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NHK『ドキュメント72時間』を見て驚いた

先日、NHKの人気ドキュメンタリー番組『ドキュメント72時間』で、渋谷のタワーレコードを舞台にした「渋谷“音楽の塔” みんなのプレイリスト」が放送されていました。

オイラも興味深く見ていたのですが、その中で特に印象に残ったのが開店前の光景でした。

タワーレコード渋谷店の開店時間は午前11時なんだけど開店前から店の前には長い行列ができていて、その列には外国人の姿も数多く見られました。

正直なところ、コレはちょっと驚きました。

なぜなら今はSpotifyやApple Musicをはじめとするストリーミング全盛の時代です。

音楽はスマホひとつで聴けるし、世界中の何千万曲という楽曲に月額1000円程度でアクセスできる環境が揃っているワケです。

そんな時代に、わざわざ渋谷までやって来てCDを買う人たちが午前中のお店が開店前から並んでいる…しかもその多くが海外から来ている。

コレは、一体どういうことなのだろう?

オイラ自身、ホボ毎日渋谷に通っているワケですがまさか土日でもないフツーの午前中のタワーレコードの開店前がこんな状態になっているとは全然知りませんでした。

そんな疑問から、最近あらためて世界の音楽市場について調べてみたのです。

すると、思いもよらない事実に気づきました。

それは、日本は世界でも稀に見る「レコード・CD天国」だったというコトです。


世界の音楽市場は絶好調だった

まず驚いたのが世界の音楽市場そのものです。
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国際レコード産業連盟(IFPI)が発表した「Global Music Report 2026」によると、2025年の世界の録音音楽市場は前年比6.4%増の317億ドルとなっていて11年連続の成長で、過去最高を更新しました。

その原動力となっているのがストリーミングです。

SpotifyやApple Musicなどの有料ストリーミング会員は世界で8億3700万人で売上全体の約7割をストリーミングが占めています。

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つまり世界の音楽産業は、「CDからストリーミングへ移行して衰退した」のではなく、「ストリーミングによって再成長した」と言った方が正しいようです。

オイラ自身も日常的にストリーミングを利用しています。

新しい音楽との出会いという意味では本当に便利な時代になりました。

ところが、このレポートを読み進めていくと、さらに興味深い数字が出てきます。


それでもレコードは消えなかった

ストリーミングがこれだけ普及したのだから、フィジカルメディアは縮小しているって思いますよね。

しかし現実は少し違うみたいです。

レコードを含むフィジカル市場は2025年に前年比8%成長していてさらにアナログレコードは19年連続で成長を続けています。

「19年連続っ!」です。

コレはもはや一時的なブームではナイってカンジでもあります。

レコードは完全に文化として定着したと言ってイイんじゃないかなぁ。

オイラはレコード店を営んでいますから毎日レコードに囲まれて生活しているワケですが、それでもこの数字には「マジでっ!?」って思っちゃいますよ。

ナゼ人はレコードを買うのか…音だけを聴きたいならストリーミングで十分です。

しかしレコードには、ジャケットを眺める楽しさや盤をターンテーブルに乗せる儀式感に針を落とす瞬間の緊張感、さらに音楽を所有する喜びがあります。

便利さだけでは説明できない魅力が確かに存在するのワケですがそういったレコードの魅力が世界レベルで広く知れ渡ったのかなって思うんですよね。


実は日本も音楽市場が拡大している

そしてもうひとつ驚いたコトがあるんですよ…ソレは日本の音楽市場もまあまあ成長しているってコトです。

2025年の日本の音楽市場は前年比6.7%増の6410億円になっていてこの数字は過去最高を更新したようです。

日本というと、

「CDだけが売れている特殊な国」

っていうイメージをオイラは持っていたんですが実際は違うようですね。

市場の約61%はデジタルになんですね、つまり日本でもストリーミングで音楽を楽しむのが主役です。

一方でフィジカルもいまだ39%を占めているんですよね

コレ、世界的に見るとこの割合はメチャ高いんですよ。

つまり日本は、

ストリーミングも伸びている

しかもフィジカルも伸びている

という極めて珍しい市場になっています。

ちなみに日本の音楽市場規模はアメリカについで世界第2位なんですよね。


当店で起きている状況

こうした数字を改めて読み解くとこのブログでもたびたび書いている外国からのお客さんの増加について「ナルホドね〜」って思うんです。

その増加具合は、個人的な体感では10年前の10倍以上です。

10年前なら外国人のお客さんは1日に1〜2人程度でした。

トコロが2026年の今では来店客の9割以上が外国人という日も珍しくありません。

英語だけで接客が終わる日もあるくらいです。

特にコロナ禍明けの2023年以降、その増加スピードは加速していますね。

これは単なる観光客の増加だけでは説明できない現象だとカンジています。


ドコの国から来ているのか?

国別の来店状況の傾向はこんなカンジです。

当店の場合、最も多いのはオーストラリア。

次いで、

イギリス

ドイツ

フランス

イタリア

などヨーロッパ勢。

その後にアメリカやカナダが続きます。

最近では、

シンガポール

タイ

台湾

韓国

フィリピン

などアジア圏のお客さんも増えてきましたね。

以前は欧米中心でしたが、近年はアジアからの来店も明らかに増えています。

コレは、アジアの音楽市場が急成長していることとも無関係ではナイでしょうね。


で、外国人は何を買っているのか?

外国人というと、

「シティ・ポップを探している人たち」っていうイメージがあるかもしれませんね。

確かにそういうお客さんもいます。

だけど、オイラの店の場合はぜんぜん事情が違います。

当店で扱っているのは12インチシングルです。

そのため、House / Disco / HipHop / Electro などを探しに訪れる人が圧倒的に多いですね。

そして彼らの多くはかなり詳しいんですよ。

Discogsのリストを見せながら探す人もいますし、目当ての盤を最初から決めて来る人もいます。

日本に来る前からレコードを購入するために綿密にリサーチしているカンジですね。

当店を中には、

「東京のレコード店を紹介するサイトで知った」

「友人から絶対に行けと言われた」

「AIに聞いたら紹介された」

という人までいます、まぁ〜コレも時代ですね(笑)。


ナゼ外国人は日本に来るのか?

なぜ彼らは日本までレコードを買いに来るのでしょうか。

個人的には大きく3つ理由があると思っています。

理由① コンディションが良い

まず圧倒的にコレですね。

日本人は昔からモノを大切に扱います。

レコードも同じです。

40年以上前のMichael JacksonやPrinceのレコードでも驚くホド綺麗な状態で残っているコトがあります。

海外で買い付けをしていると、

「どうやったらこんな状態になるんだ?」

って思うようなボロボロの盤に出会うコトも少なくありません。

一方、日本で販売されている中古レコードはピカピカっ!

コレが世界中のレコード好きやコレクターから評価されていると思います。


理由② 価格が安い

間違いなく円安も大きな要因でしょうね…。

日本人から見ると高く感じるレコードでも、外国人から見ると驚くホド安く見えるようです。

しかもコンディションも良いっ!

だから買わない理由がないのです。

実際、日本人なら躊躇する価格のレコードを勢いよくまとめ買いしていく外国人のお客さんを何度も見ています。


理由③ レコード店が多い

コレが日本人には意外と理解されていません。

海外から来るお客さんとハナシしていると、

「自分の街にはレコード店がない」

という話をよく聞きます。

街に一軒もない…結構、それが普通みたいですね、まぁ〜日本に訪れる外国人の人のみんながLondonやParisやNew Yorkのような大都会に住んでいる人ばかりではナイですからね。

タワーレコード

ディスクユニオン

HMV

Face Records

そして当店のような専門店まで大規模店から小さなショップまで多種多様なレコード店がありますからね。

とはいえ、渋谷のレコード全盛期(90年代後半〜2000年代はじめ頃)の半分以下ですがそんな今でも、ひとつのエリアにこれだけ店が集中している都市は世界的にも珍しいのです。


タワレコ渋谷はナゼ人気なのか

ここで最初のハナシに戻ります。

ナンでタワレコ渋谷にあれだけ外国人が集まるのかです。

個人的にはやはり、「音楽の聖地」的なイメージがあるからだからだと思うんですよね。

Tower Recordsはかつて世界中の音楽ファンの憧れでした。

本国アメリカでは消滅してしまいましたが、渋谷店は今も巨大な音楽の城として存在しています。

ビル一棟まるごと音楽。

コレだけでも十分に観光資源ともいえる存在です。

しかもアナログレコード専門フロアTower Vinylまである。

レコード好きなら一度は行ってみたい場所になっているんでしょうね〜ある意味「聖地巡礼」的なカンジになっているんでしょうね。

オイラ自身、番組『ドキュメント72時間』で見た開店前の行列には正直驚きました。

特にイベント的な催しや限定アイテムが販売されているワケでもなく、撮影中の3日間開店時に行列が出来ていたのでもう、オープン前の行列がデフォルトになっているんでしょうね。

しかし世界中の音楽ファンから見れば、あれはむしろ自然な光景なのかもしれません。


日本人は気づいていない

ココまで調べたり、外国人のお客さんと接していて思うコトがあります。

それは、もしかしたら

「日本人は自分たちの音楽環境の価値に気づいていないんじゃないか」

というコトです。

日本に住んでいると、レコード店がある・中古盤がある・CDも買える…という環境を当たり前だと思っています。

しかし世界的に見れば決して当たり前ではないのかもしれませんね。

海外のレコードファンからすると、日本はパラダイスみたいに見えるのでしょうね。

実際に、当店のようなニッチな12インチシングル専門の小さなショップにも関わらず

「毎日来たいっ!」

「何時間でもいられる」

ナンてありがたいおコトバをいただくこともあります。

最初は「またまたぁ〜お世辞がお上手なんだから〜」なんて大げさに言っているのだと思いました。

でも今ならその気持ちがわかる気がしますね。


ただし少し心配なこともある

レコード人気が高まるコト自体はメチャ嬉しいことです。

しかし気になるコトもあります。

それは、良質な中古レコードがものスゴい勢いで海外へ流出しているコトです。

レコード店を営んでいる立場としてモチロン売れるのはありがたい。

でも、「このまま何年も続いたらその先はどうなるのだろう?」ってそんなコトを考える時があります。

日本のレコード文化は、何十年もかけて積み上げられてきたものです。

その財産が少しずつ海外へ流れていく。

それは喜ばしいコトでもあり、少し寂しいコトでもあります。


LONNIE SMITH / DO IT
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もしかすると私たちはレコード天国に住んでいる

世界の音楽市場はストリーミングによって成長を続けています。

それでもレコードは消えませんでした。

むしろ価値を高めながら生き残っています。

そして調べれば調べるホド見えてきたのは、世界とは異なる日本の特殊さでした。

・世界第2位の音楽市場。

・豊富な中古盤。

・良好なコンディション。

・数多くのレコード店。

・そして音楽メディアを大切に扱う文化。

日本に住んでいると当たり前にカンジてしまいますが、世界中の音楽ファンから見れば決して当たり前ではないんですね…コレって。

渋谷で店をやっていると、そのことを日々実感します。

もしかすると私たちは、自分たちが思っている以上に恵まれた場所にいるのかもしれませんね。

そして今日もまた、世界のどこかからレコード好きが東京を目指してやって来ます。

彼らが探しているのは単なるレコードではなく、日本が長い年月をかけて育ててきた音楽文化そのものなのかもしれませんね〜、ちょっとポエミーなシメですが(笑)


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