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前回、前々回と2回続けて「レコード屋があった場所の現在・・・。」っていうテーマで色々と当時のコトを思い出しながら書いてみました。
想い返せば、「ナンであのレコード屋は、閉店したんだろう・・・?」ってコトや「良いレコード屋だったのに・・・ナゼ?」等あの当時、リアルに感じていたコトなども再び思ったりと、同じレコード屋を営むオイラにとっては、少々複雑な気持ちになりました。
next. recordsは、2000年の1月に当時レコードマニアのメッカだった渋谷の宇田川町にオープンしたのですが、その頃の渋谷 宇田川町は、それこそ右を見ても左も見てもレコード屋だらけでした。
そんなレコード屋を目当てにしたお客さんが平日~週末関係なく、大挙して押し寄せていたりしました。
だけど、今現在残っているのは、大手ではManhattan Records、disk UNION、RECOfan、中規模のTECHNIQUE、小さなショップだとFACE RECORDSとウチのお店ぐらいです。
Manhattan Recordsも実質は、アナログレコードの販売に重点を置いているワケではないし、RECOfanも主力はアナログレコードではないし、そういった見方をすればちょっと微妙ですけどね。


http://www.nextrecordsjapan.net/records_shop/recordsmap2.jpg
手元にある今から10年以上前のレコードマップ(2002年版)の渋谷のページを見ると、ソコには、それこそショップの規模は様々ですが大小併せて60店舗程のレコード店がこの場所に存在していたコトが解ります。
元レコード屋だった場所へ出向いて写真を撮っていても決してショップの立地条件が悪いとかって特に感じないんですよ。
だけど、あれだけたくさんあったレコード屋が、今では両手でも余るくらいまで少なくなってしまうんですからね。
しかも、お店の立地が原因で閉店したワケではない・・・そりゃ~複雑な気持ちにもなりますよ。マジで・・・。

オイラは、お店をオープンさせてから13年経った今まで、「もう限界だ、レコード屋を辞めよう・・・」なんて気持ちになったコトが一度もないんです。
以前にも同じ様なコトをこのブログで書いたことがありますが、それこそ慈善事業ではないので、レコードを販売していくコトで自分の生活が成り立たなければソッコーお店を畳んで別の仕事に就こうと思うのですが、レコード屋をはじめて13年間、一度も窮地に追い込まれたコトすらないんですよ。
あえていうなら、前のオンボロアパートを追い出された時が、お店をやっていく中で一番焦ったくらいですかね・・・。

だけど「窮地に追い込まれたコトなんてナイ」って書いてるけど「レコードを売ってイクなんて楽勝!」なんて、今まで一回も思ったコトなんてなくってそれこそ毎日「どうやったらお客さんにレコードを聴いてもらえるんだろう」ってコトや「レコードの良さをよりもっとアピールするには、どうしたらいいのか・・・」なんてばっかり考えてなんとかその月その月をやりくりしているってカンジなんですけどね。
閉店した元レコード屋の跡地に立って「ナンであのレコード屋は、閉店したんだろう・・・?」ってマジマジと考えてみました。
ウチのお店はフツーに営業出来ているのに、あのレコード屋はそれが出来なかった・・・その違いはナンなんだろうって。

一緒にお店のやっている相棒の買い付け人Nに「多くのレコード屋は、閉店しちゃったけどナンで、ウチは残ったんだろうね?」って訊いてみたんですよ。
「そりゃ~オレ達が、一生懸命ガンバってたからじゃないの?」って返事。
単純に考えたらそうなのかも知れないけどオイラには、あまり納得のいく返事ではないんですよね。
他のお店も、オイラのお店と同じように出来るコトは一生懸命努力してやっていたとオイラは思うんですよ。
それに、お店に対しても愛着もあるし、好きなレコードに携わっていく仕事にず~っと就いていたいって言う気持ちは、オイラと一緒のハズです。
だけど、お店を辞めるところまでにまで決断を迫られたレコード屋と、いつも通り営業できるレコード屋があるっていうのもなんかちょっと違和感があるんですよね。
ラーメン屋みたいにそれぞれのお店のオリジナルの味があってそれがウケたとか、ウケなかったとかではないんですよ。
ウチのお店で売っているレコードもnext.オリジナルの商品ではなくって他のレコード屋も仕入れようと思えば仕入れるコトが出来る商品ばかりです。
それに、お店の営業の仕方って言うのも、国内外から仕入れたレコードを値付けして販売するというコレも他のお店と全く同じ経営スタイルです。
別にnext.だけが出来る様な特殊な方法で仕入れや販売を行っているワケでは決してないんですよ。
オイラの中では、「ウチのお店は、●●をやっていたから今でも営業できているんだ」という確たる事情なんて全くないんですよね。ホント。
レコード屋として当たり前のコトを当たり前の様にやってきただけなんですよ。
しかもオイラに至っては、ビジネス的なセンスは皆無だし、流行をいち早く察知する嗅覚や野性的なカンも全くナイですからね~それでもナンとかフツーに日々営業出来ているんです。
そんなコトを考えていると、今迄フツーにやってこられたっていうのも、タダ単に「ラッキーだった」という理由しか思い当たらないんです・・・。

next.をオープンして間もない頃、何年もお店を営み続けるコトが出来ている老舗のショップっていうのは、独自の「成功の法則」みたいな秘訣というか方程式を築いていてそれに沿ってお店を運営しているんだろうな~なんて思っていた事があります。
早く、オイラもその老舗のショップさん達が独自に持っている「成功の法則」を見つけて「今より楽~に商売したいよ・・・」なんて甘い考えを持っていたのですが、実際10年以上レコード屋を営んでいるにも関わらず、そんな「成功の法則」なんて幻想だったったいうコトが解りました。

よくビジネス本なんかに、起業や独立して事業を始めた人のうち10年後にも事業を営み続けている事が出来ているのは、10%程度だと書かれています。
もうちょっと詳しく書くと、開業してから1年程で、30%くらいの人が廃業して、3年くらいで残りの40%くらいの人が廃業するみたいなデータが書いてありました。
で、10年後には90%の人が廃業、倒産に至っていると・・・。
そういうデータと照らし合わせてみると、10年前には、60店舗くらいあったレコード屋が今現在、数店舗くらいに減っているっていうのもあながち、酷い状態ってワケでもないような気もするような、しないような・・・。

確かに、毎日渋谷に通っていると、業種カンケーなくショップの開店、閉店っていうのが目まぐるしく頻繁に起こっています。
「突然、あのお店がなくなったなぁ~」なんて思っていると、数ヶ月後には「おっ!新しいお店がオープンしたな~!」って、だけど1年後にはまた別のお店に変わっているなんてコトは、日常茶飯事に行われています。
世界的にも有数の集客が見込める東京 渋谷という街でさえ、ショップの運営は容易くはナイってコトなんだろうな~。

とりあえず、next. recordsは、営業を始めて13年目だけど、15年目を迎えることが出来る保証なんて全くナイですからね。
ビジネス本に書いてあるように、多くのレコード屋が閉店していったっていうのは、レコードを取り巻く環境の変化みたいな影響もあったとは思いますが、データの通り自然と淘汰されたっていうのも1つの理由なのかな・・・。
ん~なんか複雑な気持ちだ・・・。


古いレコードマップを引っ張り出して読み返してみたんだけど、さすがに10年以上前となるとナンだか内容が、当時を知る資料的価値が上がってきたような気がします。
この2002年版のレコードマップの表紙に書いてある「特集 激変するレコード店業界」なんて記事、マジで今回思わず読み込んじゃいましたからね。

それを読むと、2002年の時点で、多くのレコード屋がある種の危機感を持っていたような感じですね~。
レコードマップに掲載されているレコード屋の何件かを今でもお店やっているのかな?って思いGoogleで検索したのだけどやっぱり、閉店してなくなっているショップが多かったです。
2002年という早い時期にWEBサイトのURLを記載しているレコード店もダイレクトにURLを打ち込んでみたら、同じURLのハズなのに全然カンケーのない、エステサロンやペットショップ、アフェリエイトサイトなんかにURLを買い取られている様でした。

だけど、渋谷界隈では、多くのレコード屋が閉店したけど、場所によっては必ずしもそうではないようです。
以前、書いたブログで紹介した、オンライン・ショップからリアルショップへのオーナーさんは、つい先日大阪でお店をオープンしたようです。
しかも、コレまた知人のレコード店の閉店で想うコト で書いたショップの跡を居抜きで入って再びレコード屋ですからね。
大阪って結構ココ数年の間に新しいレコード屋が次々とオープンしているようなので、もしかしたらリアル店舗がアツイのかも知れませんね。