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こんにちは。渋谷でオリジナル盤12インチシングル専門の中古レコード店、Next Recordsです。このブログ「渋谷レコード店日記」では、いつもアナログレコードの魅力や、音楽文化の面白さについてイロイロと書いてきましたが、今日はちょっと「お知らせ」と「気づき」を兼ねたお話をしたいと思います。

タイトルの通り、「12インチシングルFAQページ」を作ってみましたぁ。
名前は「About 12" Single」
ザックリ言えば、「12インチシングルってナニなの?」という疑問に全部答える解説ページです。

でも、このページを作るまでには、いろいろな気づきや葛藤があったんですよね。
今日はその裏話も交えながら、「なぜそんなページを作ろうと思ったのか」「作ってみて感じたコト」、そして「12インチシングルという存在の面白さ」を、オイラなりの言葉でお伝えしたいと思います。




■ なぜFAQを作ろうと思ったのか?──“伝わらないもどかしさ”からの出発

Next Recordsを渋谷で始めてが、もう25年。
渋谷でずっと同じスタイルを貫いてやってきました。
取り扱うのはオリジナル盤の12インチシングルだけ。再発盤も、ブートレッグもなし。

これはもう、今の時代にしては相当「ストイック」なスタイルかもしれません。
でも、このコダワリは「アナログレコードが持つ本来の魅力」を守りたかったからなんですよね。

ただ、最近ちょっと悩んでいたんです。
それは──新しいお客さんに、12インチシングルの魅力がなかなか伝わらないコト。

お店に来てくれたお客さんの中には、
「レコードが流行ってるからどんなカンジなのか来たんです!」という人が増えています。
ありがたい話ですよ…ホント。
でもその多くが、「レコード=LPアルバム」というイメージなんですよね。

だからオイラが「このお店は、12インチシングル専門のレコード店なんですよ」と伝えると、「ソレって何ですか?」とか「へぇ〜そうなんですね(←タブンよく解っていない)」というカンジで返ってくるんですよね。




■ 「ミスマッチ問題」との長年の付き合い

オイラの店に来るお客さんの中には、探していたLPが見つからなくて残念そうに帰っていく人っていうのが結構な割合でいます。
それを見るたびに、ナンダカちょっと胸が痛い。
ナゼなら、「その人が求めていた音」は、実は12インチシングルにも存在するコトが多いからなんですよ。

たとえば、同じ曲でもアルバムバージョンと12インチバージョンでは構成が全然違う。
12インチの方は、DJプレイ用にイントロが長くて、グルーヴが深くて、音圧が強い。
つまり、“超のれる曲の真の姿”がそこにあるワケです。

でも、それって聴いたコトがない人には伝わらないんですよね。
「あ〜この曲、アルバムで持ってるからいいや」と思われてしまう。

それが、オイラが長年感じていた「お客さんとのミスマッチ問題」でもあったりします。




■ キッカケは、ご来店いただいたお客さんとの会話

ある日、ひとりの若いお客さんが店にやってきた。
「Michael JacksonのLPありますか?」と尋ねてきた彼に、オイラはこう言いました。
「LPは扱っていないんですけど、12インチなら何枚かありますよ。」って在庫していたSmooth Criminal等のレコードを見てもらいました

彼は最初、「12インチ?」と何それ…ってカンジで首をかしげていました。
でもせっかくだからとSmooth Criminalを試聴してもらったら…針を落とした瞬間、表情が変わった。
「うわ…なんですかこの音!めちゃくちゃ太いですね!」って。

そう。これなんですよっ。
オイラが25年間、伝えたかった「12インチシングルの真髄」は。

音の太さ、空気の振動、深く沈む低音。
それはデータでは伝わらない「手触りのある音」。
その日、彼は初めて12インチシングルを買って帰りました。




■ 店頭なら伝えられる。でも、ネットでは伝わらない。

店頭なら、こういうやりとりができるんですよね。
「聴いてみますか?」と言えるし、「この曲の良いトコロはですね…」と解説もできるんですよね。
でも、オンラインではそうはいかない。

ネットショップを利用していただけるお客さんって、もう12インチシングルのコトを知っている人がほとんどです。
12インチシングルのコトを知らない人に「その良さ」を伝える機会が、まったくなかったんですよね。

「WebサイトのSEO対策で検索順位を上げれば新しいお客さんが来る」──
たしかに、長年に渡ってコツコツと地道に努力したおかげで渋谷のリアル店舗はGoogleで検索すると結構上位に出るようになった。
でも、「12インチシングルのコトを知らない層」までは届かない。

「12インチシングルって何?」「LPとどう違うの?」「どんな音が鳴るの?」
そういう疑問を持つ人たちこそ、これから12インチシングルを好きになる「未来のお客さん」なんですよね。




■ そこで思い立った──「FAQで伝えよう!」

ある日、フト思いました。
「店頭でよく訊かれる質問を、そのままオンラインに出せばイイんじゃないか?」って。

そうして始めたのが、「12インチシングルFAQページ」の制作。
最初は軽い気持ちでした。
「とりあえず10個くらい質問に答えればいいかな」って思っていたんですが…

気づけば70項目を超えてました(笑)

書き始めると、オイラ自身がどんどん楽しくなってきたんですよね〜もともと超がつくホドの12インチシングル・マニアですからね。
「これはどう説明しようかな」と考えているうちに、自分でも「そういえば、コレってなんでだっけ?」と再発見がたくさんあったんですよね。




■ FAQを書きながら気づいたコト

このFAQを作っていて、一番大きかったのは、「自分自身の整理」になったコトなんです。

オイラはこれまで長年お客さんと話してきたケド、あらためて「12インチシングルとは?」を言語化しようとすると、意外と感覚で理解してたコトが多かったんです。

たとえば「12インチは音が太い」ってよく言われるケド、
「どうしてそうなるのか」を説明するために、溝の幅や回転数、カッティングレベルのハナシを掘り下げてみた。
すると、オイラ自身も「あ〜なるホドね」と再確認できる。

また「12インチシングルはDJ文化と共に進化した」という点も、FAQにまとめるコトでより明確に伝えられるようになった。

つまりこのFAQは、お客さんに向けたページであると同時に、オイラ自身の学び直しの記録にもなったんですよね。




■ 「About 12" Single」──誰が読んでも楽しめるように

このFAQは、初心者にもわかりやすく、でもマニアも「へぇ、そうだったんだ」って思ってもらえるように構成しています。

・基礎知識・入門:
「12インチって何?」「LPとの違いは?」

・仕様・見分け方:
「レコードの見分け方」「プレス国による違い」

・歴史・文化:
「なぜ12インチはDJ文化とともに広がったのか?」

・音質・カッティング:
「なぜ12インチは音が太いのか?」

などなど、全部で70項目以上。
エントリー層には「学べる楽しさ」を、マニア層には「深掘りの快感」を…ってカンジでどちらにも刺さるようにしました。

そして何より、読んでいるうちに「実際にちょっと聴いてみたいなぁ」って思えるような内容を意識しました。

👉「About 12" Single」FAQページはこちら




■ 12インチシングルの魅力は、“音”だけじゃない

12インチシングルの魅力って、もちろん音の良さは大きい。
でもそれだけじゃないんですよ。

オイラが思う12インチシングルの魅力は、「その存在のストーリー」っていう部分も結構あるんじゃないかなって。

例えば同じ曲でも、12インチシングルには異なるRemixが収録されていたり、エンジニアやリミキサーの名前がクレジットされていたりする。
そこから派生して、DJ文化、クラブカルチャー、スタジオ技術…ってカンジで音楽の裏側まで掘り下げられるのが12インチシングルの面白さだと思うんですよね。

まるで、ひとつのレコードが「音楽の百科事典」みたいな存在っていうカンジかなぁ。
ただ音を聴くだけでなく、「知る楽しさ」があるみたいな。
それが、オリジナル盤12インチシングルの世界だと思うんですよね。




■ オンラインでも「接客」がしたい

FAQを作ってイチバン感じたのは、「オンラインでも『接客』はできる」というコトかもしれないですね。

もちろん、直接顔を合わせて話すような臨場感はないんだけど、でもFAQを通じて、「こういう質問が多いんだ」「そういう楽しみ方があるんだ」と伝えるコトで、画面越しでもそれなりのコミュニケーションは生まれるじゃないかなぁ〜って感じました。

実際、FAQを公開してから、「解説を読んで初めて12インチシングルを買ってみました」なんてコメントをいただきました。
ん〜作っている時は、「反応あるのかな」って思っていましたが、やっぱり作って良かった。




■ 小さな店でもできる、コンテンツの力

オイラの店は大きな宣伝もしていないし、広告費もかけていません。
でも、こうして自分のコトバでコツコツと伝えていくコトが、一番の集客になるんじゃないのかってあらためてカンジました。

たしかに時間はかかる。
でも、読んでくれた人が「なるほどね」って思ってくれて、そのままオンラインストアを覗いてくれたり、渋谷の店に立ち寄ってくれたりする。
それがオイラにとって、ナニよりの「成果」なんですよね。




■ 最後に──12インチを知らないあなたへ

もしあなたがこの記事を読んでいて、
「レコードにちょっと興味あるけど、12インチシングルってナニ?」と思っているなら、
ぜひ一度「About 12" Single」のページを覗いてみてください。

難しいハナシは抜きにして、まずは「知るコト」から。
そしてもし、興味が湧いたら──
渋谷のNext Recordsにもゼヒ、ご来店くださいっ!

店頭ではコメント・カードにプリントしているQRコードでその場でカンタンに試聴もできますよ。
で、スマホのイヤホンだけでなく実際にスピーカーで聴いたみたければスタッフにお声がけしていただければ店内のスピーカーで試聴も出来ますよ!

12インチシングルは、あなたがまだ知らない「音の世界」への入り口かもしれませんよ。
この「About 12" Single」FAQページ」を読んでくれている人への12インチシングルへの興味へとつながる一助になれば幸いであります。

JERALD DAEMYON / SUMMER MADNESS
JERALD DAEMYON / SUMMER MADNESSの試聴
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■ 追伸:FAQを作ってみて思ったコト

最後に、ちょっと個人的な話を…
今回このFAQを書いていて、オイラ自身もたくさんのことを再確認できたんですよね。
「当たり前」と思っていたことの中に、実はまだまだ知らないコトが結構あるんだなぁって。

音楽の世界って、ホント掘っても掘っても終わりがないですよね。
まるで、レコードの溝みたいにね。

だからオイラは、これからもこのブログで、少しずつその溝の奥にある「音の物語」を掘っていこうと思っています…と言いつつもう20年以上も書き続けていますケドね(笑)

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