
少し前、ソニーがブルーレイレコーダーの生産を終了するというニュースを目にしました。
DVDの完全上位互換として登場したブルーレイ…より高解像度で、より長時間録画ができる記録メディアの発表当時は「ついにココまで来たかっ!」と素直に思ったんですよね。
時期的には2004〜5年頃ですね、家電量販店のイチバン良い売り場を大型液晶テレビと並んでブルーレイ・レコーダーは並んで売られていたのを覚えています。
時代は高精細へ向かい、家庭の映像体験はドンドン進化していく…そんな未来をカンジさせる存在だったと思います。
けれど、その勢いは想像以上に短かったようです。
登場直後はあれほど盛り上がったのに、気がつけばストリーミング配信に主役の座を奪われたってカンジですね〜ナンていうかその移り変わりの速さに正直驚きました。
このニュースをキッカケに、ひとつの疑問が頭に浮かんだんですよ。
記録メディアはナゼ消えていくのか…。
そして、なぜアナログレコードだけが、いまだに残り、しかもココ数年は再評価までされているのかって。
今回はそんなコトを、このブログを読んでくれるレコードが好きな人たちと一緒に考えてみたいなぁ〜って思います。
記録メディアの歴史は「上位互換」の歴史だった
音楽も映像も、その歴史を振り返ると、実はとてもわかりやすい構造をしていまよすね。
新しい技術が生まれるたびに、それまでのメディアは置き換えられてきました。
SP盤からLPへ。
カセットからCDへ。
CDからMP3へ。
そしてストリーミングへ、みたいなカンジです。
映像で言えば、VHSからDVD、DVDからブルーレイ、そして配信へ。
そこには明確な共通項がありますよね、新しいメディアは常に、より高音質・高画質であり、より小型で、より長時間収録ができ、より扱いやすく、より便利な方向へ向かってゆく。
技術革新は「効率」を軸に進化してきたと言ってイイと思います。
ブルーレイもその流れの中にありますよね、DVDよりも高精細で、容量も大きい…技術的には明らかに優れています。
しかし、ストリーミングというさらに便利な形態が現れた瞬間、その優位性はイッキに色あせてしまいました。
これは決してブルーレイが劣っていたワケではないですよね〜むしろ優れていたと思います。
ただ、より効率的な仕組みによって役割を終えただけってコトなのでしょうね。
この構図を見ると、ひとつの前提が浮かび上がってきます。
記録メディアは常に、上位互換に置き換えられてきたという歴史があります。
だとすれば、なぜレコードだけが例外なのだろうって。
初めて音楽を「所有」した日の記憶
オイラが初めて音楽を所有したメディアは、アナログレコードでした。
子供にとってレコードは決して安いものではなかったです。それでも、自分の好きな曲を自分の意思で、好きな時に再生出来ちゃうという体験は、それまでのラジオやテレビとはまったく違うものだったんですよね。
好きな曲がラジオではいつ流れるかわからないしテレビも同じです…エアプレイされるのを待つしかない。偶然に頼るしかない。レコードを手にするコトによってその世界から、自分で音楽を再生する世界を体験できるワケです。
ターンテーブルに盤を置き、アームを持ち上げ、針を落とす。わずかなノイズのあとに音楽がグワッ!っと立ち上がる。その瞬間の高揚感は今でもハッキリ覚えているくらいインパクトがありました。
そしてナニよりも、自分の棚にレコードが増えていく感覚…この好きな曲がモノとしてそこにあるという安心感は子供ながらに、コレクション欲がメチャ刺激されました。
「所有する」という行為は、音楽体験を何倍にも濃くしてくれたワケです。
CD時代にも消えなかった感覚
CDが主流になり、レコードのリリースが減っていった時代はやっぱり寂しさはありましたね。
でも不思議と、レコードが完全になくなるとは思わなかったんですよ。
当時のオイラは12インチシングルに強く惹かれていました。DJ文化と結びついた12インチシングルは、単なる音源ではなく、現場で鳴らすためのフォーマットだったワケです。
音圧、溝の深さ、ミックスの構造…そこにはCDとは違う文脈があったんですよね。
2000年以降、DJの現場がデジタルへと移行した時は、サスガに時代の大きな転換をカンジましたね。
それでも過去の名作は中古市場に残り、誰かの棚で生き続けていたワケです。
レコードは生産が止まっても、存在は消えない。そこが他のメディアとは少し違っていたのかもしれないですね。
レコードの「存在感」という価値
オイラがレコードに最も価値をカンジているのは、その存在感だと思うんです。
何十年も前にプレスされたオリジナル盤、ちょっと色褪せたジャケット、角の丸みや盤面に刻まれた微細な傷…そのすべてがその盤が辿ってきた時間を語っているワケです。
同じアートワークでも、再発盤ではこの味わいは出ないと思うんですよね〜不思議なものだけど、オリジナル盤には当時の空気が宿っているとカンジる瞬間が結構あるんですよね。
レコードは単なる音の容れ物ではなくって時間を封じ込めた物体みたいなイメージかなぁ。
ストリーミングで同じ曲を聴くコトはできる、音は同じかもしれない。でも、その曲が生まれた時代の空気までは再生されないって思うんですよ。
レコードは音楽と同時に、その時代の物語を再生するって感覚があるんですよね。
不便さが生む集中
現代は常に急かされているって感じるコトがあります。倍速視聴、タイパ、短尺動画…情報はドドドドっ〜て無限に流れ込み、次から次へと更新されてゆきます。
そんな世界でレコードを聴くという行為は、少し異質ですよね〜盤をセットし、針を落とし、A面が終わるまで耳を傾ける、途中で簡単にスキップはできないし曲順も変えられない。
その不便さが、音楽と向き合う時間を強制するんですよね。
この融通の効かないトコロから「レコードは時間を取り戻す装置」なんじゃないかなってって個人的には思うんですよ。
効率の世界から一歩外れて自分のペースで音楽を味わう、その贅沢さが今の時代に逆にフィットしているんじゃんないのかな。
店に来る人が求めているもの
今や多くの購買行為はインターネット経由となっていますよね〜それでも、時間と手間をかけてわざわざレコード店に足を運ぶ人がいます。しかもデジタルネイティブと呼ばれる若い世代の人たちがです。
これは単に音楽メディアを買いに来ているワケではないとカンジているんですよ。
当店では、お客さんの雰囲気や会話から好みを感じ取ってソレとなくその人が好きそうな曲を店内でプレイするコトがよくあります。その一期一会の出会いでレコードを購入していただくコトも少なくないんですよね。
アルゴリズムではなく、人の感覚によるキュレーションみたいなカンジですね。
レコード棚から盤を手に取り、ジャケットを眺め、音を聴き、会話をする。その体験そのものが、レコード店でしか得られない価値になっているっていう部分があるような気がします。
Next Recordsではナニを売っているのか
これまでオイラは、音楽が記録されたレコードを販売していると思っていたんですよね〜まぁ〜実際にレコードを売っているワケですが(笑)
でも最近は少し違う要素もレコードと一緒に販売しているんじゃないかなぁって気がしています。
オリジナル盤だけを扱い、12インチシングルに特化し、自分なりの視点でキュレーションする…そこには単なる商品以上の意味やコダワリがあります。
お客さんはレコードを買うと同時に、自分の時間を買っているのかもしれない…あるいは、自分の物語の一部を手に入れているのかもしれないって感じるんですよね。
レコードは効率のメディアではない、だからこそ、意味のメディアとして残っているんじゃないかなって。
本当の競合は「時間の奪い合い」
レコード店経営者としてカンジているのは、レコード店の本当の競合は他のレコード店ではないんじゃないかなってっていうコトです。
最大の競合は、時間を奪うあらゆるモノだと思うんですよ。
SNS、動画配信、ストリーミング…今って人の注意力は常に分断されて引き裂かれていると思います、でレコードを楽しむには、その人のココロの余裕が必要なワケです。
だからこそレコードは残っているんじゃないかなって…効率を求める世界の中で、あえて非効率を選ぶ人は必ずいますからね。
レコードは決してメインストリームにはならないでしょう〜でも、一定の規模で支持され続けるとは思うんですよね。
デジタルとアナログを行き来するハイブリッドなライフスタイルの中で、バランスを取る存在としてレコードが残るってカンジかもしれません。
レコードは人生そのもの
ブルーレイは衰退しました、それは技術の進化の中で自然なコトだと思います。
でもレコードは残った、性能で勝ったのではなくって意味で残った。
オイラにとってレコードとは何かってコトを時々考えるんですよね〜仰々しいですが(笑)
能書き的なコトはイロイロあるのですが端的に一言で言えば、人生そのものかなっていうトコロに行き着くんですよね。
傷がつき、味が出て、時間と共に深みを増す…回り続けながら音を刻み、誰かの記憶と結びつく…ん〜ちょっとポエミーですが(笑)
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