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6月の売上を見て、ちょっと焦った

毎月の月初になると、オイラと共同経営者である相棒のN氏と前月の売上を集計しながらミーティングをしています。

今月の売れ行きはどうだったのか、どういった内容のレコードがよく動いたのかってカンジのコトをハナシしているんですよね、まぁ〜長年、レコード店を続けていると、この時間は毎月のルーティンのようなものです。

そんなある日。

前月の売上データを見ながら、相棒のN氏がから

「6月の免税売上、めっちゃ減ってるぞ。」って指摘がありました。

当店では海外から旅行で来られたお客さんには免税販売を行っています、そのため、月全体の売上の中で「外国人旅行者のお客様がどれくらい購入されたのか」が数字でハッキリと解るんですよね。

で、データを確認すると、6月の免税売上は前月の5月と比べて40%以上もダウンしていました。

「えっ?」思わず画面を二度見しました。

渋谷の街を歩けば、相変わらず海外からの旅行者であふれています。ニュースでも「訪日外国人数は過去最高を更新」という話題が毎月のように流れていました。

オイラ自身もこのブログで、「本当に外国人のお客様が増えました。」っていうコトを何度も書いてきました。

実際、お店に立っていても日本語より英語で接客している時間のほうが長い日も珍しくありません。

そんな状況だったので、

「これからもしばらくは、この流れが続くのかな〜」なんてどこかで思っていたのかもしれません。

だからこそ、6月の数字は正直かなり意外でした。

もちろん、長年商売をやっていれば、月ごとの売上に多少の波がことは十分理解していますよ。

売上なんて毎月同じになるワケがありません、良い月もあれば悪い月もある、そんなコトは何度も経験してきました。

でも、40%以上ダウンという数字を見ると、さすがにココロがざわつきます。

「ナニがあったんだろう?」とか「何かしくじったかな?」ってアタマの中ではいろいろな考えが駆け巡りました。

でも、いくら考えても思い当たる節がないんでうよね。

ホームページの更新もいつも通り続けていましたし、Googleマップの情報もこまめにアップデートしてましたし、SNSもサボっていません。

むしろ集客に関しては、手を抜いたという感覚はまったくないんですよ、だから余計に分からない。

原因が分からないというのは、経営者にとって一番厄介なんですよね。

原因さえ分かれば対策はいくらでも考えられます。でも、理由が見えないと、どこを改善すればイイのかさえ分からないんですよ。

実は、この時点ではオイラが本当に不安にカンジていたことを、自分自身でもまだ整理できていませんでした。

「外国人のお客さんが減ったコト」が怖かったのか、それとも別のナニかだったのか。この時のオイラには、その答えがまだ見えていなかったんですよね。

「6月が悪かった」のではなく、「5月が良すぎた」のかもしれない

6月の数字を見たあと、しばらくその理由を考えていたんですよね。

「ナニが原因なんだろう。」って。

相棒N氏とも、「ナニか思い当たるコトってある?」そんなハナシを何度かしたんだけど答えは出ません。

店頭に立っていた感覚としては、6月になって急に海外からののお客さんが減ったという印象は特にないんですよね。

相変わらず渋谷には海外からの旅行者がたくさん歩いていましたし、お店にも外国人のお客さんは結構来店してくれてたしね、だから余計に不思議だったんですよ。

そこで、少し冷静になってココ数ヶ月の数字を見直してみると、あることに気付きました。

4月と比べると、5月は海外のお客様の売上が約15%ホド伸びていたんですよね〜つまり、6月が特別悪かったというよりも、5月が出来すぎだった可能性もあるワケです。

さらにJNTO(日本政府観光局)の統計を調べてみると、6月は夏休みシーズン前というコトもあり、訪日外国人数がやや落ち着く時期でもあるようです。

「あぁ、そういう季節要因もあるのか。」って少しだけ安心しました。

でも、不思議なことに心のモヤモヤは消えないんですよね…数字だけ見れば、それほど悲観する必要はないんですよ、アタマでは理解できる…それなのに、どこか引っ掛かっている。

「一体、何をそんなに心配しているんだろう?」ってその時、フト思ったんです。

もしかすると、不安なのは売上が減ったコトじゃないのかもしれない。

売上よりも気になった「売上の中身」

考えてみれば、この数年でお店の景色は大きく変わりました。

2000年にNext Recordsを始めた頃、お客様は100%日本人でした。

当時はDJブームの真っ只中でレコードはDJプレイのための道具という側面が強く、お店に来られるのもホトンドが国内のお客さんでした。

ところが、コロナ禍が明けると状況は一変します。

世界的なアナログレコード人気、そして円安、さらにインバウンド需要の急回復。

いくつもの追い風が重なり、お店には海外からのお客さんがどんどん増えていきました。

そんな中でオンライン・サイトの多言語化を進めたり、Googleマップの情報を充実させたり、SNSに毎日オススメレコードを紹介したりってカンジで自分達なりにできる準備も積み重ねてきました。

その成果もあってか、

「Googleマップを見て来ました。」

「インスタを読んで来ました。」

「日本へ来たら最初にこの店へ来ると決めていました。」

そんなコトバをかけていただく機会も増えました、ホントにありがたいコトです。

最近では、月によっては店頭売上の半分近くが免税販売になるコトもあるんですよね。

店内では英語で接客している時間のほうが長い日もあったり、海外のお客さんで賑わったりする日も珍しくありません。

「こんな小さな店に世界中から人が来てくれるなんて。」ってカンジで最初は純粋に嬉しかったんです。

でも、ある日ふと数字を見て思ったんですよ「コレって、もしかして外国人のお客さんに頼り始めているんじゃないか?」って。

もちろん、お客さんが増えること自体は嬉しいことです。商売をしている以上、売上が伸びるのはホントありがたいっ!

でも、その売上の中身が以前とは大きく変わってきている…そこにオイラは少しずつ違和感をカンジるようになりました。

「追い風」は、自分では止めることも吹かせることもできない

海外からお客さんが増えた理由を考えると、そこには自分たちの努力だけでは説明できないものがあります。

・円安。

・世界的なレコード人気。

・日本旅行ブーム。

・国際情勢。

こうした外部環境が重なったコトで、お店にも大きな追い風が吹いているんでしょうね〜もちろん、その追い風を受け止められるように準備してきた自負はあります。

やっぱりそれなりの努力はしてきたつもりなので、ナニもしないで今の状況になったワケではありません。

でも、それでも思うんですよね…追い風そのものは、自分のチカラではありません。というか風向きは、自分では変えられないし、吹く日もあれば、止む日もある。

そして、今回の6月の数字を見たとき、オイラが本当に怖かったのは、そのコトだったのかもしれません。

店頭に立っていると、世界中のレコード好きと出会う

2000年にお店を始めた頃、まさか海外のお客さんがNext Recordsの売上の中心になる日が来るなんて、想像もしていませんでした。

当時のオイラ達は、むしろ海外へ買い付けに行く側でした。

アメリカやヨーロッパへ足を運び、現地のレコードショップやディーラーから直接レコードを仕入れる。その頃は、旅費や経費をかけても海外のほうがレコードは安く、日本で販売しても十分商売になりました。

20年以上前でも海外のお客さんお店に来られるコトはたまにありましたよ。

でも、その多くは日本の販売価格を見て「こんな値段で売れるの?」って驚いていました。

「レコードを日本へ持ってきたら高く買い取ってくれるの?」なんて訊かれたコトもありました。

つまり当時は、日本が「買う側」ではなく、海外が「売る側」だったんですよね。

それが今では逆転しています。

「日本へ来たら、まずレコード屋さんへ行きたい。」そんな外国人旅行者がメチャ増えました。

しかも、お目当ては日本盤だけではなく、US盤やEU盤を探しに来るお客様もたくさんいます。

「自分の国では欲しい盤が見つからない。」とか「店が減ってしまった。」や「品揃えが昔ほど良くない。」って現地のレコード店の状況をハナシしてくれるコトもあります。

20年前のオイラがこの光景を見たら、きっと信じられないでしょうね。

同じレコードでも、見ている景色は違う

店頭に立っていると、日本のお客さんと海外のお客さんでは、レコードの選び方にも違いがあることに気付きます。

もちろん人それぞれなので一概には言えませんが、海外のお客様は決断がとても早いんですよ。

日本人なら、「ちょっと考えます。」とか「また来ます。」となりそうな高額なレア盤でも、「I'll take it.(これにするよ。)」ってカンジでスパーンと買っていただけるコトがあるんですよね。

また、面白いのは好みの違いです。

日本ではなかなか動かなかったタイトルが、海外のお客さんにはすぐ売れてしまうってケースもよくあります。

逆に、日本のお客さんが熱心に探される盤が、海外ではあまり反応がないコトもあります。

同じレコードなのに、国が違えば価値の感じ方も違う…店頭に立っていると、そんな文化の違いを毎日のようにカンジるんですよね〜これは、レコードという趣味の面白さでもあります。

「この店、最高だね!」

海外のお客様は、とてもストレートです。

店内でさりげなくそのお客さんが好きそうなレコードをプレイすると、「この曲、めちゃくちゃカッコいいね!」と言って、そのまま購入してくださることもあります。

ときには、「この店、本当に品揃えが最高だよ。」ってレコード店主にとって最高のコトバを言ってくれるコトあります。

もちろん商売ですから、レコードが売れることは嬉しいです、でも、それ以上に嬉しいのは、「この店へ来て良かった。」ってそうカンジてもらえたことが伝わる瞬間なんですよね。

12坪しかない、本当に小さなレコード店です。

扱っているのも、オリジナル盤12インチシングルという、レコードの世界でもかなりニッチなジャンルのみ…それでも、その小さな店の棚の中から、お客さんが何年も探し続けていた1枚を見つけてくれる。その瞬間に立ち会えることは、20年以上経った今でも「レコード店をやっていて良かった」と思える瞬間でもあります。

でも、その景色が当たり前になってはいけない

ココ数年、お店の景色はホントに大きく変わりました。

海外からお客さんが次々と訪れる…そんな毎日が続いていると、人は不思議なもので、それが当たり前の景色になっていきます。

でも、本当は違うんですよ20年以上お店を続けてきたからこそ分かります。

商売の景色は、決してずっと同じではありません。

DJブームもありました。

レコード不況もありました。

コロナ禍もありました。

そして今は、レコードブームとインバウンドという2つの追い風が同時に吹いています。

振り返れば、その時々で「これが当たり前だ」と思っていた景色は、いつの間にか変わってきました。

だから今の景色も、永遠ではない…ってそう思っている自分がいるんですよね。

外国人のお客さんが増えたコトは、本当にありがたいことです、でもその景色を「ずっと続く前提」で考えてしまうと、いつか足元をすくわれるかもしれない。

6月の売上を見てオイラが感じた違和感は、少しずつそんな考えへと変わっていったのです。

「追い風」は実力ではない。だからこそ、次の一手を考える。

オイラは昔から心配性です。たぶん、自分でも笑ってしまうくらい心配性です。

少しでも気になることがあると、「これ、大丈夫かな?」「ナニか対策できることはないかな?」と考えてしまいます。

一方で、共同経営者の相棒N氏は、オイラとは正反対で驚くほど楽観的なんですよ。

オイラが「このままだとヤバいかもしれない。」と言うと、

「まぁ何とかなるやろ。」なんて返ってくるコトもあります。

20年以上一緒に店を続けてきましたが、この正反対の性格が、結果的にはお店にとってちょうど良いバランスになっていたのかもしれません。

もしオイラ1人だったら、心配しすぎて前に進めなかったかもしれませんからね。

商売というのは面白いもので、悲観と楽観、その両方が必要なのかもしれませんね。

「もうダメだ」と思ったことは一度もない

時々、「長年も商売をやっていると、何度も危機があったでしょう?」って訊かれるコトがあります。

でも実は、「もう店を閉めるしかない。」ってそう思ったことは一度もないんですよね。

もちろん、不安な時は何度もありましたよ。

DJブームが終わった時もそうです。

オイラがお店を始めた2000年頃は、レコードはDJカルチャーの真っ只中でした。

ところが時代は変わり、DJはアナログからデジタルへ置き換わってレコード需要は大きく変化しました。

あの頃、「このままDJニーズだけに頼って店頭販売していたら厳しいかもしれない。」

そう感じて、ECへチカラを入れるようになりました。

また、東京オリンピック前にはGoogleマップの重要性を知り、少しずつ情報を充実させてきました。

結果的にオリンピックはコロナで延期になり、外国人旅行者も激減しましたケドね。

でも、その時に積み重ねていたコトが、コロナ禍明けに大きなチカラになりました。

ブログもホームページもInstagramも全部そうです。

振り返ってみると、「今すぐ成果が出るから始めた。」というより「将来役に立つかもしれない。」

そんな気持ちで続けてきたコトばかりです。

種を蒔き続けるしかない

今回の出来事を振り返っていて、自分でもひとつ気付いたコトがあります。

オイラは昔から、「未来のために種を蒔く。」っていうコトを無意識に続けてきたのかもって。

20年以上書き続けているこのブログも途中で何度も「もうやめようかな。」と思ったか分かりません。

毎週長文の記事を書くのは、本当に骨が折れます。

すると必ず相棒のN氏が、

「Next Recordsはやる気なくなったって思われるぞ。いいのか?」って喝を入れるんですよね…そのたびに、「ソレはちょっとイヤだな〜」って思い続けてきました。

今は動画全盛の時代です…正直、ブログなんて時代遅れだと思われるコトもあるでしょう。

でも20年以上積み重ねた記事は、お店の歴史そのものになりました。

Google検索で当店を見つけてくれる方。

ブログを読んで来店してくださる方。

その1つひとつが、少しずつ積み重なって今があると思うんですよ。

ブログだけで売上が伸びたわけではありませんし、Googleマップだけでもありません、ホームページだけでもありません…全部が少しずつ、それぞれは小さな種でした。

でも、長い時間をかけて育てたコトで、お店を支える1本一本の柱になってくれたってカンジですね。

太った牛と痩せた牛」というハナシ

オイラは商売をしてゆく上で時々思い出すハナシがあります。

ユダヤの知恵として知られる「太った牛と痩せた牛」という逸話です。

豊作の年があれば、不作の年もある。だから、豊かな時に蓄え、痩せた時に備える。

細かな解釈はいろいろありますが、オイラはこの考え方が昔から好きでした。

今のレコード業界を見ていると、世界的なアナログブームがあります。

そこへ円安やインバウンド需要まで重なっています。

小さな12坪のレコード店にも、その恩恵が確かに届いています。

これは本当にありがたいことです。

でも一方で、「コレはちょっと出来すぎじゃないか?」という気持ちもあります。

もし円高になったら。

もし世界経済が変わったら。

もし旅行者が減ったら。

その時、お店はどうなるのか…そう考えるのは、決して悲観しているからではありません。

長年レコード店を続けてきて分かったコトは「追い風は、いつか止む。」というコトです。 

これは悲しいハナシではなく、ごく自然なコトです。

だからこそ、追い風が吹いている今のうちに、風が止んでも走れるお店にしておかなければならない。

オイラが今回の記事を書こうと思った理由も、実はそこにあるのかもしれません。

6月の免税売上が40%下がったことを書きたかったわけではなくってその数字を見た瞬間、自分の中に芽生えた「このままでいいのかな。」という気持ちを、一度整理してみたかったんでしょうね。

そして書きながら、少しずつ分かってきました。

オイラが怖かったのは、売上がダウンしたコトではではなくって「追い風を、いつの間にか実力だと勘違いしてしまうこと。」だったのかもしれませんね。


BLAKE BAXTER / LA LA SONG
BLAKE BAXTER / LA LA SONG の試聴
next recordsのサイトでBLAKE BAXTERのレコードを探してみる

次の10年も、この店を続けるために

今回の記事を書き始めたキッカケは、6月の免税売上が前月より40%以上減ったコトでした。

でも、書き進めながら改めて感じたのは、その数字そのものよりも、自分の頭の中を整理したかったんだということです。

長年、レコード店を続けてきました…振り返ると、ホントにいろいろな時代がありました。

DJブームがあった。

DJブームが終わった。

レコード不況もあった。

ECへ大きく舵を切った時期もありました。

コロナ禍では、「この先どうなるんだろう」と誰もが不安でした。

そして今は、世界的なレコードブームとインバウンドというダブルの大きな追い風が吹いています。

その時々で、お店の景色は少しずつ変わってきました。

で、思ったのは「時代が変わるなら、お店も変わらなければいけない。」というコトです。

ブログにインスタ、HPのリニューアルと様々なコトをやってきましたがどれも最初から大きな成果が出たワケではありません。

むしろ、「これ、本当に意味あるのかな。」と思ったコトのほうが多かったくらいです。

でも、20年以上ブログを書き続けた今だからこそ言えます。

小さな積み重ねは、ある日突然、お店の大きな財産になります。

気付けばブログはお店の歴史になり、GoogleマップやInstagramもお店を知っていただく大切な入口になっていました。

結局、お店を支えてくれているのは、ひとつの大きな成功ではなく、小さな積み重ねなんですよね。

だから、今回の出来事でオイラが考えたコトも、とてもシンプルです。

インバウンドは、お店にとって本当にありがたい存在です。

でも、その一方で、「外国人のお客様が来なくなったら終わり。」って、そんな店にはしたくないんですよね。

国内のお客さんがいて、ECがあって、ブログがあって、Google検索から見つけてくださる方がいて、海外のお客さんも来てくださる…そんなふうに、いくつもの柱で支えられているお店のほうが、きっと強いって思うんですよね。

追い風は、もちろん歓迎です。でも、お店を支える土台はソコじゃない。土台になるのは、毎日の積み重ねです。

そして、その積み重ねを続けることが、次の10年、その先の10年へつながっていくんじゃないかなってって思うんです。



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