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渋谷の12インチシングル専門の中古レコード店、ネクストレコードです。
2025年の最後の「渋谷レコード店日記」への投稿となります。

2025年も、気がつけばもう年の瀬ですね…。
レコード屋をやっていると、年末だからといって特別な区切りがあるワケではなく、今日もいつも通りレコードをクリーニングして、コメントを書いて、梱包 & 出荷をしてレコード針を盤面に落とし、お客さんと音楽のハナシをして1日が終わるってカンジです。
それでもこの時期になると、毎年思うのが「今年はどんな1年だったんだろう…」って、フト立ち止まって振り返りたくなる瞬間があります。

2025年は、アナログレコード界隈にとって特別、派手なニュースが多かった年ではなかったかもしれませんね。
ですが、渋谷でオリジナル盤の12インチシングル専門店を営んでいると、世間で言われる数字やトレンドだけでは語れない、静かだけれど確かな変化を、日々の接客や会話の中で感じる1年でもありました。

「オススメのレコードはナニですか?」とか「12インチシングルって家で聴いても楽しめますか?」ナンて質問を今年は、これまで以上によく耳にしたような気がします。
また値段やレア度ではなく、「どう聴くか」ってコトや「ナゼ、この盤に惹かれるのか」を確かめるようにレコードを選ぶ人が、結構増えてきた印象がありました。

試聴用のQRコードをスキャンして、黙々と試聴している人や1枚の12インチを手に取って、レーベルやジャケ裏のクレジットを眺めながら長い時間悩む人や「探していたレコードが見つかりましたっ!」って行って嬉しそうに買える人などなど…2025年の店頭には、そんな光景が日常的にありました。

このブログ「渋谷レコード店日記」では、今年もレコードそのものの魅力だけでなく、店を続けていく中で感じたコトや集客の工夫、Webでの試み、そしてナニよりもレコードを通して生まれた「多く人とのやり取り」を綴ってきました。

この記事では、毎年恒例の2025年という1年を振り返りながら、アナログレコード界隈で起きていたコトや渋谷という場所でレコード店を続けていてカンジた変化、そしてNext Recordsとして大切にしてきた考え方についてちょっと整理して書いてみようと思います。

全然ハデな成功談やノウハウのハナシではありませんが、レコード屋の日常の中で見えてきた、今のアナログレコードのリアルな現場感を、今年の締めくくりとして残しておきたいと思います。



2025年、レコードは「集めるモノ」から「向き合うモノ」へ

2025年を振り返って、真っ先に思い浮かぶのは、レコードの買われ方が静かに変わった1年だったんじゃないかなぁ〜っていうコトです。
値段、レア度、相場、ディスコグラフィー、そういった情報が重要でなくなったワケではありませんが、それらを最初の判断基準にしない人が、明らかに増えてきた印象がありました。

今年、店頭でよく目にしたのは、1枚の12インチを何度も手に取っては戻し、試聴して、またジャケットを眺める、そんなカンジでレコードを買っていかれる人が多かったような気がします。
ナンていうか「この1枚と、ちゃんと付き合っていけるかなぁ」ってコトを確かめるように買って帰る人が増えてきたかもしれませんね。

「今日はコレを買っていますっ!」そう言って店を出ていくお客さんの表情が、とても印象的な1年でもありました。

アナログレコードの価格高騰や、海外からの買い付け需要、SNSやDiscogsの影響など2025年も相変わらず、レコードを取り巻く外側の環境は目まぐるしく動いていましたね。
だけど、その一方で、店頭に立ってカンジていたのは、レコードそのものと向き合う時間を取り戻そうとする人の増加でした。

12インチシングルは、アルバムよりも曲数も少なく再生時間も短い。
それでもレコード針を盤面に落とした瞬間の音の立ち上がりや、ミックスの構造、低域の押し出し方まで含めて「1曲と向き合う」には、これ以上ない究極のフォーマットだと思います。
今年は、その魅力に気づいた人が、ゆっくりとしかし確実に増えていったようなカンジがしましたね。

ん〜レコード店主的には、ウレシイかぎりであります。

Next Recordsがオリジナル盤の12インチシングルにコダワリ続けている理由も、2025年はより明確になりました。

「たくさん持つ」ことより、「深く聴く」こと。
この価値観が、少しずつ共有され始めた1年だったんじゃないかなって思う年でもありました。


渋谷という場所で見えた、2025年のリアル

2025年の渋谷は、相変わらず人が多く、街のスピードもメチャ速かったです。

というか、ココ数年は毎年人が多くなっていますケドね〜。

相変わらず街の再開発は続き、スクランブル交差点の景色も、少しずつ見慣れたものに変わっていきましたね。
だけどレコード屋の店内に一歩入ると、その喧騒とはまったく別の時間が流れていたようにカンジます。

今年、特に印象的だったのは、海外からのお客さんの変化です。
数年前まで多かった「短時間で何枚も買っていく」スタイルよりも、
2025年は、1枚1枚を試聴し、コメントを読み、こちらのハナシを聞いてから選ぶ人が明らかに増えました。

「日本のレコードは安いから買う」
そんな理由だけで来店する人は、ほとんどいません。
むしろ、

「なぜこの盤を勧めているのか」
「当時、どんな場所で鳴っていた音なのか」

そういった背景や文脈に興味を持つ人も多く、会話の密度は確実に濃くなっています。

これは、渋谷という街が持つ情報の集積地としての側面とも無関係ではナイって思うんですよね。
ん〜ナンていうか世界中の音楽が、リアルタイムで集まり、消費され、更新され続ける場所みたいなカンジかなぁ。
だからこそ、あえて「カンタンに手に入らないもの」「カンタンには理解できないもの」に価値を見出す人が集まってくるみたいな風になっているのかもしれませんね。
2025年の渋谷では、そんな空気を強く感じました。

日本人のお客さんにも、同じような変化がありました。
特に印象に残っているのは、20代〜30代の方が、12インチシングルを「DJ用のツール」ではなく、「家で聴く音楽」として選んでもらえるようになったコトです。

「アルバムはストリーミングで聴いているけれど、ホントに好きな曲は、ちゃんと盤で聴きたいんです。」

そんなコトバを、今年は何度も聞きましたからね。
渋谷という街で、無数の音に日常的にさらされているからこそ、自宅でレコード盤に針を落とす数十分の時間が、特別なものになっているのかもしれませんね。

Next Recordsは、決して大きな店ではありません。
在庫量で勝負できるワケでも、派手なディスプレイがあるワケでもない。
それでも2025年、ここ渋谷で店を続けていて感じたのは、「速い街だからこそ、立ち止まれる場所が必要とされている」という実感でした。

渋谷という場所は、レコード文化を消費する街でもあり、同時に、もう一度レコードと向き合い直すための入口でもある…みたいなカンジもあるような気がします。
2025年は、その両方の顔が、これまで以上にハッキリと見えた1年だったように思いますね。



売るために選ばなかった選択

振り返ってみると2025年 レコードを取り巻く環境は、決して楽なものではありませんでしたね。
価格は上がり、仕入れは難しくなり、情報はあふれ、選択肢はいくらでもある。
「売ろうと思えば、もっとやりようはあった」って正直に言えば、そう思う場面も何度もありました。

・値段を少し下げる。
・まとめ買いを促す。
・流行っているタイトルを前面に出す。
・SNSで分かりやすい強いコトバを使う。

どれも、間違ったやり方ではないと思いますよ。
実際、それで結果を出している店や人もたくさんいますしね。

それでも2025年、Next Recordsでは、あえて選ばなかったコトがいくつもありました。

たとえば、「とにかく回転を上げる」ための売り方とかですね。
短期間で在庫を動かすことよりも、「この盤が、ちゃんと次の持ち主に届くコト」を優先しました。
その結果、同じレコードが何週間も、時には何ヶ月も店に並び続けるコトもあります。

でも、その時間こそが、そのレコードにとって必要な待ち時間なのかもしれないなぁ〜って思っています。

また、分かりやすいランキング記事や、「これは絶対買いですっ!」といった断定的なコトバも意識的に使いませんでした。
代わりに書き続けたのは、

この曲の良いトコロとか魅力的な部分だとか、どうしてこの音に惹かれたのかやどんなシーンで聴いてみたくなるのかナンてカンジの主観的で、少し遠回りなコトバです。

コレは、オイラがインスタグラムで毎日1枚レコメンド記事を書いているコトが少なからず影響していたと思います。

まぁ〜効率は決して良いとは言えませんケドね。
でも、その文章を読んで来店してくれた人との会話は、驚くほどスムーズで、深かったんじゃないかなぁって思います。
「この店の考え方が好きで来ました!」
ありがたいことにそう言ってもらえるコトも2025年は何度もありましたね。

レコードを売るために、解りやすくするコトや売るために、間口を広げるコト。
そういったコトよりも…
売るために“削らなかったコト”
売るために“曲げなかったコト”
それらが、少しずつ信頼として積み重なってきたかもしれない1年だったように思います。

レコードは、急いで売らなくてもいい…むしろ、急いで売らない方がいい場合もありますからね。
2025年は、そんな当たり前のようで忘れがちな感覚を、何度も思い出させてくれる1年でした。

Next Recordsが選ばなかった選択は、遠回りに見えるかもしれませんね。
でも、その遠回りの途中でお店に立ち寄ってくれる人がいる限り、このやり方は、間違っていなかったんじゃないかなぁって思います。



Webと実店舗、そのズレと可能性

2025年も、Webと実店舗の両方でレコードを扱い続けてきました。
毎週このブログを書き、毎日インスタグラムで発信し、Webサイトを更新しながら、同時に渋谷の店頭に立ってお客さんと向き合う。
この二つを並行して続けていると、どうしても見えてくる「ズレ」があります。

Webでは、反応があるのに、店頭ではまったく動かないレコード。
逆に、Webにはほとんど反応がないのに、店頭で試聴した瞬間に「これください!」と即決される12インチ。
2025年も、その差を何度も目の当たりにしました。

写真やテキストでは伝わらない音。
再生した瞬間の迫力のある低域の押し出し感やアレンジの空気感や針を落としたときのインパクトとか
12インチシングルの本当の魅力は、どうしても音が鳴った瞬間にしか伝わらない部分があります。

一方で、Webだからこそ伝えられるものも確実にありました。
そのレコードをどうして仕入れたのかとか、ナンで今この盤をオススメているのかみたいな店頭では時間の関係で説明しきれないコトも、文章なら、ちゃんと残すことができますしね。

2025年にあらためて感じたのは、Webは「売る場所」ではなく、「考え方を共有する場所」として使う方が、結果的に、実店舗とも良いカンケーを築けるというコトでした。

ブログを読んでから来店する人は、すでにこちらのスタンスを理解してくれています。
だから、説明は少なくて済むし、会話は深くなる。
「とりあえず見に来た」ではなく、「この店で買う理由を持って来た」っていう人が増えたのも、2025年の特徴でしたね。

Webと実店舗は、同じ役割を担う必要は全然なくって、むしろ役割が違うからこそ、お互いに補い合える部分ってあると思うんですよね。
Webは、考え方や背景を伝える場所。
実店舗は、音と向き合う場所。

そのズレをあえて無理に埋めようとしなかったコトが、結果的に、Next Recordsらしさをよりハッキリさせてくれた1年だったように思います。

2025年は、「Webで完結するレコード屋」でもなく、「実店舗だけで成立するレコード屋」でもなく、
そのあいだを行き来しながら、関係を育てていくやり方を、少しずつ手探りでカタチにできた1年だったような気がしました。



で、2026年に向けて、店として考えているコト

2025年を振り返って、あらためて思うのは、レコード屋にとってやっぱりイチバン大切なのは、「何を売るか」よりも、「どう続けるか」なのだというコトなんじゃないかなぁ〜って思うコトです。

扱いレコードの枚数が増えなくてもイイ。
流行に乗らなくてもイイ。
すべての人に届かなくてもイイ。
だけど、ちゃんとレコードの音と向き合い、ちゃんと人と会話ができる場所であり続けたいなぁって思うのです。
2026年に向けて、Next Recordsが考えているのは、シンプルにそれだけかなぁ。

12インチシングルというフォーマットは、便利でもなければ、決して解りやすいアイテムでもありません。
でも、レコード盤に針を落とした瞬間にしか伝わらない情報っていうのが確かにあると思うんですよね。
その体験を、これからもていねいに手渡していきたいと思っています。

Webでは、引き続きハデな情報よりも、レコード店の背景や考え方、時には迷いも含めた記録を残していくつもりであります。
数字や反応を追いかけスギず、数年後に読み返した時に、
「結構、ちゃんと考えながらやっていたんだなぁ…」と思えるような文章を綴っていこうと思います。

店頭では、これまでと同じように、急がず、押しつけず、1枚1枚のレコードと向き合う時間を大切にしていきたいですねぇ…やっぱり。
レコードを買う理由は、人それぞれでイイと思うんですよ。
ただ、その理由に寄り添えるお店でありたいなぁ〜って思います。

2026年、アナログレコードを取り巻く環境は、タブンきっとまた少し変わっていくと思います。
価格も、流通も、聴かれ方も…でも、どんな時代になっても、「レコード盤に針を落とす」という行為そのものが持つチカラや魅力は、変わらないハズです。

Next Recordsは、そのチカラを信じて、これからも店を続けていきます。
レコードが「流行っているから」ではなく、「ちゃんと向き合いたいから」選ばれる場所として存在したいなぁって思う次第であります。

STARGARD / WHICH WAY IS UP
STARGARD / WHICH WAY IS UP の試聴
next recordsのサイトでSTARGARDのレコードを探してみる

この1年、ブログを読んでくれた方、店に足を運んでくれた方、
音楽・レコードのハナシをしてくれたすべての人に、感謝を込めて。
2026年も、渋谷でレコードと向き合い続けますのでゼヒ、渋谷ネクストレコードをご贔屓にしていただけますようヨロシクお願い申しあげますっ!


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このブログは、渋谷で唯一の12インチシングル専門のレコード屋、next recordsが、運営しています。

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