イメージ 1

つい先日、久しぶりに「レコード屋を始めたい」という相談を受けました。
レコードの人気が高かった時は、そう言ったハナシを年に数回訊かれるコトがあったのですが、ココ最近ではホント久しぶりです。
相談の内容は、
■新譜のレコード屋をはじめたい
■レコードの仕入れは、どうすればイイのか
■率直に、新譜のレコード屋を始めるにあたってどう思うか
などを訊きたいというコトです。

ウチは、中古レコードしか取り扱ったコトがないので、新譜の仕入れなど具体的なコトは詳細までよく知らないのですが、知っているコトを出来るだけお伝えしました。

新譜のレコードを仕入れるには、国内のディストリビューターから仕入れる方法と、海外のディストリビューターから仕入れる方法があります。
基本的に国内、海外問わずディストリビューターから送られてくる、入荷のインフォメーションを見て仕入れたいレコードを選ぶという方法です。
国内のディストリビューターと言っても直接レーベルとやり取りしているコトって少なくて、海外のディストリビューターを経由して仕入れている場合が多いです。
仕入れ値を抑える為に中抜きしたければ、直接海外のディストリビューターを利用した方がイイと思うのだけど、やはりソコはビジネスなんで、たくさんの枚数をいつも発注してくれる国内のディストリビューターの方が、卸値が安かったりするので、一概に直接海外のディストリビューターと直接取引する方がイイというワケではないようです。
それに送料とかの絡みもあります。
枚数が少ないレコードを送るより大量のレコードを一度に送った方が1枚当たり送料の負担は安くなりますからね。
また、通関の手続きとかその他諸々のやり取りする手間のコトまで考えるとそれ程、直接海外のディストリビューターと取引するメリットはないかもしれませんね。
しかし、国内のディストリビューターと言ってもリリースされているレコードのすべてのタイトルを扱っているワケではありません。
意外かと思われるかもしれませんが、今でも毎週ある程度のタイトル数がリリースされているようです。
その極一部のタイトルだけを国内のディストリビューターはセレクトして仕入れているワケです。
やはり、イイ曲なんだけど国内のディストリビューターが仕入れないタイトルとかがあると、もう直接やり取りをしないと入荷出来なかったりというコトもあると思います。
また、そういった国内のディストリビューターからの仕入れだけに頼っているとお店の独自カラーが出しにくいってコトもあると思いますよ。
どこのお店も仕入先が同じようなトコから仕入れていると似たような品揃えになっちゃいますからね。

また、販売価格に関しても結構考えないとイケないんじゃないかと思います。
大手のディストリビューターは、卸し業務だけでなく自分のトコロでも一般のお客さん向けに販売している場合がありますからね。
国内のディストリビューターの海外からの卸値は、当然、最安値です。
そういった国内のディストリビューション業務も兼任しているお店のレコードの値段はやはり一番安価になります。
しかも利益率も一番高いです。
例えば、渋谷の大手のレコードショップの値段と地方のレコードショップの値段が同じタイトルなのに微妙に違うでしょ?
大体、大手のレコードショップの値段の方が、地元のレコードショップの値段より数百円安い場合が多いです。
国内のディストリビューターからの仕入れ値ってタイトルにもよる違いもあると思うのですが、大体6~7掛けくらいで仕入れが出来ると思います。
売値が1280円だと仕入れ値が、約900円くらいです。
レコード1枚売って300円くらいの利益です。
まぁ~実際には、お店の家賃とか人件費のコトを考えると300円より少なくなるんですけどね。
また仕入れには、最低ロットという事情もあります。
ディストリビューターにもよるのですが、1タイトル10枚が注文の最低ロットとかという制限があったりします。
これが、意外とハードルが高いんじゃないかな?って思うんですよね。
仕入れ値1枚900円で、1ロット10枚が9000円です。
そのレコードを1枚1280円で7枚販売して、8960円の売り上げです。
最低ロットの10枚を仕入れして7枚売っても残り3枚が売れ残れば、40円の赤字です。
実際は、上でも書いたように諸経費を載っけるとヘタすればもっと赤字になりかねません。
なので、売れ残りは、新譜レコードの場合は御法度というか、かなり深刻な問題になると思います。
それに中古のレコードと違い、曲の賞味期限も長くはないのでリリースから時間が経てば経つほど売れ残りを売っていくのは難しくなるという絡みもあります。
販売価格を少し上げて、このハードルをクリアーし易くするっていう手もあるのですが、今はネットでドコのレコード屋ではいくらで売っているとかカンタンに調べるコトが出来るので、難しいかもしれません。
上で、書いたようなディストリビューターとレコードの販売を両方やっているトコロに太刀打ちするにはかなり難しいんじゃないでしょうか。
この部分をカバーするには、かなり多くのお客さんに対して相当の枚数のレコードを売っていかないと商売自体が成立しにくいのかもしれませんね。

で、「率直に、新譜のレコード屋を始めるにあたってどう思うか?」なのですが、レコード屋で稼いでやる!っていう視点からイクと結構厳しいんじゃないかなとオイラは思います。
まぁ~でも、好きな音楽に囲まれて仕事したいとか、イイ曲を仕入れしてそれをレコード好きな人に届けたいとか利益優先とはまたちょっと違う観点で商売が出来るという気持ちであれば、またやり方は変わってくるのかもしれませんね。
とは、言っても高邁な理想もやはりその仕事でメシを喰えなければ継続して持続させることは出来ないので難しいトコです。
その他、いくら音楽的センスがあって、曲のコトにモノ凄く詳しく、知識が豊富だと言っても、それとレコードの販売が上手くいくというのはまた別物ですからね。




だけど、今はオイラがレコード屋を始めた10年以上前とは違って、スモールビジネスが始めやすいっていう好条件もあるとは思いますよ。
オイラが、レコ屋を始めようと思った時は、リアル店舗は必要不可欠な状況だったし、先週書いたような紙の通販リストを作るのにも結構お金がかかっていました。
そういう時代からすると、今はリアル店舗がなくてもWEBサイトだけでレコードを販売していくってコトも可能ですし、それに伴う費用もリアル店舗を構えるのとは違って、ものスゴく低予算で可能ですからね。
自宅で、WEBサイトを運営してレコードの通販を営んでいる人も実際に結構いますしね。
WEBサイトで通販のみという運営のスタイルであれば、家賃の高い都会でやる必要もないしね。
やり方次第では、ウマく行くこともあるのではないでしょうか・・・。

はたしてコレを読んで、「新譜のレコード屋をはじめよう!」って思う人がいるのかな・・・。
それよりも中古のレコード屋の始め方も知りたい?