■ 海外に売るということは、世界とつながるということ
2025年4月から当店では越境ECを本格的にやり始めた。
その時に投稿したブログ記事はコチラ
世界中にレコードを通販したい!目指せ越境EC化っ!
渋谷でレコード屋をやっていると、海外から来るお客さんもメチャ多いし、「この店の商品構成は海外でも結構、ニーズあるかも?」と思う場面はこれまで何度もあっんですよね。
だからこそ、Next Recordsとして海外通販に踏み出したのは、ごく自然な流れだったと思います。
悪戦苦闘していますが…。
実際、少しずつではあるけれど海外からの注文は確実に増えてきています。
注文が入るとやっぱり嬉しいんですよね〜「よっしゃーっ!」って気持ちになるし、レコードを丁寧にクリーニングして、しっかり梱包して送り出すあの瞬間は何度やっても気持ちがイイ。
渋谷の店頭で手渡すのとはまた違う、「この1枚が海を越える」という実感がありますしね。
ただ、その裏側には現実がある。ロマンだけでは済まされない部分。ココからが、越境ECの「本当の顔」となります。
■ 「届かないんだけど?」という日常
海外からの注文が増えるのと比例して増えてきたのが、トラブルです。
その中でも圧倒的に多いのがコレ。
👉「荷物が届かないんだケド、どうなってんの?」ってヤツです。
数週間前に「よっしゃーっ!」と送り出したレコードに対して、こういう連絡が来るんですよ。でもコレ、最初のうちは焦るんだケド、だんだんとパターンが見えてきたんですよね。
当店では海外発送は必ず追跡付きの配送方法で出荷しています。具体的には日本郵便のEMSか、もしくはDHLですね。このドチラかで送っているから、荷物が今どういう状態なのかってコトや現在地は必ず把握できるワケです。
だから「荷物が届かない」って連絡があると落ち着いて追跡を確認するとホボ毎回同じ状況に出くわす。
👉「現地の最寄り集配所で保管中」
つまり、届いていないのではなく、
👉 “そこにあるのに受け取られていない”
という状況なんですよね〜。
■ 親切にやっても、なぜか届かない
この状況になると、オイラはお客さんにメールを送るワケです。
「最寄りの配送業者に連絡して、配達依頼をしてください」っていう内容をお知らせするんですよね。
場合によっては、
- 現地の配送会社の連絡先
- 電話番号
- 具体的な問い合わせ方法
ココまで調べて送るコトもある。
正直、「そんなコトまでやらないとイケないの…」って思うコトもあるんですよ…でも、せっかく当店を選んで買ってくれたレコードだから、ちゃんとお客さの元へ届けたい。
でも、ココからがさらなる問題が起きます。
👉 返信がない
👉 荷物が動かない
👉 時間だけが過ぎる
そしてある日、
👉「保管期限切れのため返送」
悲しいかなコレが、現実…(泣)
■ 紛失ではない、「未受取」という問題
ココで重要なのは、決して荷物が紛失しているワケではないというコトなんですよ。
ご存知の通り日本国内の配送事故率は、ほぼゼロに近いんですよね…体感としても10万件に1件あるかどうかってカンジでそれくらい日本の物流は優秀なワケです。
しかしっ!海外になるとハナシはまったく変わります。
👉 未着率は2〜8%
コレ、数字だけ見てもかなり大きい差だと思うんですよ。
そしてその未着の中身を見ていくと、ホトンドが紛失ではないんですよ。
👉 受け取られていないだけ
という状況なんですよね。
日本では、海外へ送った郵便物がよく失くなるっていうイメージがあると思うのですが、追跡が出来る配送方法で送った場合はオイラの経験では紛失したっていうにはかなり少なくって多くの場合、荷受け人に届けられずに返送されてくるってケースなんですよね。
■ ラスト1マイルという壁
で、この問題の核心にあるのが「ラスト1マイル」ってヤツです。
つまり、最後に荷物を届ける段階だ。
物流業界ではもこの「ラスト1マイル」問題は大きな課題となっていますね。
日本の場合は、
- 不在でも何度も来てくれる
- 再配達もカンタン
- とにかく届ける
という文化が定着していますよね。
でも海外はまったく違うんですよ。
- 一度配達して終わり
- 不在なら保管
- あとは自分で取りに来て
つまり、
👉 届ける文化ではなく、取りに行く文化
この違いが、未着率の差を生んでいるようです。
■ 関税というもう一つの落とし穴
さらにヤヤコシイのが関税の存在ですね。
海外では商品が税関に到着すると、
👉「税金を払ってください」
という通知が購入者に届きます。
でもこの納税の通知自体が購入者へ
👉 届いていない
👉 気づかれていない
というケースがかなり多いようです。
その結果、
👉 荷物は止まる
👉 お客さんは気づかない
👉 「届かない」と問い合わせが来る
このループが発生するんですよね。
■ 5ヶ月かかったレコードのハナシ
実際にこんなコトもあった。
アルゼンチンに送ったレコードが、到着までに5ヶ月かかったんですよね。
お客さんから「注文したレコードが届かないんだケド…」ってお問い合わせがあったので調べてみると地元の税関で荷物が止まっているんですよ。
なので、「アルゼンチンの現地の配送業者Correo Argentinoに連絡して納税手続きを行って荷物を受け取れるように手配してください」っていう具体的なアクションを起こしてもらうように連絡するんですよ。
でもお客さんは「そのやり方がわからない」って…。
さすがに最初は「え?」って思ったけど、調べてみるとアルゼンチンは税関手続きがかなり厳格かつフクザツで、カンタンには受け取れないらしい。
しかもご注文いただいたお客さんはアルゼンチンの人ではなくって、スイス国籍の人で状況はさらに複雑化していました。
困ったので日本郵便へ荷物の調査請求書を提出したのです提出してから1ヶ月後に「荷物はすでに現地にあるため日本側から何も対応できない」っていう返事がくる始末。
結局、購入者側がアルゼンチンの税関が求める手続きを完了しなければ、荷物を受け取るコトが出来ない状況でした。
まぁ〜お客さんも相当苦労したようで出荷から5ヶ月経ってようやく「やっと受け取るコトが出来た!」って連絡がありました。
こういう国ごとの事情って、ホント日本にいると本当に分からないですよね〜でも越境ECをやるなら、ココは避けて通れないんですよ。
■ 届かない国のリアル
オイラの体感だと、
- スペイン → 7割くらい返送
- メキシコ → 5割くらい返送
もうね、マジで届いたらラッキーってレベルです。
これはもう配送というより「確率」のハナシになってきている。
毎回、スペインとメキシコから注文が入ると「大丈夫か…」ってヒヤヒヤするんですよね。
で、結局日本郵便のEMSで注文品を送るのですが1ヶ月後くらいに返送されてくるっていう絶望的状況です。
オイラもこのスペイン & メキシコにはかなり気をつけて荷物の配達状況を頻繁に追跡してチェックしているのですが、だいたい地元の集配所で止まってしまうんですよね。
そのタイミングでお客さんに「荷物があなたの近くに届いているので受け取れるように手配してください」ってメールを送るのですがホトンドがそのまま放置されて結果、返送されるという…虚しい状況。
で、スペインやメキシコのお客さんに訊くんですよ「ナンで受け取らなかったのか?」って。
すると、荷物が届いたという知らせ自体がそもそもお客さんに届いていないんですよね。
「ナンじゃソレ?」ってカンジですよ。
税関からの納税通知も届いていないし、荷物の不在通知も届いていないという…「そんなのどうやって荷物を受け取るコトが出来るねんっ!」っていう状況のようです。
そりゃ〜返送されてきますよね。
■ DHLという安心、でも高い壁
じゃあ全部の荷物を日本郵便のEMSではなくって、DHLで送ればイイじゃないか、となる。
確かにDHLはスゴい…もう日本の宅配業者と同じレベルのカンペキなシステムを世界中に構築しているっ!
- お客さんへ電話で連絡してくれる
- SMSも送る
- 通関もフル・サポート
👉 とにかく「届ける力」がEMSにくらべて圧倒的に強いっ!
実際、DHLで送った荷物は今のトコロ全部届いている。
ただし、
👉 送料がメチャ高い
EMSの2〜3倍は当たり前。
コレをそのままお客さんに乗せると、
👉 注文自体が減る可能性がある
ココが難しいトコロでもあります。
■ メールを読まない時代
そして最近強くカンジているのがコレ…。
👉 お客さんがとにかくメールを読まない
オイラはいつもできるだけ荷物を受け取ってもらえるように丁寧に説明しても、
👉 そもそもメールが見られていない
コレは日本でも同じで、今はLINEやSNSの時代ですしね。
海外だと特に、
👉 SMS文化ですからね
つまり、
👉 正しい情報を送っても、見られなければ意味がナイ
ってワケです。
■ 越境ECは「伝える設計」がすべて
ここで気づいたんですよね荷物が受け取られないっていう問題は配送だけじゃないんじゃないかって…。
👉 伝え方に工夫が必要で
・どこに送るか
・どう見せるか
・どう行動させるか
ココまでキチンと含めて設計しないと、越境ECは成立しないのかなって思うワケです。
とりあえず、Next Recordsのオンライサイトは多言語化したり世界中の通過で買い物が出来たり、その国ごとの送料設定が自動で出来たりにはなりましたケド、まだまだ発展途中なのかもしれません。
送った商品が未着トラブルとならないよう未然に防げるような仕組み作りをもっと考えなけれイケないなぁ〜って思います。
■ それでもレコードを届けたい理由
もうそんなに手間がかかるんだったら海外へ向けての販売自体をやめちゃえばイイんじゃないのかっていう判断もありますね。
でも、今のトコロはまだ全然ヤメる気は一切ナイんですよ。
やっぱりレコードの実店舗販売やネット通販をやっていると海外向けにEC事業をやるっていうのは販路を拡げるというイミではチャンスだと思っているんですよね。
まぁ〜日本では、なかなか価値を見いだせないタイトルのレコードも海外のとある国ではメチャ人気の盤だったりしますしね。
Next Recordsでは「そのレコードを欲しいって思う人に確実に届ける」というミッションを掲げているのでソレは、日本国内でも海外でも同じワケです。
なのでコレからも越境ECには邁進してゆく所存でありますっ!
レコードはただの物じゃない。
- 音楽の記憶
- 時代の空気
- カルチャーそのもの
その1枚が海を越えて、誰かの元に届く…ん〜コレはやっぱりロマンかもしれませんね。
だけど、一昨日はポルトガルから、昨日はベルギーから荷物が返送されてきた…(泣)
ん〜理想は高いんだけど現実はねぇ…。
■ 「届いたよ」の一言ですべてが報われる
まぁ〜ナニかと骨の折れる海外向けのネット通販ではありますが、無事に届いたお客さんから、
👉「最高のレコードありがとうっ!」
って、このメッセージをもらうと、全部報われるかなぁ〜って思うんですよね。
「あぁ、やってて良かったな〜」って思う瞬間でもあります。
MADONNA / AMERICAN LIFE
MADONNA / AMERICAN LIFE の試聴
next recordsのサイトでMADONNAのレコードを探してみる
■ 渋谷から世界へ、まだまだ試行錯誤中
だから今、考えているのは、「 どうやって確実に届けるか」っていう具体的な仕組みですね。
- SMSの導入
- 配送方法の最適化
- 国ごとの戦略
まだまだ試行錯誤中ですが…。
でもそれも含めて、このシゴトの面白さかもしれませんね。
Discogsやebayを通じて世界中へ向けてレコードの販売で業績を伸ばしているトコロは、結構あるかもしれませんが、自店舗のネット通販で世界中にレコードを販売しているトコロってドコなんだろう。
ちょっとリサーチしてそのやり方を参考にしようと思います。
渋谷の小さなレコード店から、世界中へ音楽を届ける。
それはカンタンじゃないです…でも面白いしやり甲斐はメチャあるっ!
なぁ〜んてコトを考えながら今日もレコードを磨いています。
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