こんにちは、渋谷で12インチシングル専門の中古レコード店を営んでいるNext Recordsです。
今回は、ある程度の年齢を重ねた人で音楽が好きな人にはちょっと心当たりがあるコトをテーマに書き綴ってみたいと思います。■レコード・リバイバルな人たちと出会って
最近ありがたいことに、当店には連日たくさんのお客さんが増えてきました。特に目立つのが、40代後半〜60代くらいの「昔レコードで音楽を浴びるホド聴いていた世代」の人たちです。
ココ数年のアナログレコード再評価ブームで、若い世代だけじゃなく、かつてのリスナーが再びレコードに手を伸ばしているってカンジでオイラはそういう人たちを、ちょっと親しみを込めて「レコード・リバイバルな人」と呼んでいます。
「もう一度レコードで音楽を楽しみたい」と思ってもらえるのは、レコード屋をやっている身としてはホントに嬉しいですね〜。レコードの楽しみ方は十人十色だけど、針を落とした瞬間にしか味わえない特別な体験がそこにあるのは間違いないですからね。
■50代のお客さんとの会話から
先日ご来店いただいた50代男性のお客さんとの会話がとても印象的だったんですよ。そのお客さんもまさにレコード・リバイバルな人で、10代〜20代の頃は最新のヒットチャートをチェックして、PopsやRock、流行りのダンスミュージックを聴きまくっていたそうだ。
最近またレコードを聴くようになって、若い頃に聴いた懐かしい曲を店内で試聴しながらを「やっぱりイイですよね〜」と笑顔で話してくれたんだけど、同時にこんなことも言っていた。
「最近のアーティストの曲も聴いてみたけど、全然ピンとこないんですよ。やっぱり昔の曲の方が良い曲だなって思っちゃうんですよね」
ん〜コレ、オイラは今までに何度も聞いたコトバなんですよね。ある程度の年齢がいっている人の「最近は良い曲がない」と嘆くのって結構少なくないんですよね。じゃあ、なぜ人は若い頃の音楽を今も「最高の音楽」として聴き続けてしまうのか?
ここからは、心理学や脳科学の視点を交えつつ、レコード店主としての体験談もまぜながら解説して、みようと思います。
■レミニッセンス・バンプ ― 青春の音楽が強烈に残る理由
心理学には「レミニッセンス・バンプ」という概念があるんですよ。これは、10代後半から20代前半に体験した出来事を人が特に鮮明に記憶している現象のコトです。
この時期は人生の中で初めての経験が多い…例えば、初恋とか、進学、友人関係、社会に出る一歩…みたいな感情が揺れ動く場面が山ほどあって、その時の感覚は強く脳に刻まれんですよね。そして音楽は、その瞬間の「BGM」になるみたいなのです。だから、当時の曲を聴くと一瞬で記憶がよみがえり、「やっぱり良い曲だ」と感じやすくなるみたいな気持ちになるようです。
オイラも高校時代に聴いた12インチシングルを今聴くと、あの頃の友達との思い出や、学校帰りにチャリに乗りながら歌いながら帰ったコトなど空気感まで一緒に蘇るんですよね。単なる音楽以上の意味を持つから、今でも鮮明に覚えいて色褪せないんでしょうね。
■ドーパミンと脳の可塑性 ― 若い頃は「音楽が刺さりやすい」
脳科学の研究によれば、10代〜20代は脳が柔軟で、新しい刺激に対してドーパミン(快感や学習を司る神経伝達物質)が出やすいというコトがわかっています。
つまり、新しいジャンルやサウンドに触れると「うわぁ!スゴいっ!」と強烈な快感が生まれやすいようです。逆に年齢を重ねると、新しいものに対するドーパミンの反応がやや鈍くなる。
そのため、若い頃に受けた衝撃的な音楽体験は生涯の基準になりやすいようです。
「昔の曲の方が良かった」と感じるのは、必ずしも曲の質の問題じゃなく、聴く側の脳が新しい音楽に反応しにくくなっているコトも影響しているんでしょうね。
■音楽はアイデンティティそのもの
青春時代の音楽は「自分はこんな人間だ」というアイデンティティ形成にも関わるようですね。
例えば、Rockを聴いて反骨精神を表現したり、ダンスミュージックで仲間との一体感を感じたり…そうやって音楽は「自分の鏡」として機能している部分って結構あるんじゃないでしょうか。
だから大人になっても当時の曲を聴くと、「あの頃の自分」に出会えるみたいな感覚になってそれが「良い曲」として残り続ける理由のひとつになっちゃうんでしょうね。
■ノスタルジア効果と認知バイアス
「懐かしさ」自体も結構大きな快感になるコトも解っているそうです。昔の曲を聴くと、当時の感情や景色がセットで思い出されて幸せな気分になれる。これを「ノスタルジア効果」といいます。
さらに、過去の音楽は「生き残った名曲」が中心で、凡庸な曲は忘れ去られている。つまり、人間は昔の「ベスト盤」だけを記憶していて、それを現在の玉石混交の音楽と比べているワケです。これが「生存者バイアス」という認知のトリックにつながっているんですね。
■感受性の変化 ― 若い頃は「オープンな耳」だった
若い頃は感受性が豊かで、新しいジャンルやリズムにすぐ反応できる。ところが、歳を重ねると「慣れた型」に安心を感じ、新しいものに違和感を覚えやすいというふうになるようです。
これは「感受性が衰えた」というより「感受性のチューニングが変わった」と言えるかもしれません。
昔は激しい爆発的なビートに反応していた人が、大人になると歌詞の深みやコード進行の美しさに感動するようになるみたいな風に楽しみ方が変化するみたいなカンジですね。
確かにオイラ自身のコトを振り返ってみてもそういった感覚は結構ありますね。
■若い頃の曲を聴き続けるメリット
・記憶を呼び起こす:幸せな瞬間を再体験できる。
・安心感:予測しやすく心が落ち着く。
・アイデンティティの確認:「自分らしさ」を思い出せる。
・脳の健康:音楽療法の研究では懐かしい音楽が記憶を刺激するコトが確認されている。
・交流のきっかけ:同世代や親子で共有できる話題になる。
だから「昔の曲を今も楽しめる」とういうコト自体はあるイミ素晴らしいことだとも言えますね。
■だけど、古い曲しか聴かなくなるデメリットもある
一方で、「昔の曲しか聴かない」となると、いくつかデメリットもある。
・新しい発見がなくなる
・世代間で音楽の共通言語を失う
・感受性が硬直化する
・「昔は良かった」ばかりになり、今を楽しめなくなる
ん〜コレって、せっかく音楽が毎日新しく生まれているのに、入口を自分で閉じちゃうようなカンジでナンダカちょっともったいないようなカンジがしますね。
■感受性を再チューニングする方法
じゃあ、どうすればもう一度「新しい音楽の良さ」を楽しめる耳に戻れるのか?オイラなりの方法をいくつか考えてみました。
1.昔好きだった要素を含む新曲を探す
例:80s好きならNu-Discoやシンセポップ寄りの新曲から入る。最近だと過去の曲の雰囲気を現代風のエッセンスで再構築したような曲もありますよね。
2.何度も曲を聴いてみる
単純接触効果で、繰り返すほど好きになる可能性がある。要するにヘビーローテーションですね。オイラの経験では最低でも7回くらい聴いた方がイイような気がします。オイラはコレを「7回ルール」と自分では言っています(笑)
3.ストーリーを知る
アーティストの背景や曲の制作秘話を知ると、音楽に感情移入しやすい。オイラは毎日インスタで1枚の12インチシングルのレコメンド記事を書くためにそのアーティストや曲の背景をイロイロと調べるのですがコレは結構効果ありますね。
4.身体と結びつける
散歩や通勤など、日常の動作とセットで聴くと馴染みやすい。コレも単純接触効果に近いですね。
5.ライブ等に行く
他人の熱量と一緒に音楽を体験すると感受性がイッキに開く。コレも絶大な結構がありますよ!某有名なパーティでメチャ盛り上がったタイミングでプレイされた曲の人気が高まったりするのもこの影響でしょうね。
要するに外部からナンらかの音楽的な刺激を受けるコトで自分の感受性のアンテナが再び立つみたいになるんでしょうね。
■今回のテーマで思ったコト
オイラ自身は「最近の音楽に良い曲がない」とは職業柄思わないように意識しているんですよね。むしろ、良い曲は昔も今も必ずアルっ!。ただ、それを「良い」と感じられるかどうかは聴く側の姿勢に大きく関わっているんじゃないかなってと思うんですよ。
もちろん、青春時代の音楽を大切にするのはステキなコトです…でも、同時に「今の音楽」に少しでも耳を傾けてみると、思わぬ出会いが待っているのも事実です。
「昔の曲を楽しむコト」と「新しい音楽を取り入れるコト」――その両立が、音楽の楽しみ方として一番バランスが良いんじゃないかなぁって個人的には思うのです。
RUBEN STUDDARD ft. FAT JOE / WHAT IS SEXY
RUBEN STUDDARD ft. FAT JOE / WHAT IS SEXYの試聴
next recordsのサイトでRUBEN STUDDARDのレコードを探してみる
つい先日、70代の音楽好きな人とハナシをする機会があったのですがその人のスマホのプレイリストには70年代の曲から2025年の今の曲までありとあらゆる曲が登録されていました。
で、今回の40〜50代が抱える「新しい曲が刺さらない問題」のコトをお話すると「新しい曲、メチャ良いじゃないですかっ!」って言っていたのがとても印象的だったんですよね〜その70代の人…感性がそうとう若いのか見た目が全然70代に見えないのもナンダカちょっと魅力的でしたね、感受性や感性がいつもフレッシュだと見た目にも影響するのかなぁ〜って思っちゃいました。
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