
先日、当店で利用しているECサイトのカートシステム会社から、一通のメールが届いた。
日々の業務に追われながらナニ気なく目を通したその内容は、パっと見たカンジでは「何かAI絡みの新機能が追加されるのかな?」という程度の印象だったんだケド、正直に言うと最初に読んだときは、その意味がまったく理解できなかった。
メールに記載されていた内容はこんなカンジです。
Agentic StorefrontsでのChatGPT…購入者はChatGPT内で商品を見つけて購入を完了できるようになります。この Agentic Storefront チャネルはストアでデフォルトで有効になり、管理画面から設定を変更できます。
イヤ、ちょっと待ってくれと(笑)。
ナンとなく「すごいコトが書いてある」という雰囲気だけは伝わってくるのだが、具体的に何がどう変わるのかが全然イメージできない。
Agentic Storefrontsってナニ? AIがナンかやってくれるのは解る。でも「ChatGPT内で購入完了」ってどういうコトなんだ?と、頭の中に疑問符ばかりが浮かんだんですよね。
こういう時のオイラは最近だとだいたい同じ行動をとる…つまり、そのままAIに訊いてみる(笑)。
届いたメールの文章をそのままコピペして「コレってどういう意味?」って訊いてみたんですよ。
すると返ってきた答えは、思っていた以上にシンプルで、そして衝撃的でした。
どうやら、AIとやり取りしているその画面の中で、そのまま商品を見つけて、そのまま購入まで完結できるようになるらしい…。
つまりコレまでのように、Googleで気になるレコードを検索して、リンクを辿ってECサイトにアクセスして、商品ページを見て、カートに入れて、住所を入力して…という一連の流れをすべてすっ飛ばして、AIの会話の流れの中でそのまま買い物が出来ちゃうという世界が現実になりつつあるというハナシだったんですよね。
これを理解した瞬間、正直に言うと「えっ?もうソコまで来てるの?」という驚きと、ちょっとした戸惑いが同時に押し寄せてきたんですよね。
■ 3ヶ月前に考えていた未来とのズレ
実はオイラ、3ヶ月ほど前に「AIの進化によってレコードの買い方はどう変わるのか?」というテーマで今読んでいるブログに記事を投稿したんですよね。
「レコード店主がAIの未来を想像してみたら…ECがとんでもない進化をしそうな件」
その時も、AIがレコード選びに関わってくる未来はかなりの確率で来るだろうって思っていたんですよ。
例えば、「自分の好みに合った曲を提案してくれる」とか、「今まで知らなかった良い曲を発見してくれる」とか、そういう意味での「選曲のサポート役」としてのAIの存在は、もう既定路線だろうとカンジていたんですよね。
ただ、その時の感覚としては、「だけどソレってもう少し先の未来のハナシだよね」というものだったんですよ。まぁ〜だいたい5年後とか、もうちょっと時間がかかるイメージですね。今すぐに大きく変わるというよりは、そういった流れにジワジワと浸透していくような、そんな認識だったんですよね。
トコロが今回届いたECサイトのカートシステム会社からのメールの内容は、その想像をイッキに飛び越えてきたんですよね。
AIが「レコードを選ぶ」だけではなく、「そのまま買うところまで完結する」。
つまり、レコードを買うという行為そのものの構造が変わろうとしているみたいなカンジですね。
コレって正直、オイラが思っていた予想以上のスピード感だったワケです。
■ 「検索」という行為の終わりの始まり?
ココで改めて考えてみると、実はこの変化にはちゃんとした前兆があったと思うんですよ。
最近Googleで検索すると、検索結果の一番上に「AIによる回答」が表示されるコトが増えてきましたよね。アレはつまり、「自分で探してリンクをクリックする前に、答えを先に提示する」という仕組みですよね。
コレがさらに進むとどうなるかって想像してみると…
👉「検索しなくてもイイ」
👉「比較しなくてもイイ」
👉「選ばなくてもイイ」
そんな世界に近づいていくんじゃないかなって。
そしてその延長線上にあるのが、今回のハナシだと思うんですよね〜つまり、「AIが全部やる」みたいなイメージです。探す、比較する、選ぶ、そして買う。その一連の流れをAIが肩代わりする。
具体的にこんな質問をAIにしてみるんですよ。
「レコードを買いたいんだけど、125BPMぐらいの90s Houseでギターのソロがメチャ格好良い曲を5曲くらいオススメして!」って
すると「コレらの曲があなたの好みにあっていると思いますよ」ってレコード店の購入可能な商品を選んで買い物をサポートしてくれるってイメージです。
モチロン、コレまでのAIを利用してきた履歴からAIは、あなたの好みを熟知しているので極めて最適な選択をしてくれるワケです。
ん〜どうです…ココまで来ると、もはや「ECサイトに訪れる」という行為自体の意味が変わってくるんじゃないかなぁ〜って思いますね。
■ SEOからAIOへという大転換
ココで、レコード店を運営している立場として一番気になったのが、これまで必死にやってきたSEO対策の行方です。
オイラもこれまで、Google検索で少しでも上位に表示されるように、地道に記事を書き、商品説明を整え、キーワードを意識してきました。コレってそれなりに時間も労力もかけてきた部分でもあります。
トコロが最近の流れを見ると、どうやらその前提が変わりつつあるらしい。
いわゆる「AIO(AI Optimization)」という考え方です。つまり、検索エンジンではなく「AIに理解されるための最適化」が重要になってくるというハナシです。
正直に言うと、「勘弁してくれよ…」というのが本音である(笑)
日々の仕入れやレコードの買取査定、検品、クリーニング、商品登録だけでもなかなかのボリュームなのに、さらにAI対策までやるのかと。レコード店主としては、ちょっと泣きたくなる気持ちでもあります。
ただ、ココでふと立ち止まって再び考えてみた。
■ AIはナニを見て判断しているのか
AIは、実際にレコードを聴くコトはできないワケです。触るコトもできないし、レコードの盤面に針をおいた時のあの空気感を体験するコトもできない。
じゃあ何を頼りに判断しているのか。
👉それは「言葉」なんですよね。
どんな曲なのか、どんなグルーヴなのか、どういうシーンで使えるのか、どういう人に刺さるのか…みたいなそういった情報を、文章として読み取り、そこから意味を理解しているワケです。
つまり言い換えると、
👉「ちゃんと説明されているものしか理解できない」
というコトでもあるワケです。
■ レコードという「説明が必要な商品」
ココで改めて思うのは、レコードという商品は、そもそも「説明が必要なモノ」だというコトです。
家電のようにスペックで判断できるものでもなければ、ファッションのように見た目だけで選べるものでもない。
音のニュアンスや空気感、時代背景やカルチャー、そしてDJとしての使い方みたいなそういった目に見えない要素が価値の大部分を占めているワケです。
だからこそ、当店ではこれまで、1枚1枚のレコードに対してできるだけ言葉・文章で説明を加えてきました。
「この曲は、こういうプレイにハマる」とか、「このグルーヴがサイコーにイイっ!」とか、「このカンジじ、あの曲にメチャ近い」とかっていう風にそういう曖昧で感覚的な部分を、できるだけ言語化してきたワケです。
コレは、レコードを検討中のお客さんに向けてのためでもあるし、自分自身の整理でもあるんですよね。
■ むしろコレはチャンスかもしれない
そしてココで気づいたんですよ。
👉「コレって、むしろ強みになるんじゃないか?」って。
AIは「意味」を理解する…表面的な情報ではなく、文脈や背景、ニュアンスを読み取ろうとする。
そうなると、ただ商品を並べているだけのサイトよりも、シッカリと説明されているサイトの方が圧倒的に有利になると思うんです。
つまりこれからは、
👉「どれだけ語れるか」
が重要になるんじゃないかなって。
価格でもなく、在庫量でもなく、「このレコード1枚をどう説明するか」…そこに価値が生まれるんじゃないかなって思うんですよね。
■ レコードの買い方は変わる。でも本質は変わらない
確かにこれから、レコードの買い方は大きく変わると思うんですよ…AIが選び、AIが提案し、場合によってはそのまま購入まで完結するというが一般的になるかもしれない。
でも、その裏側にある本質は変わらないんじゃないかなって。
👉「ナニを信じて選ぶか」
コレはずっと残ると思うんですよね。
そしてその判断材料になるのは、結局のところ「誰かの言葉」なんだと思うワケです。
■ これからのレコード屋として
じゃあ、コレからどうするのかってコトですよ。
オイラの中では答えはシンプルで、
👉「今まで以上にちゃんと伝える」
ん〜もうこれに尽きると思っているんですよね。
どんな音なのか。どんな雰囲気なのか。どういう瞬間にハマるのか。そういったその曲のイメージをしっかりと今まで以上に言葉・文章にしてゆく。
AIがどれだけ進化しても、最終的に参照するのはそういう情報だと思うワケです。
■ というワケで…
AIが買い物をする時代…そんなコトバだけ聞くと、なんだか無機質で、味気ない世界のようにもカンジますよね。
でも実際には、その裏側には必ず「ニンゲンの視点」があるワケです。
誰かがカンジたことや誰かが言葉にしたこと、ソレが積み重なってAIの判断材料になるんでしょうね。
レコードを針を落とす前にその1枚のレコードの背景を知る…そこに込められた雰囲気や空気感を想像するみたいな…そういったその楽しさは、きっとコレからも変わらないと思います。
だからNext Recordsとしては、コレからも変わらず、
👉「この1枚、イイですよ〜」
っていうハナシを、ちゃんと伝えていこうと思う次第であります。
まぁ〜AIがどれだけ進化しても、結局レコードの魅力ってやっぱり「人から人へ」伝わるものだと思いますしね〜。
そしてその流れの中で、新しい時代のレコードの買い方も、きっと面白いカタチで広がっていくんじゃないかな〜って。
そんな未来を、ちょっと楽しみにしながら、今日もまた1枚、レコードを聴いてコメントを書き綴ってゆきます。
AZTEC MYSTIC A.K.A. DJ ROLANDO / JAGUAR
AZTEC MYSTIC A.K.A. DJ ROLANDO / JAGUAR の試聴
next recordsのサイトでAZTEC MYSTIC A.K.A. DJ ROLANDOのレコードを探してみる
とりあえず新しくはじまるAgentic StorefrontというECサイトのアップデートは、今のトコロはアメリカだけのようです。
しかしすでにテスト的に一部の選ばれたECサイトではユーザーがAIとの会話を離れることなく商品を購入し、チェックアウトまで完了できるようになっているみたいですね、というか近い未来どころか今現在時点ですでにもう始まっちゃってるんですね〜コレ。
で、思ったんですが現在当店では、海外へ向けてレコードの通販が増えるように努力している最中なのですがもしかしてこのAIが当店の商品をユーザーにオススメしてくれる可能性ってあるのか?ってコトをコレまたAIに訊いてみたんですよ。
マジかっ!はい、米国在住のお客様が御店の商品をAgentic Storefronts(ChatGPTなど)で発見することは可能です。
しかし商品の露出は得られますが、AI内での直接チェックアウト体験は現在日本からは提供できないという状況です。米国での販売資格要件を満たせば、将来的に直接販売機能も利用できる可能性があります。
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