁ」
みたいに、“既存の名曲と比較するモード” にすぐに入ってしまうんですよね。
若い世代はこれをやらない。
“比較できる過去の蓄積”がまだないからです。
つまり若い人は、
■ 音楽を“今この瞬間”の新鮮さで楽しむ
のに対し、何十年もレコードを聴きまくったベテランは
■ “過去との比較”で音楽を評価する
どちらが良い悪いではなく、耳の歴史が違うんですよね。
■ 「聴ける耳」は進化し続けたほうがイイと思う理由
オイラはレコード店主として、毎日イロイロな時代の音楽に触れているワケですがその中でつくづく思うのは、
■ 音楽は常に進化し続けている
■ だから「聴ける耳」もアップデートしたほうが楽しい
というコトなんですよね。
もちろん、昔の音楽の素晴らしさは揺るがない。
でも、今の音楽がダメというワケでもない。
むしろ現代の音楽には、現代ならではの発想や技術、感性が詰まっている。
それを拒絶してしまうのは、
せっかくの音楽の楽しみを自分で狭めてしまうコトにも繋がるんじゃないかな。 って思うんですよね。
なのでオイラ自身も、できるだけ
■ “柔らかい聴ける耳”
でいたいと思っているんですよ。
若い世代の柔軟さから学ぶコトも多いし、逆にベテランの耳の深みもまたありがたい。
■ 音楽は「わからない」からこそ面白い
若者が古い曲を好きになった瞬間も、ベテランが「最近の曲がわからない」と嘆くのも、その両方が「音楽の楽しさ」の一部だと思うんですよね。
最初は、全然わからなかった音が、ある日突然わかるようになる。
その瞬間に音楽の世界が広がる。
ストライクゾーンが広がった若いお客さんの様子を見る、オイラも胸がアツくなるんですよね。
そしてベテラン世代にはこう伝えたい。
「今の音楽を理解できないのは、あなたの耳が悪いんじゃない。むしろ“育ちすぎている”からこそ起きる現象なんです。」
そこに気づくだけで、音楽の聴き方が今よりも少し楽しくなるハズだと思うんですよね。
■ レコードは“耳を育てる最高のツール”
レコードの魅力って、音質だけじゃないと思うんですよ。
-
1枚をながら聴きではなくじっくり聴く
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自分の感覚で今の気持ちのレコードを選ぶ
-
当時の曲が生まれた時の背景を知る
-
そして時代を超えて音楽が繋がる
こういう体験そのものが「聴ける耳」を自然と育ててくれる。
だから、若い世代にもベテラン世代にも、オイラはレコードで聴くコトをオススメしたいなぁ〜って思うワケです。
柔らかい耳で、新しい音も古い音も楽しめるようになったら、音楽の世界は何倍にも広がると思うんですよ。
ABOVE & BEYOND / LOVE, LOVE, LOVEの試聴
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もしあなたが「最近の音楽がわからない」とカンジているなら、ぜひ一度、違う時代の音をじっくり聴いてみてください、何度か繰り返し聴いているうちにどこかで「あ〜ナルホド…」って思う感覚を得ることがあると思いますよ。
そして「昔の音楽をもっと知りたい」という若い方は、ぜひNext Recordsに来て試聴しまくってくださいっ!
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