
渋谷も人の出が少しずつですが増えてきました。
このブログでもお伝えしていますが、コロナによる巣篭もりの影響で自宅でレコードを聴いて楽しむ人が以前に比べると増えてような気がします。それに伴い、渋谷に店をかまえる当店にも初めてご来店していただいたと思われるお客さんが少し多くなってきました。
先日、「Googleで検索してはじめてお店に来ましたっ!」というお客さんにお越しいただき、少しハナシをする機会がありました。
レコードプレーヤーを購入して3ヶ月とのコトで、好きな曲をのレコードを探して購入しているそうです。
「自分の好きな曲が少しずつ増えていくっていうのは、レコード好きにとってこの上ない喜びですよね〜」なんてハナシをしていたのですが、あるレコードを手にとってこんな質問をされました。
「ボク、この曲のレコードを持ってるんですが、他のレコード店で700円で買ったんですよ。でもコチラのお店では、全然値段が違うのですがナンでなんですか?」
当ブログを読み込んでいただいている人は、そのワケをすぐ理解していただけると思うのですが、レコードを買いはじめて3ヶ月だと「再発盤」と「オリジナル盤」との違いっていうのは、なかなか理解しにくいんでしょうね。
ま〜そういったコトを教えてくれる人も周りにナカナカいないですし・・・。
このケースの説明については今までに何度も店頭ではしてきたので、コレコレこういう理由なんですよって解説しました。
で、「ウチの店では、オリジナル盤のレコードだけを販売しているんですよ」って説明させていただきました。
「そうなんですね〜というコトは、あそこのレコード店で売ってるのは、全部再発盤だってコトなんですね。」
「イヤイヤ・・・そうではナイですよ。オリジナル盤もあると思いますよ、というかオリジナル盤と再発盤の両方売ってるんですよ・・・」
長年、レコードを購入していて造詣の深い人には、当たり前のコトでもこういったコトって解りにくいコトなんでしょうね。
「再発盤ってダメなんでしょうか?」って訊かれました。
全然、そんなコトないと思いますよ。コレは完全にレコードにナニを求めるのかっていう人それぞれの考えによる部分だと思います。
レコードとして人気の高い曲は、結構な割合で再発盤が出ていますが、だいたい安価な再発盤、再発盤より高価なオリジナル盤というカンジでその価値が値段に反映されている場合が多いです。
聴くコトが出来れば、安いレコードの方がイイという価値観であれば、ソチラを購入すればイイし、聴く以上の価値観をレコードに求めるのならオリジナル盤を購入すればイイんじゃなかなって思うんですよ。
ホントにコレは、完全に個人の価値観だけの問題だと思うんです。
当店は、再発盤に関してはショップ的にナンら価値が見いだせないので扱っていないというだけなのです。
オイラもレコード・ビギナーだった頃、多くの再発盤を購入していましたよ。
だけど、その時は買ったレコードが「再発盤」だという認識は、全くありませんでした・・・。
再発盤もオリジナル盤もレコードという括りだけで買っていたっていうカンジでしたね。高校生の頃にCDが発売されるのですが、CDにはまったく良さを見出すコトが出来ず、音楽を聴く=アナログレコードというカンジで、アンチCDではありましたが、アンチ再発盤ではありませんでした。
というか、そんなに再発盤も出ていませんでしたしね。
新譜でも中古でもお店に売っているのは、意識しなくてもだいたいオリジナル盤でした。
しかし、90年代に入ると状況が一変してしまいました。
世間一般では音楽を聴く環境はほとんどCDになっている状況の中、DJブームが到来するワケです。
その当時、CDでのDJプレイはまだまだ満足にできる状況ではなくって、DJプレイをするには、アナログレコードが必須という事情だったのですが、過去の名曲のレコードなんて、もう見つからないんですよ。
つまり、そのレコードを購入したいというニーズは、あってもレコードが売っていないワケです。
そういった状況下の中で、再発盤が販売されるようになったというのが、経緯じゃないかな・・・って思います。
再発盤っていうのもコレ、一括りではなかなか説明し難い部分もあるんですよね。
ちゃんしたレコード会社からリリースされた再発盤もあれば、オリジナル盤と見た目がそっくりなブート盤とかもあって、レコード店では一緒くたにされて「再発盤」とされている場合が、多いんですよね。
レコード歴が長い人は、そういったコトを理解して購入していると思いますが、そうでない人は同じレコードという認識で購入しているんじゃないかなって思うワケです。
そういったちゃんと説明がされていない状態で、レコードが販売されているのはちょっとフクザツな気持ちになります。
個人的なハナシですが、若い頃にフツーに再発盤を買っていたオイラが、どうしてアンチ再発盤になったのかっていうと、友人と一緒にレコード店巡りをしていた時に長年探し続けていたレコードを偶然見つけて「やったっ!欲しかったレコードが見つかったよっ!」っておもむろにそれを友人に見せると、「コレ再発やん、こんなの買ったらアカンでぇ〜」って指摘されたコトがキッカケになりました。
その友人は、オイラよりもレコードへの造詣が深くオリジナル盤、再発盤、ブート盤(海賊盤)の知識があってそういったコトをその時に、教えてもらったんですよね。
友人曰く、再発盤(ブート盤)は「カス盤」(大阪弁でくず、ごみの意味)って評していました。
「同じ曲でも、オリジナル盤のレコードがあるのに、ナンでわざわざ再発盤を買うの?」ってそういった説明を受けて諭されました。確かにその時に指摘されてスゴく納得したんですよね。
それ以降は、レコードの買い方が「欲しいレコードを買う」から「欲しいオリジナル盤のレコードを買う」という風に意識するように変わりました。
だけど、そういった意識でもってレコード店を訪れていると、ホトンドのレコード店では、ソコで販売している再発盤やブート盤についての言及が全然されていないコトに気が付きました。
レコード店の壁にはられた盤に「あの名曲の再発がリリース!」とか「みんな探していたあの曲がリイシュー!」なんてカンジでレコメンドされているワケです。
店頭では、フツーにオリジナル盤も販売しているんですよ。そんな中に一緒に再発盤やブート盤も混ざって販売されているっていうのって「どうなのかな・・・」って思うようになったんですよね。
今ならハッキリと解るのですが、「情報の非対称性」でレコードを売ってるんだなぁって。
ウィキペディアにはこう説明されています。
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商品の取引における情報の非対称性
市場では「売り手」と「買い手」が対峙しているが、一般には売り手がほぼ一方的に情報を保有し、買い手は十分の情報を保有できないため、ここにも大きな格差がある。例えばある商品を取引する状況を想定したとき、売り手は商品の品質に関する豊富な情報を所持している。
他方、買い手は商品の品質に関する情報をほとんど保有しておらず、売り手からの説明に依存するしかない。しかし、売り手には商品の正しい品質を買い手に伝えるインセンティブがないため、買い手は商品の品質に関する情報について購入するまで完全には知りえない。
このように、取引・交換の参加者間で保有情報が対等ではなく、あるグループが「情報の優位者」に、他方が「情報劣位者」になり、双方で情報を共有できていない状況(情報分布にばらつきが生じている状況)が、情報の非対称性である。
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ま〜でも世の中ではこういったコトを逆手にしているビジネスって多いかもしれませんね。
next. recordsでは再発盤を扱わない理由って、自分の経験から再発のレコードをあつかわないようにしようって思ったワケです。
実際のトコロは、再発盤に全く興味がナイので店主が興味を持てないレコードを売るっていうのは、ナイな・・・って思ったんですよね。
前回、書いた記事「next recordsのはじまり」の当時、再発盤を扱うとか扱わないというハナシじたい全くしませんでした。
何故ならそもそも創業時に再発盤についてなんて云わなくても「オリジナル盤だけを扱う」っていうのは、基本の「き」の字だったんですよね。
だけど、再発盤を購入するっていうコトに関しては、ホントに人それぞれの考えや趣向なので、まったく全然肯定的な考えでいます。
「やっぱり、好きな曲のレコードはオリジナル盤で持っておきたいっ!」っていう想いに賛同していただける人に利用してもらえればイイなぁ〜って思うのであります。
GEORGE BENSON / NEVER GIVE UP ON A GOOD THING
GEORGE BENSON / NEVER GIVE UP ON A GOOD THING の試聴
next recordsのサイトでGEORGE BENSONのレコードを探してみる
う〜ん、ナンか想いをイロイロ書いているとかなり長い文章になってしまいました・・・。
再発盤やブート盤のコトを語るとホント、語っても語り尽くせない部分があります。
このブログを書きはじめたキッカケっていうのも「レコードには、オリジナル盤と再発盤があるんですよっ!」っていうコトを世間に伝えたいっていう気持ちだったんですよね。
2000年はじめの頃は、マジで再発盤 & ブート盤のリリースラッシュでしたからね。
ちゃんと事情を理解して購入しているのであればイイんだけど、ハタ目で見ていると全然そうではなくって、「オリジナル盤も再発盤も同じモノでしょっ!だったら安い方がイイじゃんっ!」ってカンジで再発盤が購入されているのを見てジクジたる思いでいたんですよ。
最近のレコード人気をうけてまた、再発盤が結構売れれるようになってきましたね・・・どうなるんでしょうか、すこ〜し危惧しています(笑)
渋谷の12インチシングル専門の中古レコード店next. recordsでは12インチシングルのレコードを買取をやっています!
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