djpierre_muzikislife
渋谷の12インチシングル専門の中古レコード店、ネクストレコードです。
ご来店いただいたお客さんから「こんなフリーペーパーがありましたよ」といって教えていただきました。
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内容は、レコードに興味があるビキナーさんへ向けてのカンタンなガイドブックみたいなカンジの冊子です。
オーディオ関係のポータルサイトを運営しているphileweb.comが監修しているフリーペーパーですね。
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“アナログレコードっていいな”
そう思ってレコードを買ってみたけれど、プレーヤーはまだ持っていない
――そんな10代、20代の皆さんに向けて、季刊・アナログ編集部が小冊子『はじめてのアナログプレーヤー』を作成しました。

(philewebの説明文から)
コチラからダウンロード版も読めますよ。
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フルカラーで30ページ以上の冊子で手触り感のあるイイ紙で印刷されているフリーペーパーです。
内容的には、あくまでもレコードに興味があるんだけど、どうやったら聴くコトができるんだろう・・・っていうコトを丁寧に解説した内容となっています。
だけど、既にレコードを再生できる環境がある人が読んでも「へぇ〜そうなんだ・・・」って新たな気付きもあるようなちょっと突っ込んだ内容にも触れていて興味深く良くもコトができました。

オイラは、昭和の時代からレコードを聴きはじめてオッサン世代なのでレコードを再生するために必要なオーディオ機器やソレラの接続方法など一通り知っているのですが、やはりレコードからCD〜音源のダウンロード〜ストリーミングへと音楽コンテンツのカタチの変化や音楽を聴くためのスタイルが大きく変化しているので、10代〜20代の人からするとレコードで音楽を聴くというコトに関して興味が湧いてもその目的を達成するために今まで使ったコトのないオーディオ機器を用意する必要があるというのは、なかなかムズカシイのかもしれませんね。
コレまで店頭で接客していても「レコードで音楽を聴きたいんですけど、ナニを買えばイイんですか?」って聴かれたコトってもう100回以上ありますからね・・・というか、本当なら家電量販店で訊くような内容ですよねコレ、だけどナゼかソレをレコード店でレコードの聴き方を訊くという状況からすると、そういったビキナーさんは、その質問自体をドコへ相談してもイイのかってコト自体解らないってカンジなのか知れませんね。

だけど、ホントに不思議ですよね〜どう考えてもストリーミングサービスの方がコストや利便性、アクセスの容易さという点の経済合理性からすると安価な月額料金で膨大な楽曲にアクセスでき、スマホでドコでも聴けるという利点は明らかです。
だけど人間の選択行動は必ずしも合理性だけで動くものじゃないってコトなんでしょうね。
以前にもこのブログでも言及したコトがありますが、レコードを購入し、ターンテーブルで再生する行為には、音楽を聴くだけではない「体験」が含まれていてその部分にナンらかの価値を見出しているでしょうね。
また、レコードを選ぶ、ジャケットを手に取る、針をレコード盤の上に落とすというプロセス自体も一種の儀式のような感覚を与えていて、こうした体験は、感情的な満足感やノスタルジア、自己表現の一部として価値があるようにカンジるのかもしれませんね。

ストリーミングは「アクセス」を提供するんだけど、レコードは物理的な「所有」を可能にている部分も価値があるようにカンジているんでしょうね。
心理学的に、所有するコトで得られる満足感は、特に希少性が伴う場合に高まったりするコトがわかっているみたいですね、限定盤や特別なプレスが価値を持つのはこのためでしょうね。
「所有感」と「希少性」というこの2つが掛け合わされるのは、コレクションという観方からすると大きなイミがありますからね。
経済行動学では、「所有(保有)効果」や「希少性の原理」という心理現象が知られています。
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保有効果(Endowment effect)とは、自分の所有物を実際の価値よりも高く見積もったり高い評価をしてしまうことで所有する前とあとでモノに対する価値観が変わってしまう心理をさします。いわゆるバイアスのひとつという位置づけです。人は自分がすでに所有しているものを高く見積もる傾向をもっていることを指摘しました。
「自分の所有物は実際の価値よりも高く感じる?保有効果という心理現象」より
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希少性の原理(法則)とは、希少性の高いもの(なかなか手に入らないもの)に人は価値を感じるという習性を表わすものです。実際には希少性がなかったとしても、希少性があると思い込んでしまえば、それが欲しくなるのが人間の心理です。
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古いレコードってこの部分での価値観って結構デカいですよね。
最近は、再発盤が多数リリースされていてコレまでなかなか手に入りにくかったタイトルも再発されたコトでカンタンに入手できるようになったりするケースも多いのですが、ナゼか再発盤を既に所有しているんだけどそのタイトルのレコードが当時されたオリジナル盤を所有したくなるという感覚・・・まさにコレですよね。
さらに「コレクティング/蒐集」という人ならではの心理現象もありますよね。
探しているレコードを手に入れた時の達成感は、ドーパミンがドバドバでるような強烈な快感がありますよね〜この快感は中毒性があり、次の蒐集行動を確実に誘発していますよね。

あとね、「コミュニティ」と「アイデンティティ」っていう部分に対してもナンらかの影響があるんじゃないかなって思うんですよ。
例えば、音楽と聴いて楽しむという本来の最終的な目的は同じなんだけど、レコードで音楽を聴く人とストリーミングで音楽を聴く人との「音楽を聴く価値観」は、同じじゃないような気がするんですよね〜なんだかレコードを楽しむ人々の間にはコミュニティが形成され、文化的なつながりが生まれているみたいな部分ってあると思うんですよね、このつながりが「レコードを持つコト」に社会的価値を付加し、趣味の一環としての満足度を高めているコトって確実にありますよね。

また、レコードで音楽を聴くコトには、あきらかにストリーミングとは異なる「音楽体験」が存在していると思いますしね。
デジタル音源にはない独特の温かみや深みが感じられるアナログ音質の特性とか、アルバムでアーティストが意図した楽曲の順番や流れを楽しむコトで、より深い音楽理解を得られるような感覚とか、デザインされた大きなジャケットを手にとってクレジットなんかを読みながらレコードを聴くという体験にも特別な体験のような感覚がありますよね。

このフリーペーパーを読んでいて改めて気がついたんだけど、はじめはレコードを聴くというシンプルな目的のために用意したオーディオなんだケド、次第に「音を探求する楽しみ」みたいな部分への興味が沸き起こる部分っていうのもありますよね。
しかもコレ、追求するとなるとカンゼンに「沼」にハマるくらいですし(笑)
だけど、元々アナログオーディオは、各機器(ターンテーブル、アンプ、スピーカー等)がそれぞれ独立した役割を果たす「分離型構成」を基本としているからなんですよね。
各オーディオを分離するコトで専門的な機能に特化するコトが出来て柔軟的に音質を細かく調整・改善できるようになるのですが、その反面ビキナーさん的には「何を選べばよいか分からない」という障壁になっているのも事実でしょうね。
オーディオメーカーの視点としては、それぞれ専門分野を持つコトで市場において高い競争力を維持しているからそうなっているんでしょうね。
スピーカーならJBLがイイとかって、ターンテーブルならドコのメーカーが良いとかってありますね。
ソレらの各オーディオメーカーの得意分野とかで初心者向けシステムを作りづらくなっているんでしょうね。
汎用性と個性のトレードオフってやっぱりありますよね、汎用性を高めると個々の機器の特性が薄まり、音質やカスタマイズ性が犠牲になりますからね、このため、ビギナーさんととオーディオマニアのニーズの間にギャップが生じますしね。
はじめは、とりあえずレコードが再生できるという最低限の目的が達成できるオールイン・ワン的なオーディオを買ってもスグに良い音で聴きたくなるのでもっと汎用性のある分離型のシステムの方が良いかもって思うんだけどその構成の選択が複雑過ぎてナニを買えば良いんだろう・・・ってなっちゃうんでしょうね。

このフリーペーパーでは、ビギナーさんは、プレーヤーとスピーカーとをBluetoothで繋げるコトをオススメしていました。
ま〜ペアリングするだけなのでカンタンに接続できるというコトなんでしょうね。
だけど、一般的には有線接続のほうがBluetooth接続よりも良い音質を得られるとされていますよね。
Bluetoothでは、音源が圧縮されているケド、有線接続では音源信号がそのまま伝わるため、圧縮による音質劣化が起きないというのが理由です。
このコトで、有線接続はダイナミックレンジや微細な音の表現がBluetooth接続よりも優れていると言われています。
まぁ〜だけどコレ、ドコまで差があるのかっていうのも自分の自宅で聴き比べないと解らないんですよね〜そのためにわざわざそれぞれのオーディオシステムを構築するというのも出来ませんしね・・イッタイ、ドッチがイイのか?・・・コレも悩みドコロですね。
じゃあビギナーさんにはドチラがおすすめか・・・って言われたらBluetooth接続がオススメなんだけど、結構早い段階でやっぱり有線接続の方がイイかも・・・って気持ちになりそうな気がしますね。
じゃあ、はじめから有線接続の方が良いかも・・・って思うかもしれませんが、そうなるとどのアンプが良いとかスピーカーがイイとか、ケーブルはどうしようとかって悩みはまた堂々巡りになっちゃうんですよね。

レコードプレーヤーも1〜3万円台から10万円以上とかなりの価格差がありますよね。
コレもどれがイイのかって悩みドコロですね。
レコードプレーヤーの価格差の要因って素材と構造の違いに依るコトが多いんですよね。
安価なモデルは、プラスチック製のパーツが多く、全体的に軽量でシンプルな構造で、高額なモデルは、金属や高密度の木材、カーボンファイバー等振動を抑えるための高品質素材が使用されていてターンテーブル(プラッター)が重く安定しており、モーターの精度や駆動システムが高度だったりします。
またベルトドライブ方式かダイレクトドライブ方式かによる特性も異なるし、カートリッジやトーンアーム、モーターの回転制御の精度とか・・・結構、難しい要因も複雑に絡んできます。
だけど、必ずしも「価格=音質ではない」とオイラは思うんですよね。
ソレは「良い音」の定義はかなり主観的であり、個々のリスナーが求める音質や音楽ジャンルによって異なるからなんですよね。
また、高額なプレーヤーでも他のオーディオ機器(アンプ、スピーカー)の性能や相性、設置環境が整っていなければ、ポテンシャルを発揮できませんしね。
ハイエンドな機種って或る意味ソレラをコントロールできる知識とスキル、経験が必要なワケですしね。
じゃあ、どのターンテーブルはイイのか・・・ってコトなんですよね〜でもコレもリスナーが求める音質のレベルや目的によって異なりますからね、「ベストは、コレだっ!」って言えないんですよね。
この部分は、もうオイラは思考停止で「Technics SL-1200、一択」って決めているので楽ですけどね。

以前、様々なオーディオ機器を接続するのですが、もっとも音質の影響を与えるのは、どのオーディオ機器ですか?ってビギナーさんに訊かれたコトがあるんだけど、コレ、ヒトツだけで決めるコトができないんですよね。
結局、アドバイスできたのはカートリッジ・フォノイコライザー(フォノアンプ)・スピーカーこの3つの組み合わせが音質を左右するんじゃないですかね?ってイイました。
とりあえず、カートリッジは、比較的安価に音質を改善できるパーツだと思うので今使っているカートリッジと新たなカートリッジを聴き比べて観るのも良いかも知れませんね。
アンプやスピーカーは結構値段もするので、次のグレードアップでもイイかもしれませんね。
当店では、「樽屋のカートリッジ」を販売しているのですが、ご希望でしたら今使っているカートリッジとよく聴いているレコードを店頭へご持参してくれたら聴き比べさせていただきますよっ!

DJ PIERRE / MUZIK IS LIFE
DJ PIERRE / MUZIK IS LIFEの試聴
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レコードで音楽を聴く魅力は、音質の豊かさや所有する喜び、再生する体験とかにあるんだけど、機材選びはホントフクザツでビギナーさんには難しいですよね。
あえて云うなら特に音質に影響を与えるのはカートリッジ、フォノイコライザー、スピーカーの3つだと思います、この辺を押さえておくと間違いナイんじゃないかなぁ。
Bluetooth接続は手軽だけど、音質にコダワルならあえて有線接続がもイイかもしれません。
まずは手頃なオーディオから始めて、好きなタイミングで少しずつグレードアップしてみるのがイイかもしれませんね。

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