渋谷レコード店日記 - アナログレコードコレクションのススメ

東京 渋谷の12インチシングル専門の中古レコード屋next. recordsで日々思ったコトやレコードについて書いてます

タグ:渋谷レコード店日記

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「レコードって最近また流行ってますよね?」
そんな一言から会話が始まるお客さんが増えてきた。

再評価、再発見、リバイバル…まぁ〜理由はいろいろあると思うけど、サブスク全盛の今だからこそ、
音楽を手で触る体験に魅力をカンジる人が確実に増えているのを、日々の接客の中で実感しています。

初めて来店した人が、
「また来ますっ!」
と言って、数週間後に再びご来店いただける…しかも毎回、数枚ずつレコードを買っていってくれる。

ん〜店主として本当にうれしい瞬間であります。、
その流れの中で、最近ちょくちょく訊かれる質問があるんですよ。

それが…

「レコードって、どうやって整理したらいいんですか?」


レコード整理は、実はめちゃくちゃ難しい

正直に言うと、オイラはこの質問に一言で答えられた試しがないんですよ。

ナゼなら、レコードの整理方法って 万人に通用する正解が存在しないと思うんですよね。

・持ち主の音楽の趣味は千差万別
・聴くジャンルも年代もバラバラ
・しかも気分は日によって変わる
・気づけば枚数はどんどん増える

最初は30枚だったコレクションが、いつの間にか100枚、300枚、500枚……時間の経過と共に無限大に増殖してゆくっていうのはレコード好きにはアルアルです。

それで「今日はあれを聴きたいっ!」って思ったのに、お目当てのレコードがドコにあるかわからない。
見つける前に疲れて、諦めてしまい結局いつもの1枚を聴くっていうパターンもお決まりですね。

「レコードは、どうやって整理したらイイの?」っていうこのお悩みの人も結構多いんじゃないでしょうかね。


よくある整理方法、でもどこかしっくりこない

一般的に知られているレコード整理法といえば、

  • ジャンル別

  • アーティスト名のアルファベット順

  • 年代別

レコード店の売り場も、ホトンドがこのスタイルで店頭に並んでいますね。

モチロン、これは間違いではないですよ、むしろ「戻しやすい」「探しやすい」という点では、とても優秀な整理方法だと思います。

でも、家でレコードを聴く時ってレコード好きは我々は本当にこうやって探しているだろうか?っていう観点からするとちょっと違うと思うんですよね。


人は「ジャンル」でレコードを探していない

認知心理学的に見ると、人がレコードを探すときの思考はこんなカンジのようです。

  • 今は夜だから、ちょっとメロウなやつ聴きたい

  • 雨の日に合う曲

  • 昔よく聴いてた、ちょっと懐かしいカンジの曲

  • 友だちが来るから、間違いないアガる曲

つまり、検索軸はその雰囲気やシーン、はたまたその日の天気や気分によって毎回変わっていると思うんですよね。

ジャンル → アーティスト → 曲 っていうお目当てのレコードへ一直線の探し方っていうのは、実はかなりレアなんじゃないでしょうかね。

ココでオイラは気づいたんですよ。

レコード整理って、「収納」じゃない。
情報設計 なんじゃないか?って。


レコード整理=情報設計という考え方

情報科学の世界では、「情報そのもの」よりもどうアクセスできるかってコトが重要視されるそうです。

レコード1枚には、

  • 音(音楽)

  • ジャケット(視覚情報)

  • プレス国・年代(背景)

  • 自分の思い出・使いどころ

こういったカンジの情報が詰まっているんだケドそれを「棚をきれいに並べる」っていうだけで解決しようとするから、ムリが出るんじゃないのかって思うんですよね。


たどり着いた答え:「レイヤー分離型レコード整理法」

オイラ自身、散々試行錯誤した末に、「コレはイイんじゃないのか」っていうレコード整理の考え方があるんですよ。

それが
レイヤー分離型レコード整理法

まぁ〜気取ったそれっポイネーミングだけどやっているコトは、意外と全然シンプルなんですケドね。


固定棚と可動棚(箱)を分ける

まず、すべてのレコードには正式な住所を与える。

これが「固定棚」です。そこには下記のようなカンジで分類するワケです。

  • フォーマット別 (アルバム・12インチシングル・7インチシングル)

  • ジャンル → アーティスト順

ココの並びは個人の感情をまったく入れないようにします。もうシンプルにアルファベット順で並べるワケです。
で大事なのはレコードを戻す場所が常に同じであるコトが最優先になります。

例えばMichael JacksonのThrillerなら「Pops」や「Soul」ジャンルの「M」の棚に必ず入れるワケです。コレはもう絶対にココに入れると決めたらそのレコードの固定の住所となります。

そして、もうひとつ用意する。

それが 可動棚(用途別セレクション箱)というワケです。


可動棚(箱)とは「今の気分」を入れる場所

可動箱には、

  • 最近よく聴く盤

  • 今ハマっている音

  • シーン・シュチュエーション別

  • DJ用

その時々の気分や用途に合ったレコードを複数枚選抜して入れる。この選抜する枚数は人によりますケド、オイラの経験では選抜する枚数が増えるとルーズになりガチなのでパッと選べるくらいの枚数がベストだと思います。

で、ココがミソで、「その可動箱には絶対に永住させない」というコトが大事です。

一通りの役目が終わったら、必ず固定棚に戻すというルールを徹底するワケです。

棚は静的にそして体験は動的にという分け方です。

この分離ができた瞬間、レコード整理が一気に楽になると思うんですよね。

コレ、DJプレイをする人ってこういった分類の仕方をしているんじゃないでしょうかね。

キチンと分類されているレコード・ライブラリーから目的のプレイに応じてセレクトしたレコードを選抜して箱に入れてゆくというコト。

コレをアレンジしたカンジの分類となります。


さらに効いてくる「一行メモ」

そして、もうひとつ…オイラが本気でオススメしたいのが「一行メモ」です。

これは、レコードに直接貼る必要はなくって下記のようにします。

  • ノート(アルファベット順に一行のメモを書き留める)

  • カードやラベルシール(ジャケット貼ったり、入れたりする)

  • スマホのメモ

  • Discogsのコレクション「note」欄

自分のスタイルにあったらどれでもイイと思います。

で、書くのは、

  • どんな気分に合うか

  • どの時間帯がいいか

  • A面よりB面

  • 使ったときの印象

たった一行でいいと思います。あんまり長く書くと義務感が出てきて面倒になりますからね。

で、この時に書いた一行が、あとから効いてくる。


枚数が増えるほど、メモは「財産」になる

100枚くらいまでは、正直、記憶でなんとかなると思います。

でも500枚、1000枚を超えてくると、記憶は必ずこぼれ落ちてきます。

その時に、過去の自分が残した一行が、未来の自分を助けてくれるワケです。

「そうそう、この盤、こんな時に良かったんだ」みたいなカンジですね。

レコードの整理が、自分の音楽遍歴を辿る行為に変わる瞬間でもあります。


規模別・レイヤー分離型整理の考え方

100枚規模

  • 固定棚:シンプルにアルファベット順でOK

  • 可動箱:1箱

  • メモ:気軽に

500枚規模

  • 固定棚:ジャンル設計が重要

  • 可動箱:用途別に2箱

  • メモ:判断のために必須

1000枚以上

  • 固定棚:完全固定

  • 可動箱:最大3箱

  • メモ:第二の脳

枚数が増えるほど、動かさない領域を強くするのがコツとなります。要するにレコードを動かしても元の場所にキチンと戻さなかいから行方不明になっちゃうんですよね。なのでその時の気分によって聴くレコードと今は聴かないレコードを分けるという考えです。


レコード整理は「完成」しない

でオイラは思ったんですがレコード整理は、「完成しない前提でやるもの」ナンじゃないのかって。

なぜなら、

  • 趣味は変わる

  • 聴き方も変わる

  • 人生も変わる

だからこそ、動かせる余白を残すんですよ。


物理はシンプルに、意味は自由に、記憶は外部化する

そしてこれが、長期に渡って大量のレコードをコレクションしていて様々な並べ方を試してきた今のオイラの結論だ。

  • 棚は静的

  • 体験は動的

このバランスが取れたとき、レコードは増えても破綻しない趣味になるような気がします。



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渋谷の店で、こんな話をよくしてます

オイラの店では、レコードを売るだけじゃなく、こんな整理の話もよくしている。

「コレだっている正解はナイですよ」
「でも、楽になる方法はありますよ」

そんな会話をキッカケに、またレコードを楽しんでもらえたら、店主としてこれ以上うれしいコトはないですね。

もし今、レコードの整理でちょっと立ち止まっているなら、今日のハナシをヒントに、自分なりの並べ方を考えてみて欲しいなぁとも思います。

レコードは聴くだけでなく並べたり選んだりっていうコトもレコードコレクションの大事な楽しみのひとつですからね。



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あけましておめでとうございます。
2026年もスタートしました。

今年もNext Recordsは変わらず、
「こんなイイ曲があったなんて!知らなかった〜」
と、思わず声が出てしまうような良質なオリジナル盤12インチシングルを紹介できるよう、渋谷の片隅で黙々とレコードを掘り続けていく所存でございます。

どうぞ今年も、ご贔屓に。


新年の一本の電話から始まった違和感

年末年始の休業中、地元の友人から新年の挨拶を兼ねた電話がかかってきました。
もう何十年の付き合いになるヤツで、昔は一緒にレコード屋を巡ったり、夜な夜なクラブやライヴに出向いて音楽のハナシで盛り上がったりした仲です。

近況報告をひと通り終えたあと、向こうが少し間を置いてから、こんなことを言い出しました。

「なあ……最近、レコードで音楽聴いてるんだよ」

思わず「は?マジで?」…正直、ちょっと驚きました。
というのも彼はオイラと同世代で、80年代は完全にアナログ世代。けれど90年代に入ってCDが主流になると、レコードからは自然と距離を置き、その後はiPod、そして今ではスマホ & サブスクというごくごく一般的な「現代的リスニングスタイル」を長年続けていたからです。

そんな彼の口から、今さら「レコード」というコトバが出てくるとは思っていなかった。


バーで流れていた「ただのBGM」が心を揺さぶったハナシ

彼のハナシを聞くと、キッカケはとても些細な出来事だったようです。
仕事の帰りに会社の同僚と入ったバーで、たまたま店内BGMとしてアナログレコードがかかっていたそうなんです。

特別な選曲でもなければ、オーディオがとんでもなく高級だったワケでもない。
ただ、レコードで音楽が流れていただけ。

それなのに彼は、その音に妙に心を掴まれたと言っていました。

なんだか昔の感覚がフラッシュバックしたらしいとのコト。

「ナンカさ…音がさ…理由は分からないんだケド……めちゃくちゃ良く聴こえたんだよなぁ」

この「理由は分からない」というコトバ。
オイラはここに、今回の記事のテーマが全部詰まっている気がしました。


なぜ「レコードの音」は記憶に残り続けるのか

その日以来、バーで聴いたレコードの音がずっとアタマから離れなかったそうです。
仕事中も、家に帰ってからも、フトした瞬間にその時聴いたレコードの音を思い出すみたいなカンジだったそうです。

そしてついに我慢できなくなって、レコードプレイヤーを購入。アンプとスピーカーを揃え、自宅でレコードが聴ける環境を整えた、と。

当然オイラがレコード屋をやっているコトは知っているんですが、オーディオ選びについては相談できなかったらしい。

「なんかさ……プライドが邪魔してさ(笑)」

まあ、その気持ちも分からなくはない。
オーディオとか音楽って、妙に自分の領域を守りたくなるものですからね~(笑)


家で聴くレコードの音はやっぱり格別だった & 日常の変化

そして実際に自宅でレコードを聴いてみた彼は、こう言いました。
「やっぱりさ、家で聴いても音が全然イイんだよなぁ~」って。
今では奥さんも一緒にレコード屋巡りをして、休日に盤を掘るのが楽しみになっているそうです。
残念ながら彼の趣味は当店では扱っていないジャンルなので、ウチでは買ってもらえていませんが(笑)、それでもレコードを愛する人が身近に増えたコトは、オイラとして素直にウレシイ出来事でした。

ただ、電話口で彼が何度も繰り返していたコトが、ずっと引っかかっていました。

「レコードって、音がイイよな〜」


レコードは本当に「音がイイ」のか?

オイラにとっては、もはや当たり前すぎるそのコトバ。
でも、あらためて考えてみると、これはなかなか不思議な評価です。

レコードは、音溝とレコード針が物理的に擦れ合うという、かなり原始的な仕組みで音楽を再生しています。摩擦がある以上、ノイズは避けられないワケです。さらにホコリの影響も受けやすいし、再生環境によって音は大きく変わるという事情もあります。

音響的・工学的に見れば、CDやデジタル音源のほうが圧倒的にクリアで正確だと思うんですよね。

それなのに、なぜ多くの人が
「レコードの音はイイ」
と感じるのでしょうか。
ホントにレコードって音がイイのか?それって、どういう意味で?
そういったコトがちょっと気になったんですよね〜。


人は音質を「感情のフィルター」で判断している

自分なりに考えてみて行き着いた答えは、レコードの音の評価って、人間特有の感情や知覚のクセに大きく左右されているんじゃないのか…というコトでした。

人は「音質を評価しているつもり」でも、実際には
感情、身体感覚、記憶、体験――
といった人間特有のフィルターを通して音を聴いています。
コレは、意識しなくても音楽を聴くとう行為事態がもう確実に自分のメモリーに何らかの作用をもたらしますからね。

つまり、音質とは
音そのもの+感情+体験の総和…なんじゃないかと思うんですよ。

レコードにはチリノイズやパチパチ音とかがあります。
コレは音響的には確実にマイナスなんだけど、そういったノイズを人間の感覚は生々しさや空気感としてプラスに働くコトがありますよね。
これは錯覚ではなく、人間の脳の自然な働きなんじゃないかなって思うのです。


レコードを聴くという「体験型」の音楽の楽しみ方

スマホとイヤホンで音楽を聴く行為は、今や水を飲んだり息をするのと同じくらい、無意識に近いものになっているとも思います。

一方で、レコードを聴くという行為はちょっと違うカンジがするんですよね。
レコード棚から盤を選び、ジャケットを眺め、慎重に針を落とし、回転を眺める。

この一連の動作そのもの…要するに今からレコードを聴くモードに入るというのが、音楽体験を特別なモノにしているって思うんですよね。
レコードの音が良く感じられる理由は、音だけでなく、この「体験」が深く関係しているのだと思います。


レコード屋という場所も、音楽体験の一部

レコード店に足を運び、棚を眺め、知らない盤に出会う。
ジャケットに惹かれてたり、クレジットを読んだり、お店のレコメンドを読んだりして購入する。

こうした「聴く前の体験」も含めて、レコードの音は評価されているという部分もあると思うんですよね。
オイラ自身の体験としても学生の頃に頻繁に通っていたレコードや数えるホドしか訪れたコトがない海外のレコード屋でどんなレコードを買ったとかって結構、思えていますしね。

また最近、オイラがインスタで紹介したレコードが結構な割合で購入されているのも、音楽と一緒にそのストーリーや文脈を届けられているからなのかなぁってカンジるんですよね。


12インチシングルというフォーマットの魅力

ちなみに、
12インチシングルは特にこの「体験性」が結構強いと思うんですよ。

・音圧
・グルーヴ
・空間の広さ

といった、まぁ~理屈もありますがそれ以上に
「針を落とした瞬間の説得力」が違うってコトです。

クラブミュージックやダンスミュージックが12インチでこそ本領を発揮する理由も、ココにあると思うんですよね。


レコードの音がイイという評価は、間違いじゃない

「感情に左右されている」と聞くと、錯覚とか、思い込みとか、ネガティブに感じるかもしれません。

でもオイラ個人的には、それを間違いだとは思わないんですよね…少しでも感情が動いたなら、それは立派な音楽体験だと。

音楽を「聴く」のではなく、「体験する」

今回このテーマを書いていて、オイラ自身、思ったのは、レコードで音楽を楽しむというのは、純粋に音楽を聴くというより、レコードで音楽を体験するコトなんだなぁっというコトでした。

NEW ORDER / SUB-CULTURE
NEW ORDER / SUB-CULTURE の試聴
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2026年も、埋もれた名盤を掘り続けます

2026年も、とても良い曲なのに埋もれてしまっているレコードを、1枚でも多く紹介できるよう、Next Recordsは掘り続けますっ!

渋谷で、12インチシングルに特化した、ちょっと変わった中古レコード店ですが、音楽を「体験」しに、ふらっと遊びに来てもらえたら嬉しいです。

今年も、どうぞよろしくお願いします。

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渋谷の12インチシングル専門の中古レコード店、ネクストレコードです。
2025年の最後の「渋谷レコード店日記」への投稿となります。

2025年も、気がつけばもう年の瀬ですね…。
レコード屋をやっていると、年末だからといって特別な区切りがあるワケではなく、今日もいつも通りレコードをクリーニングして、コメントを書いて、梱包 & 出荷をしてレコード針を盤面に落とし、お客さんと音楽のハナシをして1日が終わるってカンジです。
それでもこの時期になると、毎年思うのが「今年はどんな1年だったんだろう…」って、フト立ち止まって振り返りたくなる瞬間があります。

2025年は、アナログレコード界隈にとって特別、派手なニュースが多かった年ではなかったかもしれませんね。
ですが、渋谷でオリジナル盤の12インチシングル専門店を営んでいると、世間で言われる数字やトレンドだけでは語れない、静かだけれど確かな変化を、日々の接客や会話の中で感じる1年でもありました。

「オススメのレコードはナニですか?」とか「12インチシングルって家で聴いても楽しめますか?」ナンて質問を今年は、これまで以上によく耳にしたような気がします。
また値段やレア度ではなく、「どう聴くか」ってコトや「ナゼ、この盤に惹かれるのか」を確かめるようにレコードを選ぶ人が、結構増えてきた印象がありました。

試聴用のQRコードをスキャンして、黙々と試聴している人や1枚の12インチを手に取って、レーベルやジャケ裏のクレジットを眺めながら長い時間悩む人や「探していたレコードが見つかりましたっ!」って行って嬉しそうに買える人などなど…2025年の店頭には、そんな光景が日常的にありました。

このブログ「渋谷レコード店日記」では、今年もレコードそのものの魅力だけでなく、店を続けていく中で感じたコトや集客の工夫、Webでの試み、そしてナニよりもレコードを通して生まれた「多く人とのやり取り」を綴ってきました。

この記事では、毎年恒例の2025年という1年を振り返りながら、アナログレコード界隈で起きていたコトや渋谷という場所でレコード店を続けていてカンジた変化、そしてNext Recordsとして大切にしてきた考え方についてちょっと整理して書いてみようと思います。

全然ハデな成功談やノウハウのハナシではありませんが、レコード屋の日常の中で見えてきた、今のアナログレコードのリアルな現場感を、今年の締めくくりとして残しておきたいと思います。



2025年、レコードは「集めるモノ」から「向き合うモノ」へ

2025年を振り返って、真っ先に思い浮かぶのは、レコードの買われ方が静かに変わった1年だったんじゃないかなぁ〜っていうコトです。
値段、レア度、相場、ディスコグラフィー、そういった情報が重要でなくなったワケではありませんが、それらを最初の判断基準にしない人が、明らかに増えてきた印象がありました。

今年、店頭でよく目にしたのは、1枚の12インチを何度も手に取っては戻し、試聴して、またジャケットを眺める、そんなカンジでレコードを買っていかれる人が多かったような気がします。
ナンていうか「この1枚と、ちゃんと付き合っていけるかなぁ」ってコトを確かめるように買って帰る人が増えてきたかもしれませんね。

「今日はコレを買っていますっ!」そう言って店を出ていくお客さんの表情が、とても印象的な1年でもありました。

アナログレコードの価格高騰や、海外からの買い付け需要、SNSやDiscogsの影響など2025年も相変わらず、レコードを取り巻く外側の環境は目まぐるしく動いていましたね。
だけど、その一方で、店頭に立ってカンジていたのは、レコードそのものと向き合う時間を取り戻そうとする人の増加でした。

12インチシングルは、アルバムよりも曲数も少なく再生時間も短い。
それでもレコード針を盤面に落とした瞬間の音の立ち上がりや、ミックスの構造、低域の押し出し方まで含めて「1曲と向き合う」には、これ以上ない究極のフォーマットだと思います。
今年は、その魅力に気づいた人が、ゆっくりとしかし確実に増えていったようなカンジがしましたね。

ん〜レコード店主的には、ウレシイかぎりであります。

Next Recordsがオリジナル盤の12インチシングルにコダワリ続けている理由も、2025年はより明確になりました。

「たくさん持つ」ことより、「深く聴く」こと。
この価値観が、少しずつ共有され始めた1年だったんじゃないかなって思う年でもありました。


渋谷という場所で見えた、2025年のリアル

2025年の渋谷は、相変わらず人が多く、街のスピードもメチャ速かったです。

というか、ココ数年は毎年人が多くなっていますケドね〜。

相変わらず街の再開発は続き、スクランブル交差点の景色も、少しずつ見慣れたものに変わっていきましたね。
だけどレコード屋の店内に一歩入ると、その喧騒とはまったく別の時間が流れていたようにカンジます。

今年、特に印象的だったのは、海外からのお客さんの変化です。
数年前まで多かった「短時間で何枚も買っていく」スタイルよりも、
2025年は、1枚1枚を試聴し、コメントを読み、こちらのハナシを聞いてから選ぶ人が明らかに増えました。

「日本のレコードは安いから買う」
そんな理由だけで来店する人は、ほとんどいません。
むしろ、

「なぜこの盤を勧めているのか」
「当時、どんな場所で鳴っていた音なのか」

そういった背景や文脈に興味を持つ人も多く、会話の密度は確実に濃くなっています。

これは、渋谷という街が持つ情報の集積地としての側面とも無関係ではナイって思うんですよね。
ん〜ナンていうか世界中の音楽が、リアルタイムで集まり、消費され、更新され続ける場所みたいなカンジかなぁ。
だからこそ、あえて「カンタンに手に入らないもの」「カンタンには理解できないもの」に価値を見出す人が集まってくるみたいな風になっているのかもしれませんね。
2025年の渋谷では、そんな空気を強く感じました。

日本人のお客さんにも、同じような変化がありました。
特に印象に残っているのは、20代〜30代の方が、12インチシングルを「DJ用のツール」ではなく、「家で聴く音楽」として選んでもらえるようになったコトです。

「アルバムはストリーミングで聴いているけれど、ホントに好きな曲は、ちゃんと盤で聴きたいんです。」

そんなコトバを、今年は何度も聞きましたからね。
渋谷という街で、無数の音に日常的にさらされているからこそ、自宅でレコード盤に針を落とす数十分の時間が、特別なものになっているのかもしれませんね。

Next Recordsは、決して大きな店ではありません。
在庫量で勝負できるワケでも、派手なディスプレイがあるワケでもない。
それでも2025年、ここ渋谷で店を続けていて感じたのは、「速い街だからこそ、立ち止まれる場所が必要とされている」という実感でした。

渋谷という場所は、レコード文化を消費する街でもあり、同時に、もう一度レコードと向き合い直すための入口でもある…みたいなカンジもあるような気がします。
2025年は、その両方の顔が、これまで以上にハッキリと見えた1年だったように思いますね。



売るために選ばなかった選択

振り返ってみると2025年 レコードを取り巻く環境は、決して楽なものではありませんでしたね。
価格は上がり、仕入れは難しくなり、情報はあふれ、選択肢はいくらでもある。
「売ろうと思えば、もっとやりようはあった」って正直に言えば、そう思う場面も何度もありました。

・値段を少し下げる。
・まとめ買いを促す。
・流行っているタイトルを前面に出す。
・SNSで分かりやすい強いコトバを使う。

どれも、間違ったやり方ではないと思いますよ。
実際、それで結果を出している店や人もたくさんいますしね。

それでも2025年、Next Recordsでは、あえて選ばなかったコトがいくつもありました。

たとえば、「とにかく回転を上げる」ための売り方とかですね。
短期間で在庫を動かすことよりも、「この盤が、ちゃんと次の持ち主に届くコト」を優先しました。
その結果、同じレコードが何週間も、時には何ヶ月も店に並び続けるコトもあります。

でも、その時間こそが、そのレコードにとって必要な待ち時間なのかもしれないなぁ〜って思っています。

また、分かりやすいランキング記事や、「これは絶対買いですっ!」といった断定的なコトバも意識的に使いませんでした。
代わりに書き続けたのは、

この曲の良いトコロとか魅力的な部分だとか、どうしてこの音に惹かれたのかやどんなシーンで聴いてみたくなるのかナンてカンジの主観的で、少し遠回りなコトバです。

コレは、オイラがインスタグラムで毎日1枚レコメンド記事を書いているコトが少なからず影響していたと思います。

まぁ〜効率は決して良いとは言えませんケドね。
でも、その文章を読んで来店してくれた人との会話は、驚くほどスムーズで、深かったんじゃないかなぁって思います。
「この店の考え方が好きで来ました!」
ありがたいことにそう言ってもらえるコトも2025年は何度もありましたね。

レコードを売るために、解りやすくするコトや売るために、間口を広げるコト。
そういったコトよりも…
売るために“削らなかったコト”
売るために“曲げなかったコト”
それらが、少しずつ信頼として積み重なってきたかもしれない1年だったように思います。

レコードは、急いで売らなくてもいい…むしろ、急いで売らない方がいい場合もありますからね。
2025年は、そんな当たり前のようで忘れがちな感覚を、何度も思い出させてくれる1年でした。

Next Recordsが選ばなかった選択は、遠回りに見えるかもしれませんね。
でも、その遠回りの途中でお店に立ち寄ってくれる人がいる限り、このやり方は、間違っていなかったんじゃないかなぁって思います。



Webと実店舗、そのズレと可能性

2025年も、Webと実店舗の両方でレコードを扱い続けてきました。
毎週このブログを書き、毎日インスタグラムで発信し、Webサイトを更新しながら、同時に渋谷の店頭に立ってお客さんと向き合う。
この二つを並行して続けていると、どうしても見えてくる「ズレ」があります。

Webでは、反応があるのに、店頭ではまったく動かないレコード。
逆に、Webにはほとんど反応がないのに、店頭で試聴した瞬間に「これください!」と即決される12インチ。
2025年も、その差を何度も目の当たりにしました。

写真やテキストでは伝わらない音。
再生した瞬間の迫力のある低域の押し出し感やアレンジの空気感や針を落としたときのインパクトとか
12インチシングルの本当の魅力は、どうしても音が鳴った瞬間にしか伝わらない部分があります。

一方で、Webだからこそ伝えられるものも確実にありました。
そのレコードをどうして仕入れたのかとか、ナンで今この盤をオススメているのかみたいな店頭では時間の関係で説明しきれないコトも、文章なら、ちゃんと残すことができますしね。

2025年にあらためて感じたのは、Webは「売る場所」ではなく、「考え方を共有する場所」として使う方が、結果的に、実店舗とも良いカンケーを築けるというコトでした。

ブログを読んでから来店する人は、すでにこちらのスタンスを理解してくれています。
だから、説明は少なくて済むし、会話は深くなる。
「とりあえず見に来た」ではなく、「この店で買う理由を持って来た」っていう人が増えたのも、2025年の特徴でしたね。

Webと実店舗は、同じ役割を担う必要は全然なくって、むしろ役割が違うからこそ、お互いに補い合える部分ってあると思うんですよね。
Webは、考え方や背景を伝える場所。
実店舗は、音と向き合う場所。

そのズレをあえて無理に埋めようとしなかったコトが、結果的に、Next Recordsらしさをよりハッキリさせてくれた1年だったように思います。

2025年は、「Webで完結するレコード屋」でもなく、「実店舗だけで成立するレコード屋」でもなく、
そのあいだを行き来しながら、関係を育てていくやり方を、少しずつ手探りでカタチにできた1年だったような気がしました。



で、2026年に向けて、店として考えているコト

2025年を振り返って、あらためて思うのは、レコード屋にとってやっぱりイチバン大切なのは、「何を売るか」よりも、「どう続けるか」なのだというコトなんじゃないかなぁ〜って思うコトです。

扱いレコードの枚数が増えなくてもイイ。
流行に乗らなくてもイイ。
すべての人に届かなくてもイイ。
だけど、ちゃんとレコードの音と向き合い、ちゃんと人と会話ができる場所であり続けたいなぁって思うのです。
2026年に向けて、Next Recordsが考えているのは、シンプルにそれだけかなぁ。

12インチシングルというフォーマットは、便利でもなければ、決して解りやすいアイテムでもありません。
でも、レコード盤に針を落とした瞬間にしか伝わらない情報っていうのが確かにあると思うんですよね。
その体験を、これからもていねいに手渡していきたいと思っています。

Webでは、引き続きハデな情報よりも、レコード店の背景や考え方、時には迷いも含めた記録を残していくつもりであります。
数字や反応を追いかけスギず、数年後に読み返した時に、
「結構、ちゃんと考えながらやっていたんだなぁ…」と思えるような文章を綴っていこうと思います。

店頭では、これまでと同じように、急がず、押しつけず、1枚1枚のレコードと向き合う時間を大切にしていきたいですねぇ…やっぱり。
レコードを買う理由は、人それぞれでイイと思うんですよ。
ただ、その理由に寄り添えるお店でありたいなぁ〜って思います。

2026年、アナログレコードを取り巻く環境は、タブンきっとまた少し変わっていくと思います。
価格も、流通も、聴かれ方も…でも、どんな時代になっても、「レコード盤に針を落とす」という行為そのものが持つチカラや魅力は、変わらないハズです。

Next Recordsは、そのチカラを信じて、これからも店を続けていきます。
レコードが「流行っているから」ではなく、「ちゃんと向き合いたいから」選ばれる場所として存在したいなぁって思う次第であります。

STARGARD / WHICH WAY IS UP
STARGARD / WHICH WAY IS UP の試聴
next recordsのサイトでSTARGARDのレコードを探してみる

この1年、ブログを読んでくれた方、店に足を運んでくれた方、
音楽・レコードのハナシをしてくれたすべての人に、感謝を込めて。
2026年も、渋谷でレコードと向き合い続けますのでゼヒ、渋谷ネクストレコードをご贔屓にしていただけますようヨロシクお願い申しあげますっ!


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インバウンド時代に12インチ専門店主が感じているコト

2025年も、気がつけば年の終わりが見えてきましたね。
東京・渋谷でオリジナル盤12インチシングル専門の中古レコード店をやっている当店にとって、今年は間違いなく「これまでとは違う1年」でした。
売上もコロナ禍明けから比べるともっとも多かったし、ナニよりもこれまでで一番多くの枚数のレコードが店頭から旅立っていきました。

でも──
売れれば売れるホド、心のドコかに引っかかる感覚が残るようになったのも、また事実なんですよね。


売上は結構イイのに、なぜか素直に喜べない

レジで会計をしながら、スカスカになったレコード棚を見つめていると、フト頭をよぎるのは、
「コレ、本当に喜んでいい状況なんだろうか?」
という疑問でした。

売上が伸びているのは間違いないんですよね〜でも同時に、レコードが異常なスピードで減っているコトも、現場に立っているとまざまざとカンジてしまう。

「売れている=良いコト」
その単純な図式では片付けられない違和感が、今年はずっと頭の片隅にありました。


免税店化と、想定外に当たったインバウンドの波

当店は、2018年に2020年開催される、東京オリンピックを見据えて免税店化しました。
「これから外国人が増えるだろう」という、わりと単純な読みです。

結果はご存知の通り、コロナでその見込みは完全にハズれました。

ところが、コロナ禍が明けてから状況は一変します。
2024年は、とにかく海外からのお客さんがメチャ増えたんですよね。
そして2025年は、その勢いがさらに増しています。

ニュースでは、2025年11月時点で、すでに前年(2024年)の訪日外国人数を超えたと報じられていました。
政府はインバウンドを「成長産業」と位置づけ、2030年には訪日客6,000万人を目指しています。

この流れは、一時的なブームではないようです。


海外から見ると、日本のレコードは「4割引〜半額」

海外から来たお客さんとハナシをしていると、ある共通した感覚が見えてきます。
彼らにとって、日本の商品は自国の物価感覚で見ると「だいたい4割引から半額くらい」にカンジられている、というコト。

これは感覚論ではなく、ビッグマック指数のような物価比較で見ても、かなり実態に近い数字です。

当然、レコードもそれに近い感覚のようです。
日本人からすると「まあ妥当かな」という価格のレコードの価格が、彼らの目には「この状態で、この内容で、この値段?」と映っているみたいです。

だから、1人で10枚、20枚という買い方が当たり前になる、時には30枚、50枚とまとめて買っていく人も結構いる。

その光景を見ながら、オイラは「スゴい勢いだなぁ」と思う一方で、ドコか落ち着かない気持ちにもなっていました。


Discogsが世界標準価格になった時代の歪み

今のレコード市場を語る上で、Discogsの存在は避けて通れません。
気がつけば、世界中の人がレコードの価格相場を確認するためにDiscogsを見る時代になっています。

だけど、ココには明確なズレがあります。

Discogsの価格って世界的なニーズでだいたいコレくらいの相場観…みたいな根付になっています。

一方、ヤフオクの落札価格は「日本」という限られたマーケットでのそのレコードが求められるニーズがその落札価格になっているコトが多いです。

一概には言えませんがDiscogsの世界マーケットで販売されている価格よりもヤフオクの日本マーケットで販売されている価格の方が安いケースが多いようにカンジます。

Discogsの価格が、そのまま日本の市場にフィットするワケではない…というコトです。

実際に、ヤフオクの落札価格とDiscogsの販売価格を見比べると、
「同じ盤なのに、こんなに違うのか」と驚くことは珍しくありません。

最近では、ヤフオクに出品したレコードが、落札代行業者を通じて海外へ流れていくケースも増えています。

コレは、海外のレコードコレクターたちが自分では入札出来ないヤフオクに落札代行業者から購入しているというコトですね。

海外のレコードコレクターは代行業者に落札手数料と日本からの送料を払ってでもDiscogsから購入するよりもお得であるというコトなんでしょうね。

一方オイラ自身、レア盤が出品されていないか時々eBayをチェックしているのですが「コレはっ!」って思うレコードをウオッチして入札してもことごとく競り負けちゃいうんですよね。

コレは要するに日本のレコードマニアの購入力が世界のレコードマニアの購入力よりも弱いってコトなのかもしれませんね。

トーゼンeBayで入札している人もそのタイトルの相場観を分かった上で入札しているワケです。

コレはあるイミ、Discogsの販売価格が完全に世界のレコードマーケットに影響しているコトになるんでしょうね。


日本は、かつて世界屈指のレコード消費国だった

実は日本は、70〜90年代にかけて、世界でもトップクラスのレコード消費国でした。
当店がメインで扱う洋楽の12インチシングルも、国内盤・輸入盤ともに大量に流通していた時代があります。

そして日本人は、レコードをとても大切に扱ってきました。
保管は丁寧で、盤もジャケットも状態がメチャ良いものが多い。

だからこそ、
「世界中の人が探している音源」が、
日本に残っていた。

──残って「いた」と、過去形で言いたくなるホド、今その状況は大きく動いています。


売れている。でも、確実に減っている

当店が渋谷で開業した2000年頃、DJブーム真っ只中の時代、あの頃もレコードはよく売れていました。

でも、不思議とその当時は「レコードがなくなる」という感覚は、一度もなかったんですよね。
供給が止まるとか、枯渇するとか、そんな心配は全く全然なかったんです。

ところが状況はガラリと変わって今は違う…。
当店のような小さな12インチシングル専門店ですら、
「レコードの減り方が異常だな…」って肌でカンジるワケです。

オイラの感覚では、日本から海外へ流出しているレコードは、1日に数万枚単位に達しているのではないかと思っています。

レコードは売れている…でも、確実にレコードは減っている。

この2つが同時に進んでいるのが、いまの状況なのではないかって思っているんですよね。


レコードは本当に枯渇するのか?

ん〜コレ、完全にゼロになることはないでしょう。
でも、人気盤や定番盤、コレクターニーズが高いオリジナル盤は、確実に見つかりにくくなっていくんじゃないかなぁ。

メチャ探しても全然出てこない…見つからない。
そうなれば、価格は上がる。

その結果、「欲しいけど買えない」という状況が、特に日本の若い世代や、新しくレコードに興味を持った人たちの前に立ちはだかるんじゃないかなぁって思うんですよね。

コレって文化として見たとき、これは決して健全な状態とは言えないかもって思う部分もあるんですよね。


レコード人気はバブルなのか?

「レコードって、今バブルでしょ?」
って時々そう言われるコトもあります。

確かに、短期間で価格が跳ね上がったジャンルやアーティストもありますし、SNSやDiscogsの評判がダイレクトに価格へ反映される今の市場には、投機的な側面もあるのは事実でしょうね。

まぁ〜でもオイラは、少なくともあと2〜3年、このレコード人気は続くと見ています。

アナログレコードというフィジカルなフォーマットの強さ、DJ文化の再評価、そして「音楽体験」としてのアナログの魅力は、そうカンタンに消えるものではないと思います。

ただしっ!
「ナンでもユルくカンタンに売れる時代」は確実に終わりつつあると思います。
これからは、選ばれるレコードと、そうでないモノの差が、よりハッキリしていくハズじゃないかなって思っています。


Next Recordsとして、これから考えているコト

お店を営んでいて売上が伸びるのは、やっぱり正直うれしいですよ。
でも、レコード好きとしては、どうしてもフクザツな気持ちが残る。

だからオイラは、Next Recordsとして、
「ただレコードを並べて売る店」から、
「価値を設計する店」へシフトする時期に来ているんじゃないかなぁってカンジています。

なぜこの盤が重要なのか。
なぜ12インチシングルなのか。
なぜ今、これを聴く意味があるのか。

そういったそのレコードをコレクションするイミや価値を、キチンと伝えていきたいなって思っています。


レコードは、ただのモノじゃない

レコードは…
音楽であり、記録であり、文化であり、時代の空気そのものであると思うんすよね…ちょっと大層なイイ方ですが(笑)

日本に残ってきたレコードは、偶然ソコにあったワケじゃなくって大切にされてきた結果、ソコにあった。

だからこそ、レコードが売れている今、両手放しで喜べない。

この違和感を、レコード店主として2025年の今のオイラの気持ちをココに書き残しておきたかった的なカンジです。

まぁ〜10年後に読み返していて「あぁ…2025年にこんなコト思っていたんだなぁ」って2035年のその時の状況と比べてみるのも興味深いですね〜というか10年後に当店が生き残っているのかっていう方が気になりますケドね(笑)


REBIRTH / EVIL VIBRATIONS (SATURDAY MIX)
REBIRTH / EVIL VIBRATIONS (SATURDAY MIX) の試聴
next recordsのサイトでREBIRTHのレコードを探してみる

というワケで、もしこの記事を読んで、
「12インチシングルってどんなカンジなんだろうちょっと聴いてみようかな」とか
「渋谷に行ったら、Next Recordsを覗いてみようかな」って
そう思ってもらえたなら、それが一番うれしいです。

レコードは、まだ終わっていないっ!
でも、放っておいても守られるものでもない。

オイラは、この店で、この12インチシングルというフォーマットで、もう少し、この文化と踏ん張って付き合っていくつもりです。


Next Recordsではインスタグラムもやっています!
入魂のレコメンドで毎日、ナイスでグッドなレコードを紹介していますのでゼヒ、フォローしてくださいっ!

渋谷の12インチシングル専門の中古レコード店next. recordsでは12インチシングルのレコードを買取をやっています!
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毎週、金曜日に新入荷のアナログレコードをサイトにUPしています。

このブログは、渋谷で唯一の12インチシングル専門のレコード屋、next recordsが、運営しています。

Next Records Shop at Shibuya Tokyo Japan.
We are a small record store but we welcome you with a huge selection of original pressed 12" singles.
If you visit Tokyo, please visit our record store!



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こんにちは、渋谷で12インチシングル専門の中古レコード店をやっているnext. recordsです。

ココ数年、テクノロジーの進化が本当に目まぐるしいですよね〜。
特にAIまわりのニュースは週替わりどころか、日替わりで「なんかスゴいのが出てくる」という状態で、テック系のYouTubeを観ているだけでも置いていかれそうになる勢いであります。

オイラ自身も、ちょっとわからないコトがあればサクッとAIに訊くのが日常になってきていて、気づけば生活にしっかり入り込んでいる存在になっていました。
それこそ「AIなんて未来の技術でしょ?」と思っていたのがウソのように、気づいたら普通に横にいるカンジです。

でもですね……
「ECサイト運営に関してはまだまだだよな〜」
ナンて、少し冷めた目で見ていたんですよね。

トコロが最近、ある出来事がキッカケで
「いやいや、ECの世界にもAIはガッツリ浸透してきているじゃん…これはマジで変わるかもしれないっ!」
と実感する瞬間があったんですよ。

今日はそんなハナシをしながら、
「中古レコードのECって、AI時代にどう進化していくんだろう?」的なナンちゃって未来予想を、レコード店主としての視点からユルく、でも深く語ってみたいと思います。


■ Chat Botなんて使えない…と思っていたあの頃のオイラ

まずは、昔からよくあるアレ。
Webサービスの右下にちょこんとある、チャットの吹き出しマーク。

そう、Chat Bot(チャットボット)って呼ばれるヤツです。

オイラも何度か使ったコトがあるんですが……
正直言うといつもこんな感想でした。

  • 「質問に答えてるようで、答えてない」

  • 「ナンだか用意されたテンプレが返ってくるだけ」

  • 「欲しい情報に全然たどり着かない」

  • 「コレってただのFAQ検索でじゃないの」

つまり、実用性ゼロ!で全然使えないんですよ。

「AIです!」なんて言ってても、ただのキーワード一致で回答を出してるだけで、「会話」とはほど遠い代物なんですよね〜。

オイラは長年ECサイトを運営してきましたが、この手のチャットボットは役に立たないという印象しかなく、正直なトコロ全く期待していませんでした。


■ Shopifyにも“チャットボット風の何か”が登場した

ウチの店で使っているECプラットフォームは、Shopifyなんですが、ある日管理画面を開いているとなんか見慣れないマスクをしたキャラクターがいるんですよ。

ガンダムのシャアみたいな、ちょっと気取った顔のヤツです。

スクリーンショット 2025-12-11 10.41.19

コイツの名前は Sidekick(サイドキック)というそうです。

「アぁ〜はいはい、どうせまた使えないチャットボットでしょ」
ってカンジで完全にナメていました。

でも、ECサイトのある設定でどうしても行き詰まって困ってしまい、
「どうせまともな答えは返ってこないだろうけど、一応質問してみるか…」
という期待値ゼロの軽い気持ちで訊いてみたんです。

そしたら……


■ 「Shopifyを完全に理解しているAI」という衝撃

Sidekickの返答を見た瞬間、
オイラは思わず画面の前で固まりました。

「え?オイラが今見てる画面を理解してる?」
「しかも店の在庫状況や過去の売上まで把握してる…?」

返ってきた答えは、単なる解決方法じゃなくて、
Next Recordsのストアに完全特化したサポート だったんですよ。

  • 今どの設定で詰まっているのか

  • 当店のストアでは何が有効で何が無効なのか

  • 在庫管理や売上データの状況

  • お客さんのアクセスの多い商品
  • 過去の設定操作の履歴

もう全部理解しているんですよ。

「なんだコイツ…今までのチャットボットと全然違うぞ…?」

調べてみると Sidekick は、
ChatGPTと同クラスのLLM(大規模言語モデル)を搭載した 「本物のAIアシスタント」 でした。

つまりこれは、

Next Records専用の「ECサイトAI店長補佐」

みたいな存在だったんです。

これは本当に衝撃的でした。


■ AIはすでに曲の雰囲気まで理解している?

ココまででも結構十分な驚きだったんですが、最近もうひとつ
「AIってここまで来てるのかよ!?」
ってトリハダが立った瞬間がありました。

ある日ChatGPTに、こんな質問をしたんです。


オイラ

「この12インチシングルのレコメンドコメントを200文字以内で書いてみて。
DAFT PUNK - ONE MORE TIME (CLUB MIX)」


すると返ってきたコメントがこれ。

「Daft Punkの金字塔『One More Time』クラブミックスの12インチ。眩いフィルター処理と高揚感に満ちたフレンチハウスの象徴的一曲で、フロアを解放する強烈なアンセム。12インチならではの音圧と抜けで、名曲の魅力がさらに際立つ一枚です。」

……え、わかってるじゃん。

これはメジャー曲だから情報量が多いのはわかります。
でも本当に驚いたのは、次。


オイラ

「じゃあコレは?
KERRI CHANDLER - ATMOSPHERE EP」


Deep House好きには知られている曲だけどDAFT PUNK - ONE MORE TIMEよりか全然マイナーな曲です。
で、返ってきた回答は──

「90s NYディープハウスの金字塔、Kerri Chandler名作『Atmosphere EP』。重心の低いキックと暖かいコードワーク、深く潜るような質感がたまらない一枚。とくに“Atmosphere”の包み込むような空気感は12インチでこそ真価を発揮。フロアの温度を静かに上げる絶品EPです。」

……いやいや、
コレ、「曲を聴いて書いたレベル」じゃないの?

もはや「AIが音楽を理解するのはまだ先の話」なんて言っていられない状況です。


■ これ、ECサイトに組み込まれたらどうなる?

前置きが長いですがココからが本題です。

Sidekick は今のところ、
EC運営者だけが使える管理画面のAI ですが……

オイラは直感でこう思いました。

「あれ?このSidekickって、そのうちお客さん側でも使えるようになるんじゃないの…?」

もしそうなったら、
中古レコードECはとんでもない進化を遂げそうな気がします。


■ お客さん専用の「AIレコードコンシェルジュ」が生まれる

想像してみてください。

お客さんがサイトに訪れて、AIにこう話しかける。


お客

「女性ヴォーカルで、80年代のPhilly Soulっぽい曲ない?」

AI

「あなたの好みに合いそうなのは、この3枚です。
理由は……」


オイラ
「え、もうレコード店のスタッフさんじゃん…!」

さらに──


お客

「今日入荷した中で、オレが好きそうなのある?」

AI

「過去の購入履歴と閲覧傾向から、この3枚が特におすすめです。」


もうこれは、
「ECサイトに常駐する専属スタッフ」がいるようなものです。

しかもAIなので24時間、世界中のユーザーを相手に対応できる。

実際、こうした仕組みを業界では
AIパーソナルショッパー
と呼び、2〜3年以内にECへ本格導入されると言われています。


■ オイラが10年前から夢見ていた機能が、ようやく現実になる

実はオイラ、このブログでも何度か
「個別レコメンド機能があったら最高なんだけどな〜」
というハナシを書いてきました。

つまり、

  • この人にはこのレコードが刺さる

  • この客はBoogie好きだから入荷したら通知

  • この人は90s US Garageの傾向強い

  • 未購入だけど気に入りそうなジャンルを提案

そんな“あなたにとっての1枚”を自動で紹介するEC。まぁ〜カンタンに例えると普段リアル店舗でお店に来てくれたお客さんに接客でオススメしているようなカンジのコトがECサイトでも出来ればなぁ〜って。

でも正直、

「技術的にまだまだ先だろうな〜」
と思っていたんです。

しかしSidekickやChatGPT/Geminiを触っていて、オイラは確信しました。

「あ、コレ本当に実現するわ。」

しかもそんなに遠くない未来──タブン2026〜2028年くらいには普通になるような気がする


■ AI時代にレコードEC店主がやるべきコト

こういう未来が見えてくると、レコード店主としてもなんだか気が引き締まる。

技術が進化すればするほど、逆に
「人間がやるべきコト」がすごく明確になるんですよね。

オイラが思う「今やるべきコト」はこんな感じです。


● ① 商品データをキチンと整える

調べたトコロどうやらAIは「整ったデータ」が大好物なようです。

  • アーティスト

  • タイトル

  • レーベル

  • 年代

  • ジャンル

このあたりをシッカリと入力しておく。


● ② レコメンドコメントを丁寧に書く

当店の文体や価値観をAIが学び、
「Next Recordsらしい接客」が再現される。


● ③ アナログ文化・12インチシングルに特化した記事を書く

AIがお客さんに説明するときの土台・情報の元になる。


● ④ お客さんの傾向(好み)を把握する

将来のAIがパーソナライズに利用する。


● ⑤ 「迷わずピッタリに出会える店」を目指す

最終的にはココっ!

AIはあくまでも道具のひとつに過ぎないんですよ。
大事なのは「どんな店にしたいのか」という人間側の意思。


SHAZZ / INNERSIDE
SHAZZ / INNERSIDE の試聴
next recordsのサイトでSHAZZのレコードを探してみる


■ で結論:AIが進化しても、レコードの良さは変わらない

ここまでAIの話をたっぷりしてきましたが、
ひとつだけハッキリ言えることがあります。

それは──

レコードの魅力だけはAIでも再現できない。

針を落とした瞬間に空気が変わるあのカンジとか…
12インチ特有の音圧と広がりとか…
ジャケットの佇まいとか…
中古盤に刻まれた小さな歴史の匂いなどなど…

こういうものは、AIがどれだけ賢くなってもデータ化できない価値なんですよね〜。

でもその価値に出会うための道筋は、AIがこれからどんどん整えてくれる。

だからオイラとしては、

「AIが整えた未来で、お客さんが迷わず、自分にピッタリの1枚に辿り着ける店」

そんなNext Recordsを目指したいなぁって思っています。

ECの未来は、想像以上にオモシロくなる…。
そしてアナログレコードは、その中でさらにピカピカと輝く存在になる。

こんなコトを想像していると、ナンだかちょっとワクワクしてくるんですよね〜。

コレを読んでくれた人もゼヒ、このAIが進化するコトで見せてくれるレコードの未来を一緒に楽しんでいただけたらぁ〜って思う次第であります。


Next Recordsではインスタグラムもやっています!
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渋谷の12インチシングル専門の中古レコード店next. recordsでは12インチシングルのレコードを買取をやっています!
ゼヒ、お気軽にお問い合わせください!

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このブログは、渋谷で唯一の12インチシングル専門のレコード屋、next recordsが、運営しています。

Next Records Shop at Shibuya Tokyo Japan.
We are a small record store but we welcome you with a huge selection of original pressed 12" singles.
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