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レコード人気の再燃と、リアル店舗に戻ってきた「掘る楽しさ」

ココ数年、世界的なアナログレコード人気の高まりをリアルにカンジています。
Nex Recorodsは、渋谷でオリジナル盤12インチシングル専門の中古レコード店を営んでいるのですが、扱っているレコードが12インチシングルのみというメチャ狭いレコードだけなのに最近はホント、世界中からお客さんが来店してくれるようになりました。

少し前までは、どちらかというとネット通販の売上の方が大きかったんですよね…当店はかなり早い段階からオンライン販売にも力を入れていたので、日本全国からネット経由で購入して頂いたいました。だから一時期は「店頭売上 < ネット通販売上」という状態がフツーだったんです。

トコロが最近は、その流れが少し変わってきました。

今はむしろ、「実際に店へ行ってレコードを掘りたい」という人が明らかに増えているなぁ〜ってカンジています。

店頭で夢中になって何時間も棚を掘り続ける人もいれば、「なんか良い曲ないかな〜」って偶然の出会いを求めながら試聴している人もいる。

そういう光景を見るたびに、レコード店主的にはナンだか嬉しくなるんですよね。

やっぱりレコードって、単なる「音楽ソフト」じゃないと思うんですよ。

ジャケットを手に取った時の感触だったり、ジャケットをめくる音だったり、店内に流れている音楽だったり、隣のお客さんが何をチェックしているのか気になったり…。そういう空気感も全部含めてレコード店なんだと思うワケです。

だから最近、「リアル店舗でレコードを探す」という行為そのものが、またひとつのカルチャーとして見直されているような気がしていて、レコード店を営んでいる立場としては本当に嬉しいんですよね。

だけど、そんな日々の中で、時々オイラ自身も説明のつかないような“モヤモヤ”を感じる瞬間があります。

「○○ありますか?」の一言に感じる、説明しづらい違和感

そのモヤモヤを感じる瞬間というのが、スマホ画面を見せながら、

「○○ありますか?」

って訊かれる時なんです。

モチロン、探しているレコードがある気持ちはよく解るっ。オイラ自身、レコード店の店主である前に、筋金入りのレコードコレクターでもあるので、「どうしても欲しい1枚がある」という感覚は痛いホド理解できます。

だけど、時々そのやり取りの中に、なんとも言えない違和感をカンジることがあるんですよね。

例えば、スマホの画面を見ると、かなり人気の高いレア盤だったりするんですよ。

時にはDiscogsの画面そのままだったり、Instagramで誰かが紹介していたレコードだったり。

もちろん、タイミングによっては在庫している場合もあります。

でも、そういう盤って基本的には回転も早いので、大抵はもう売り切れているコトが多いんです。

なので正直に「すみません、在庫ナイですね〜」とお伝えすると、

「どこに行けばありますか?」

って訊かれるコトもある。

いやいや…オイラも渋谷で長年レコード店をやっていますけど、渋谷中のレコード店の在庫を全部把握しているワケじゃないんですよ(笑)

なので「解らナイですね〜」と返事をすると、そのままお店を出ていく方も結構多い。

このやり取り、日本人だけでなく外国人でも同じです。

ココで毎回、なんとも言えないモヤモヤが残るんですよね。

店頭には常時5000枚くらいのレコードが並んでいる。Soul、Disco、House、HipHop、Boogie、Garage、New Wave、R&B等…。
世界中から探してきたオリジナル盤がレコード棚にびっしり並んでいるんです。

だけど、その5000枚のレコードには一切目もくれない。

スマホ画面の中の「答えの1枚」だけを確認して、「ありません」「じゃあ失礼します」で終わってしまう。

その光景を見るたびに、「なんでオイラはこんなにモヤモヤするんだろう?」って考えるようになりました。

実は「レア盤が欲しい人」にモヤモヤしているワケじゃない

誤解してほしくないんだけど、オイラは別に「レア盤を探している人」が嫌いなワケではありません。むしろ「レアなレコードを手に入れたいっ!」っていうその気持ちはめちゃくちゃ理解できるんですよ。

レア盤って、やっぱり特別なんですよね。

数が少なかったり、時代背景があったり、DJ達のプレイによって神格化されていたり、長年再発されていなかったり…そういう物語を背負ったレコードって、やっぱりコレクター心をメチャ刺激するんです。

だから「どうしても欲しい」という感情は自然なコトなんだと思います。

ただ、オイラが多分モヤモヤしているのは、“レア盤を探しているコト”そのものではなく、「ありますか?」って訊いて、「はい、ありますよ」でカンタンに終わってしまうコトなんだと思うんですよね。

もちろん商売なので、在庫があれば販売します…それは当然のコトです。

でも、レコード店側の感覚としては、人気の高いレア盤ってある意味「お店の顔」みたいなトコロがあるんですよね。それを初めて来たお客さんが、店頭のレコードを一切見ないままピンポイントでチェリーピックしていく。

しかも、そのスマホ画面のDiscogsでは普通に販売されていたりする。

正直、心の中では「今そのスマホでポチれば買えますよね…?」って思う時もありますよ(笑)

でも、タブンそれ以上にオイラが引っかかっているのは、「探す過程」を全部ショートカットしてしまう感覚なんだと思うんですよね。

レコード文化の醍醐味は「発掘」にあるかも

オイラがレコードを探し始めた頃って、今みたいにネット検索なんてありませんでした。

Discogsもない。YouTubeもない。Instagramもない。

だから、気になるレコードや欲しいレコードがあった時は、とにかく自分の足で探すしかなかった。

レコード店を何軒も何軒も回って、1日に何千枚もチェックする。でも、大抵はナニも見つからない。空振りなんて当たり前でした。

だけど、その中で突然探していたレコードに遭遇する瞬間がある。

レコード棚から1枚スッと抜いた瞬間、

「あれ…コレって…」ってなる。

そしてジャケットを見た瞬間、

「うおっ!! 来たっ!!」

ってホントに声が出る。

あの瞬間、脊髄にビリビリ電気が走るような感覚になるんですよね。脳からアドレナリンがドバドバ出ているのが自分でも解るくらいコーフンするっ。

しかもそれが何年も探していたレア盤だったりすると、本当にヤバいっ。

あの感覚って、多分レコードコレクター特有の快感なんじゃないかと思うんですよ。

そして、その「見つけた記憶」ってずっと残るんですよね。

ドコの店で見つけたのかとかどんな状況だったのかってカンジで。

レコードそのものだけじゃなく、ナンていうかその1枚と出会った瞬間まで含めてコレクションになっている。

だからオイラは、多分レコードそのもの以上に、「レコードとの出会い方」も大事にしているんだと思います。

ネット時代のレコード探しは、便利だけど少し味気ない

モチロン、今の時代の便利さを否定するつもりはありません。

今は世界中の在庫を検索できるし、昔なら一生見つからなかったかもしれないレコードが数クリックで買える。これはホントに凄い時代だと思う。

でも、その反面「発掘する」という感覚はかなり薄れてしまったかもしれない。

今は欲しい盤が先に決まっていて、その答えへ最短距離で向かう時代です。

だけど昔は違った。

棚を掘っている途中で、

「なんだコレ?」

って知らないレコードに出会う。

で、試聴してみたら、

「えっ、めちゃくちゃ良いじゃん!」

って衝撃を受ける。

むしろ、そういう偶然の出会いの方が多かった気がします。

だから、せっかくリアル店舗へ来ているのに、棚を一切見ないで「ありますか?」だけで終わってしまうのを見ると、「ナンかもったいないなぁ〜」って思ってしまうんですよね。

もしかしたら、そのお客さんがまだ知らない「人生を変える1枚」が、すぐ隣の棚に眠っているかもしれないのに…って思っちゃうワケです。

常連さんにレア盤を出したくなる理由

コレ、かなり本音なんだけど、常連さんにはレア盤を出したくなるコトがあります。

もちろん商売としては「お客さんを差別しない」が基本だとは思いますよ。

だけど、やっぱり販売している側も人間なんですよね。

毎回来店してくれるたびに一生懸命棚を掘っている人。
有名盤だけじゃなく、無名盤にも興味を示している人。
情報じゃなく、自分の耳で良い曲を探そうとしている人。

そういう人を見ると、「この人に喜んでもらいたいな」って自然と思う。

だから、

「コレ、探してましたよね?」

ってバックストックから出したくなる。

これって別に「常連だから偉い」ってハナシではなく、音楽への熱量に共感しているんだと思うんですよね。

レコード店って、単なる小売店ではあるんだけど、同時にレコード好き同士のコミュニケーションの場所でもあるんですよね。

だから、人対人の関係性の中でレコードが動くコトもあると思います。

オイラ自身、昔レコードを探していた頃に、懇意にしていた店員さんから、

「コレ、探してたでしょう?」

って差し出された経験があります。

アレ、めちゃくちゃ嬉しかったんですよね。

単にレコードを買っただけじゃなく、「自分の探していたレコードのコトを覚えていてくれた」っていう喜びも含まれているんでしょうね。

そういうのって、ネット通販ではなかなか味わえないリアル店舗ならではの体験ナンじゃないかなって思います。

タブン、「レコードとの出会い方」が好きなんだと思う

レコードの買い方に正解なんてありません。

欲しいレコードを効率良く最短距離で手に入れるのも悪くない。Discogsで検索して、そのまま購入する。それも現代のレコードカルチャーの一部だと思います。

だけど、何千枚もの棚を掘って掘って掘りまくった先で、偶然探していた1枚と出会う喜びって、やっぱり特別なんじゃないのかなって思うんですよね。

しかも、そうやって苦労して見つけたレコードって、自分の中で超スペシャルな1枚になる。

まぁ〜だから個人的には、レコードそのもの以上に「レコードとの出会い方」を大事にしているんだと思います。


ELTON JOHN / I'M STILL STANDING
ELTON JOHN / I'M STILL STANDING の試聴
next recordsのサイトでELTON JOHN のレコードを探してみる

レコード店に来たら、ゼヒ棚を掘ってみてください。

探していたレコードは見つからないかもしれない。

でも、その代わりに「アレ?なんだコレ…めちゃくちゃ良いじゃん…」っていう、自分でも予想していなかった1枚と出会えるかもしれない。

そして、多分そういう偶然の出会いこそが、レコードという趣味をどんどん深く、面白くしていくんじゃないかなってオイラは思うんですよね。


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