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■ 渋谷のレコードシーンの変化とリアルな実感

このブログでも何度も書いていますが、最近ホントにレコードの人気が続いているなって実感しています。

当店みたいな、正直かなりニッチで小さなレコード店でも、週末になると初めて来てくれるお客さんが増えてきていますし、日本人だけじゃなく海外からのお客さんも多い。
渋谷という街の特性もあると思いますが、それにしてもここ数年の流れは明らかに変わってきているなとカンジていてちょっと大袈裟に例えると一種のバブルのようにも見えますね。


■ 大型店を見て感じたちょっとした違和感

そんな中で、オイラ自身も時々、渋谷にある他のレコード店を見に行くことがあります。

いわゆる視察ですね…特に大型店なんかに行くと、マジでレコード棚をガサガサと掘っている人の多さや壁一面にディスプレイされたレコードの品揃えの幅の広さに改めて驚かされます。

新譜から再発盤、中古盤までジャンルもかなり幅広く、いわゆるライトユーザーのヒトでも入りやすいお店づくりがされている印象でメチャ参考になります。

レコードをこれから始めようとしている人にとっては、ああいう空間はとても大切だし、文化として広がっていく上ではスゴく重要な役割を担っていると思います。

そういったイミではやっぱりお店つくりが上手いなぁ〜って思いますね。

ただ、その一方で、オイラは毎回ちょっと気になるコトがあります。


■ 情報だけでは選べないレコードの現実

そういった大型店の店頭に並んでいるレコードの商品札を見ると、アーティスト名、タイトル、生産国、コンディション、価格といった、いわゆる必要最低限の情報だけが書かれているコトがホトンドなんですよね。

モチロンそれはレコード店として正しい情報ですし、長年この文化の中にいる人にとってはそれで十分なのかもしれません。

でも正直なトコロ、「これだけの情報で知らないレコードを選べる人ってどれくらいいるんだろう?」っていつも思ってしまうんですよね。

特に最近増えているような、レコードを聴き始めたばかりの人たちにとっては、店頭に並んでいる大量のレコードを見ても「結局どれがイイのか分からない」という状態になりやすいんじゃないかなとカンジているんですよね。


■ 初心者のお客さんとの会話から見えた本質

こういったオイラがカンジていたこのコトをよりリアルに実感したのが、先日当店に来てくれた20代のお客さんとの会話でした。

そのお客さんは1年くらい前からレコードに興味を持って、レコードから流れる音楽はどんなカンジなんだろう〜ってずっと思っていたトコロ、もうガマンの限界になって数ヶ月前にレコードプレーヤーを買ったばかりだそうでした、ん〜ガマンするホドでは、ないと思うのですが(笑)

最初は以前から気になっていたレコードを何枚か買って楽しんでいたそうなんですが、「今日はレコードを買うぜっ!」と思ってお店に訪れても、並んでいるレコードを見て「どんな曲なのか全然分からなくて、結局買えなかった」というハナシをしてくれました。

「レコード買うのって結構、ムズカシイですね〜」とも言ってました。

これ、すごくリアルなハナシだと思うんです。


■ 「分からない」が購買を止めてしまう理由

レコードって、サブスクみたいにその場で気になる曲をサクサク聴けるワケじゃないし、ジャケットだけで判断するには情報が少なすぎると思うんですよ。

だから「分からない」という状態になると、途端にハードルが上がるんでしょうね。

そんな時に、そのお客さんが偶然見つけたのが、オイラが毎日投稿しているインスタのレコメンド記事だったそうです。

オイラは店頭に在庫しているレコードから1枚セレクトして画像メインのSNSではありえないホドの1000文字を超えるボリュームのレコメンド記事を毎日投稿しています。

まぁ〜全文読んでくれるとはサスガに思っていませんが(笑)

そういったオイラのインスタの投稿記事を読んで初めて「レコード1枚1枚にストーリーがあるんだ…」というコトを知ったと言ってくれました。

その後、実際にお店に来てくれて、インスタで紹介していたレコードや、店頭に並んでいる商品札に書かれている一言コメントを見ながらレコードを選んで購入していただいたとのコト。

そして帰り際に「こういうコメントがあると選びやすいですね」って言ってくれたんです。


■ 一言コメントが生み出す「想像の入口」

当店では、店頭でもオンラインでも、すべてのレコードに100文字くらいの一言コメントを付けています。

別に長い解説じゃなくって「ダークな世界観でアフターアワーズ向けのHouse」とか、「フックでのエモーショナルな展開で盛り上がる多幸感系サウンド」や「DJ〇〇がピークタイムにプレイ!」とか、ホントに一言だけその曲の持ち味なんかを記載しているってカンジです。

でも、その一言がアルだけで、そのレコードに対するイメージが少しだけ「コレ、どんな曲なんだろう…」ってムクムクと興味が立ち上がってくるんじゃないかなぁ〜って思っています。

ココで大事なのは、コメントの役割は「説明」ではなく、「興味のキッカケ」を作るコトにあると思っているんですよね。

ヒトって、何かを完全に理解したときに動くというより、「アレ?これ何だろう?」って引っかかったときに動くんじゃないかなって思うんですよ。

この感覚って、以前読んだマーケティングの本に書かれていた「商品のストーリーを語れ」という考え方とちょっと近いかもってって思ったんですよね。

商品はスペックだけを並べてもなかなか売れないケド、その背景や意味、聴いた時のイメージを伝えるコトで共感が生まれるんじゃないかなっていうハナシです。

レコードのストーリーって、どんな時代に生まれた音なのか、どんなクラブで鳴っていたのか、DJがどう使うのか、家で聴くならどんな雰囲気や気持ちに合うのか…そういった音の向こう側だと思うんです。


■ コメントが購買の後押しになる理由

長年レコードの販売に携わってきた経験上、コメントを書くと確実に売れ方が変わってくるんですよね〜もうナン年も動かなかった在庫がコメントを少し変更したら動いたり、インスタへ投稿した商品が売れたり…これはつまり聴いて「ちょっとイイかも?」って思ったレコードを「コレ、欲しいな」って気持ちへの最後の一押しになっているんじゃないかなぁ〜って思っているんですよね。

まぁ〜コレは、オイラのレコード店主としてというよりも、それ以前のレコードを買う側だった時の経験も大きく影響していますね。

当時は、新譜をよく買っていたんですが音楽雑訴で紹介されているディスクレヴューやレコード店で今週入荷したオススメコメントなんかを頼りにレコードを買っていたのが結構影響としては大きいですね。

お客さんって、最初から買うものが決まっている人と、「何か良いものないかな」って探している人の2タイプがいると思うんですよね。

特に後者の「良い曲」を探している人にとって、レコードの商品札に記載されている一言コメントは選ぶためのヒントになっているんじゃないあかなって思うんですよね。


■ なぜ他のレコード店ではあまり実践されていないのか

正直に言うと、この「ナンで他の店はコメントを書かないんだろう?」というモヤモヤした気持ちがオイラの中でずっと引っかかっていたんですよね。
まぁ〜他店の運営方針にとやかくいう気はまったくないんですが、オイラの感覚では、一言コメントを付けるだけでお客さんの反応は明らかに変わるし、実際に購入にもつながっている。
インスタの投稿もそうだし、店頭のコメントもそうです…これはもう効果があるというより、イミがあるコトとして確信しているんですよね。

だからこそ、「こんなにシンプルで効果があるコトなのに、ナンでやらないんだろう?」って、率直に思うんですよね。

でも最近になって、このモヤモヤの正体が少し分かってきた気がしています。

たぶんオイラは、「レコード店はこうあるべきなんじゃないか」という自分なりの正解を持ってしまっているんでしょうね。

つまり、レコードってただ並べるだけじゃなくて、その背景やイミ、どう楽しめるのかを少しでも伝えた方が、お客さんにとってゼッタイに良いハズだっ!という確信がある…その確信があるからこそ、「なぜ他の店はやらないのか?」という違和感につながっているんだと思います。
ただ、冷静に考えてみると、レコード店って一括りに見えて、実はそれぞれ全然違う役割を持っているんですよね。

ウチのNext Recordsは、ドチラかというと「イミを付けてレコードを届ける店」だと思っています。1枚1枚に対して、当店なりの解釈や使い方をコトバにして、それをヒントに選んでもらうという、いわば編集する感覚に近いイメージです。

一方で、大型店は「選択肢を提示する店」なんだと思うんです、とにかく幅広く、たくさんのレコードを揃えて、その中からお客さん自身が選ぶ…いわば場を提供する役割みたいなイメージです。

この違いに気づいたときに、あ〜ナルホドってちょっと腑に落ちたんですよね。

つまり、やっているコトが違うから、やらないだけなんだなと。

オイラからすると「コメントがあった方が絶対イイじゃん」と思うんだけど、大型店からすると「それよりも在庫の量や回転を優先する」という判断になる…ドッチが正しいとかじゃなくて、そもそものゲームが違うみたいなカンジです。

でも、それでもやっぱり思うんですよね〜、オイラは、レコードって選ぶ楽しさも含めて価値があると思っているし、その選ぶ過程でホンの少しでもヒントがあった方が、体験としては絶対に豊かになるとも思います。

だからこそ、コメントを書くことはやめないし、むしろこれからも続けていきたいと思っています。

そして、このモヤモヤ自体も、悪いものじゃないなとカンジています。

「もっとこうした方がいいんじゃないか」とか、「こうすればお客さんに伝わるんじゃないか」と考えるコト自体が、たぶん店を良くしていく原動力になるっていう部分も確実にありますからね。

もしオイラが「他もやってないし、まあいいか」と思ってしまったら、その時点で成長は止まる気がするんですよね。

だからこの違和感は、そのまま持っておこうと思っています。

他と同じコトをするんじゃなくて、自分なりに「レコードの楽しさ」をどう伝えるかを考え続ける…その積み重ねが、結果的にNext Recordsの個性になっていくんじゃないかなって。

そう考えると、このモヤモヤも悪くないですね〜むしろ、ちょっとオモシロイです。
逆に言うと、こういう細かい部分は小さなレコード店だからこそ出来るコトでもあると思っていますしね〜1枚1枚に目を向けて、自分のコトバで意味を添える、それが店の個性になっていくみたいなね。


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■ これからも大切にしたいコト

これからもオイラは、インスタの深掘り解説も、店頭の一言コメントも続けていこうと思っています。
レコードに詳しい人にも、これから始める人にも、「選べる楽しさ」を感じてもらえるような店でありたいっ!

レコードって、タダの音楽メディアじゃなくて文化の断片だと思うんですよね〜だからこそ、その背景やイミを少しでも伝えるコトで「1枚の価値」が大きく変わるんじゃなかなって思うワケです。

もし「何を買えばイイか分からない」と思っている人がいたら、ゼヒ一度、コメントを頼りにレコードを選んでみてください。

そして渋谷に来る機会があれば、オイラの店にもふらっと立ち寄ってみてください〜知らなかった1枚との出会いって、やっぱり最高にオモシロイですよっ!


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