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ハードオフで45年前の「愛用品」に再会した

先日、仕事が休みの日に自宅近くのハードオフへ立ち寄りました。

特に何か買いたいモノがあったわけではありません。ここのハードオフは結構な規模で、楽器、パソコン、家電、フィギュアなど、とにかくいろんなモノが売られています。

もちろんオイラが気になるのはレコードなんですがケドね。

1000枚くらいはありましたね〜レコード、一通りチェックしてみたものの、残念ながらお眼鏡にかなうタイトルはナシ。

「ん〜今日は収穫なしかぁ〜」

ナンて思いながら、時間潰しも兼ねて店内をブラブラしていました。

ジャンクコーナーなんかも結構好きなんですよね…古いオーディオやら、用途不明のケーブルやら、「一体ダレが買うんだ、コレ?」みたいなモノが並んでいる。でも、ときどき思いがけず面白いモノや懐かしいモノに遭遇するコトがあります。

その日もジャンク品がひしめき合っているアングル棚を何となく眺めていると、横向きに置かれたデカいラジカセが目に入りました。

「あれ? このカタチ……」

よく見ると、

「オッ! コレは!?」

SONYの「エナジー99」でした。

sony

コレ、オイラが中学生の頃、初めて自分のお金で買ったラジカセだったんです。

「うわ〜っ! 懐かしいっ!」

モチロン実際に店内で叫んだわけではありません(笑)。

でもココロの中では完全に叫んでいましたね。

このラジカセを持っていたのって、もう45年くらい前のハナシです。

それまでラジカセのことなんて完全に記憶になく考えてもいなかったのに、このジャンクコーナーのエナジー99を見た瞬間、忘れていたはずの記憶がバーーーッとイッキに蘇ってきました。

コレがなんとも不思議だったんです。

中学生が2週間働いて手に入れた巨大ラジカセ

エナジー99を買った頃、デカいラジカセが流行っていました。

当時のオイラも当然その影響を受け、

「デカいラジカセが欲しいっ!」となったワケです。

でも、中学生にとってラジカセはかなり高価な買い物です。

そこで塗装業を営んでいた叔父に、

「ラジカセを買いたいからアルバイトさせて!」と頼み込みました。

今だったら中学生がそんな働き方をするのは難しいでしょうけど、約45年前ですから、その辺は今よりずっとユルい時代でした。

夏休みの2週間ホド、叔父の仕事を手伝いました。

ナニをやったのかもキッチリ覚えています。

塗装する前の金属面に塗料がきれいに乗るよう、ひたすらペーパーをかける仕事。

朝6時頃に家を出て、叔父の会社までチャリで行き、夕方5時まで延々とペーパーがけ。

これがマジでキツかった…そもそも働くというコト自体がはじめてだったしね。

仕事初日には、

「もう辞めたい…」と思ったくらいです(笑)。

それでも「ラジカセが欲しい」という一心で、なんとか2週間やり切りました。

そして手にした数万円のアルバイト代。それに貯めていたお年玉をプラスして、大阪・日本橋のでんでんタウンへ。

当時はネット通販なんてありませんからね、欲しいモノがあったらお店へ行って買うスタイルです。

しかもオイラは、少しでも安く買いたい。

何軒もの電器屋をハシゴして、中学生のクセに電器屋の店員相手に、

「おっちゃん、このラジカセ、ナンボにしてくれるの?」なんて値切り交渉までしていました(笑)。

そして一番安くしてくれたお店で、ついに購入したのがSONYのエナジー99でした。

重量10kgオーバーの巨大なラジカセです。

しかも箱に入っているので、さらにデカい。

それをママチャリの前カゴの上に載せ、片手で箱を押さえ、もう片方の手でハンドルを握って家まで持って帰りました。

重いわ、デカいわ、前は見づらいわ、途中で何度かバランスを崩してコケそうになりながら、必死で家まで運んだコトを今でも覚えています。

そして、このラジカセを買ったら最初に何を鳴らすか…それも最初から決めていました。

YMOです。

友人に録音してもらったYMOのカセットテープを入れて再生っ!

スピーカーから大迫力で流れてくるYMOの曲。

「うわぁ、すげぇ!」

自分で働いて、自分のお金で買ったラジカセから好きな音楽が流れている、めちゃくちゃ気持ちよかった。

調子に乗って大音量で鳴らしていたら、隣の部屋にいた祖父がやってきて、

「テレビの音が聞こえん! もっと小さな音にしろっ!」って初日から怒られました(笑)。

そして、この注意はその後たぶん100回以上されたと思います。

今はもう亡くなってしまった祖父ですが、エナジー99を見た瞬間、その声まで思い出しました。

ボロボロなのに「欲しいっ!」と思ってしまった

そんな思い出のエナジー99ですが、ハードオフで再会した個体は、残念ながらかなり悲惨な状態でした。

カセットテープは再生不可。

2本あるアンテナのうち1本は折れている。

ボリュームやイコライザーのツマミもいくつか消失。

スピーカーのエッジも経年劣化でボロボロ。

つまり、立派なジャンクです。

普通の人が見たら、

「ただのボロい、壊れた、ムダにデカいラジカセ」です。

トコロが値札を見ると、15,000円っ!

「えっ! この状態で15,000円!?」

なかなか強気です(笑)。

でも、それを見てオイラは逆に、

「というコトは、今でもそれなりに欲しがる人がいるってことなのか?」と興味が湧きました。

そして困ったコトに、オイラ自身もちょっと、

「欲しいっ!」と思ってしまったんです。

いやいやいや。

待て待て。

カセットも再生できない。

アンテナも折れている。

ツマミもない。

スピーカーもボロボロ。

しかも、とにかくデカい。

こんなの家に持って帰って、オレは一体ナニがしたいんだ?

冷静に考えて、その場では買いませんでした。

トコロが家に帰ってからも、ナゼか気になる。

メルカリやヤフオクで「エナジー99」を検索してしまいました。

いくつか出てくるものの、やっぱりほとんどジャンクです。

トコロがメンテナンスされ、きちんとカセットも再生できるコンディションの良い個体になると6万円オーバー。

「マジか…」

やっぱり今でも欲しい人がいるんですね。

でも、ココで改めて冷静になりました。

仮に完動品を買ったとして、オイラは2026年の今、この巨大なラジカセを本当に使うんだろうか?

タブン使わない。

じゃあ、なんで欲しいと思ったんだ?

ココが妙に気になったんです。

欲しかったのは「ラジカセ」だけじゃなかった?

エナジー99を見たことで蘇ったのは、ラジカセを買った記憶だけではありませんでした。

当時、自分の部屋の勉強机の棚の上にエナジー99を置いていました。

そこでYMOをガンガン鳴らしていた。

すると祖父が怒鳴り込んでくる。

そんな光景が、45年も経っているのに妙に鮮明に蘇る。

さらに思い出したコトがあります。

エナジー99には、当時としては珍しいカセットテープの再生速度を調整できる機能がありました。

ある日、自分の部屋に遊びに来ていた友人との普段通りの会話をカセットに録音してみた。

それを再生するときにスピードを上げると、当然、声のキーも上がります。

それがおかしくて、おかしくて、2人で腹が捩れるくらいゲラゲラ笑いました。

今だったらスマホひとつで、もっと高度な音声加工なんてカンタンにできます。

でも当時の中学生には、そんな他愛もナイことがめちゃくちゃ面白かったんですよ。

不思議なのは、そんな出来事を普段から思い出して生活しているワケではないことです。

トコロが、ボロボロのエナジー99を一目見ただけで全部出てきたんですよね。

ラジカセが、記憶のスイッチをポチッと押したワケです。

そこで「こういう感情ってナンなんだろう?」と調べてみると、「ノスタルジア効果」というコトバに行き当たりました。

過去の楽しかった経験や懐かしいモノに触れることで、温かい感情が呼び起こされる。

さらに、そうした感情を商品やブランドへの関心につなげる「ノスタルジア・マーケティング」という考え方もあります。

ナルホドね〜。確かにオイラは、その術中に見事にハマっている(笑)。

でも、そのときフト思ったんです。

「待てよ。コレって、ウチの店でも毎日のように起きてないか?」って。

昔手放したレコードを、ナゼもう一度買うのか?

オイラは東京・渋谷で、オリジナル盤の12インチシングルを専門に扱う中古レコード店を営んでいます。

長く店に立っていると、お客さんとレコードの間に起きる面白い瞬間を何度も目にします。

ある程度の年齢のお客さんがレコード棚をパタパタとめくっている。

もちろん1枚1枚について声に出すわけではありません。

でも、そのジャケットを見るたび、頭の中では、

「あ〜、この曲よく聴いたなぁ」

「コレ、あいつが好きだったな」

「この頃は○○してたな〜」

ナンて、いろんな記憶がチラチラよぎっているんじゃないでしょうか。

そして長年探していた1枚に遭遇すると、反応がまったく違います。

「ウワっ! 見つけた!」

という感じで、棚からシュパッ!と勢いよく抜き出す(笑)。

気持ちがカラダに出ちゃうんですよね。

そして、かなりの確率でオイラたちスタッフにハナシてくれます。

「この曲はね、昔○○だった頃に…」

友人や恋人と一緒に来店された方なら、その人にレコードを見せながら自分のエピソードを話している光景も日常茶飯事で見かけます。

さらに最近のアナログレコード再評価をきっかけに、一度やめたレコードコレクションを再開する方もいます。

そういう方が手始めにナニを買うか。

オイラが見てきた限り、昔自分が所有していて、一度手放してしまったレコードを買い直すケースが本当に多いんですよね。

コレ、考えてみると不思議ですよね。

だって、「もう聴かないから」と一度はいらないと判断したワケです。

だったら手放さなければよかったじゃん!

…と同じくレコード好きな立場としては言いたくなります(笑)。

でも当時は本当に不要だったんでしょう。

レコードを「音楽を聴くためのモノ」として考えれば、もう聴かないなら処分するのは合理的です。

ところが20年、30年、40年と時間が経つ。

レコードそのものは何も変わっていない。

むしろ古くなっている。

なのに、その人にとっての価値は逆に上がっている。

ナゼなんでしょう?

もしかすると、長い時間を経ることで、そのレコードに「思い出」という付加価値がくっついたからなのかもしれません。

レコードは「記憶へアクセスするアイコン」なのかもしれない

オイラ自身にも、絶対に手放せないレコードがあります。

その1枚が、

New Order / Bizarre Love Triangle


前記したエナジー99で他愛のないハナシをして笑い転げていた友人を思い出したコトで数珠つなぎ的な記憶で思い出しました(笑)。

その彼の部屋で真夜中にこの曲のアルバム・バージョンと12インチ・バージョンの違いを聴き比べたコトがあります。

12インチシングルの面白さのひとつは、アルバムや7インチとは違うロング・バージョンやリミックスなど、そのフォーマットならではの音源が存在するコトです。

DJカルチャーと密接につながりながら発展してきた12インチには、「この盤でなければ聴けない音」がたくさんあります。

その夜も、

「ココが違う」

「あっ、こっちには違うメロディが入ってる」

なんて友人と語りながら、何度も何度も繰り返し聴いていました。

今でも“Bizarre Love Triangle”を聴くと、

「あ〜、アイツと部屋で聴きまくったなぁ〜」と思い出します。

しかも、この1枚には別の記憶まであります。

当時付き合っていた女の子に、

「良い曲だから聴いてみて」と、このレコードを貸したんです。

トコロが、その後関係がこじれて別れてしまった。

困った…お気に入りのレコードが向こうにある(笑)。

返してほしい。

でも別れたあとに、

「あの〜、New Orderのレコード返してもらえます?」

と言うのもナンだか気まずい。

しばらく悶々としていました。

数ヶ月後、なんとか無事に取り戻すことができましたが、今となってはそんな出来事まで含めて、この1枚の記憶になっています。

だからオイラにとって、この“Bizarre Love Triangle”は絶対に手放せない1枚です。

モチロン、同じタイトルを探せば別の中古盤を買うコトはできます。

でも、それはオイラにとって「同じレコード」ではナイんですよね。

自分が持ってきたこの1枚だから意味がある。

考えてみればレコードというモノは、自分の記憶へいつでもアクセスできる「アイコン」のような役割を果たしているのかもしれません。

ジャケットを見た瞬間。

盤を手に取った瞬間。

ターンテーブルに載せて針をのせた瞬間。

最初の音が鳴った瞬間。

それをキッカケに、フダンは意識していない昔の記憶へアクセスできる。

しかもレコードの面白いトコロは、思い出の品でありながら、何十年経っても本来の用途を果たせるコトです。

45年前のデカいラジカセ「エナジー99」は、残念ながらジャンクになっていました。

古いMacやDVDレコーダー、8mmビデオカメラなども、オイラの家にはなぜか捨てられずに残っていますが(笑)、実用品として使う機会は今はもうホトンドありません。

でも40年前のレコードなら、今でもターンテーブルにノセれば当時の音楽を鳴らせる。

思い出をカタチとして保存しながら、今なお現役で音楽を楽しめるワケです。

コレって、考えてみたら結構スゴいことです。

古くなるほど価値が下がる。でも、時間が価値を加えるコトもある

一般的にモノは古くなれば価値が下がっていきます。

性能が時代遅れになったり、故障したり、部品がなくなったりする。

エナジー99だって、45年前には最新のオーディオ機器だったはずなのに、ハードオフではジャンクです。

トコロが、人間の記憶が絡むとハナシが少し変わってくる。

モノとしては古くなっているのに、その人にとっての価値は時間とともに増していくコトがある。

昔はただ「聴くため」に買ったレコード。

DJなら「プレイするため」に買った12インチ。

それが何十年も経つと、その盤を買った店、聴いていた部屋、一緒にいた友達、付き合っていた人、その頃の仕事、夜遊びしていた街、当時の自分までくっついてくる。

思い出というのは、時間が経つことで少しずつ「熟成」するのかもしれませんね。

実際の出来事が100%そのまま保存されているワケではないでしょう。

嫌だったコトが薄れて、楽しかったコトが妙に瑞々しく残るコトだってある。

でも、だからこそ何十年ぶりに昔のレコードと再会したとき、

「うわっ!」となる。

長年埋まらなかった気持ちのピースが、カチッとはまるような感覚があるのかもしれません。

音楽を聴くだけなら、今はYouTubeもSpotifyもあります。

聴きたい曲のタイトルを検索すれば、数秒後には鳴っている。

それは本当に便利ですし、オイラだって利用しています。

だからといって、ストリーミングとレコードのどちらが上だ下だというハナシではありません。

ただ、昔自分が持っていた1枚をもう一度手に入れる行為には、「音楽を聴く」だけでは説明できないナニかがある。

あのジャケットをもう一度手に取る。

12インチの大きな盤を取り出す。

ターンテーブルに載せる。

針を落とす。

そして、自分が昔聴いていたのと同じ曲が鳴る。

その一連の行為まで含めて、自分の記憶へアクセスしているのかもしれません。

そう考えると、中古レコード店という場所も少し違って見えてきますね。

オイラたちは商品として中古レコードを仕入れ、値段を付け、店頭に並べています。

でも、お客さんがその1枚に感じている価値までは値札に書けません。

3,000円のレコードが、ある人には単なる中古盤。

別の人には、

「30年間探していた1枚」。

また別の人には、

「昔の恋人と聴いた曲」。

さらに別の人には、

「人生で初めてクラブで衝撃を受けた曲」。

同じレコードでも、そこに見えているものが違うんですよね。

だからレコード店でお客さんが「この曲はね…」と昔話を始めるのは、考えてみればごく自然なコトなのかもしれません。

では、昔を知らない若い人が感じる「懐かしさ」は何なんだ?

ココまで考えていたら、別の疑問も湧いてきました。

最近は若い世代にもアナログレコードを楽しむ人が増えています。

当然ですが、彼らは1980年代や1990年代をリアルタイムでは知らないワケです。

それなのに、昔のレコードのジャケットや音、デザインなどに「エモい」と感じたり、どこか懐かしさに似た感情を持ったりする。

本人が経験していない時代なのに、なぜ懐かしいんでしょう?

オイラは勝手にこれを、

「なんちゃって郷愁感」

と呼んでいます(笑)。

でも2026年に若い人が古いレコードを買い、何十年後かにその1枚を見たとき、

「あ〜、あの頃レコードにハマって、よく聴いてたなぁ」と思う日が来るかもしれない。

そのとき「なんちゃって郷愁感」は、本物の自分自身の郷愁へ変わっているワケです。

コレ、考え始めるとなかなか面白い。

ただ、このハナシまで始めると長くなりそうなので(笑)、また別の記事で考えてみたいと思います。

J.M. SILK / MUSIC IS THE KEY
J.M. SILK / MUSIC IS THE KEY の試聴
next recordsのサイトでJ.M. SILKのレコードを探してみる

レコード店で売っているのは、本当に「レコード」だけなんだろうか?

結局、オイラはハードオフのエナジー99を買いませんでした。

たとえ5,000円だったとしても、たぶん悩んだ末に買わないと思います。

壊れていて本来の用途を果たせない巨大なラジカセを自宅に持ち帰って、

「俺は一体、ナニがしたかったんだろう?」となる自分が容易に想像できます(笑)。

DIY精神を発揮して修理を始める可能性もありますが、それには相当な時間と労力がかかる。

そこまでして得られるものはナンなんだ?

ん〜完全に自己満足の世界です。

だから合理的には「買わない」。

でも、気になる…。

この矛盾が今回のハナシを考えるキッカケになりました。

そして面白いことに、家を見渡せば、もう使わないであろう古いMacやDVDレコーダー、8mmビデオカメラなんかが残っている。

エナジー99については「合理的に考えれば必要ナイ」なんて言っているくせに、すでに非合理的なモノをいっぱい持っているワケです(笑)。

人間って、そんなに合理的にはできていないんでしょうね。

だからこそ、古いモノは面白い。

そして中古レコードを扱う仕事も面白い。

東京・渋谷のオイラの店には、日々いろいろな12インチシングルが入ってきます。

オリジナル盤を中心に扱っているので、何十年も前に作られ、誰かの手元で鳴らされてきたレコードが、また次の誰かのところへ旅立っていく。

12インチというフォーマットには、DJがフロアで使うためのロング・バージョンや、その盤でしか味わえないミックス、当時のクラブカルチャーや音楽制作の空気まで残っています。

そういう意味では、1枚の12インチは単なる音源の入れ物ではなく、その時代の文化を物理的に残したモノでもあります。

もちろん、すべての人がノスタルジアでレコードを買うワケではありません。

音が好きな人。

DJでプレイしたい人。

オリジナル盤にこだわる人。

ジャケットのアートワークが好きな人。

コレクションすること自体が楽しい人。

そこにはいろいろな理由があります。

だから「古いレコードが売れるのは全部ノスタルジア効果です」なんて単純なハナシにするつもりはありません。

ただ、今回エナジー99と45年ぶりに再会して、オイラ自身が「欲しいっ!」と思ってしまったコトで、お客さんが昔持っていたレコードを買い直す気持ちが、以前よりちょっとだけ分かった気がします。

その人がレジでお金を払って持って帰るのは、確かに1枚の中古レコードです。

でも、そのレコードと一緒に、

昔の自分だったり、

友人と過ごした時間だったり、

好きだった人だったり、

よく遊んだ街だったり、

若かった頃の空気だったり、

そういうものまで持って帰っているのかもしれませんね。

そして家でそのレコードを棚に置いておけば、いつでもそこへアクセスできる。

レコードは、音楽を保存するメディアであると同時に、自分の時間を保存しておく「アイコン」にもなれる。

古いモノは、時間とともに劣化します。

でも、そのモノにくっついた思い出は、時間によって逆に価値を増すことがある。

そう考えると、中古レコードというモノがなんだかますます面白く思えてきます。

ハードオフでボロボロのラジカセを見つけただけなのに、ずいぶん遠くまで考えてしまいました(笑)。

今度レコード店で昔好きだった1枚を見つけたとき、もし「うわっ!」とココロが反応したら、ちょっとだけ考えてみてください。

自分はいま、このレコードの何が欲しいんだろう?

曲なのか。

盤なのか。

ジャケットなのか。

それとも、そのレコードの向こう側にある、自分が過ごしてきた時間なのか。

もしかすると、レコード店で売ったり買ったりしているものは、オイラたちが思っている以上に「レコードだけ」ではないのかもしれませんね…知らんケド(笑)。


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