もう20年以上、毎日のようにレコードに囲まれて仕事をしてきたコトもあり、お客さんからもイロイロな質問をいただきます。
先日も店頭で「レコードの内袋って、いったい何がベストなんですか?」と訊かれました。
確かに、レコード好きなら誰もが一度は気になるテーマですよね。
大事な盤を守るためにどんな内袋を選ぶべきか…今回はそんな「インナースリーヴ」について、歴史から素材の違い、メリット・デメリット、さらにはコレクター度合いごとのおすすめまで、個人的主観ですが解説してみます。
レコードとジャケットのはじまり
まずは歴史から。
SP盤や初期のLP盤が登場したころは、今みたいなアートワーク付きのジャケットなんてなかったんですよね。
厚紙やクラフト紙でできた無地の袋にレコードを入れて売る、そんなシンプルな形だったんです。
ところが1948年にコロンビア・レコードがLPを発表すると、レコードは「音楽を聴くモノ」だけじゃなく「見せるモノ」にもなりました。外側の厚手ジャケットにアートや情報を印刷して、店頭で目立たせる…これがアウタージャケットの始まりです。
その時に問題になったのが、ジャケットの中でレコード盤が擦れると傷や紙粉が付いてしまうというコト。
そこで盤を保護するために、もうひとつ薄い袋が必要になりました。これが今でいう「インナースリーヴ(内袋)」です。
二重構造の必然
こうして「アウタージャケット + インナースリーヴ」の二重構造が一般的になりました。
役割を整理するとこんなカンジです。
・アウタージャケット:商品性・デザイン・宣伝媒体
・インナースリーヴ:盤そのものを摩擦や汚れから守る一次防護
つまり、レコードが二重で覆われるのは必然だったわけです。
インナースリーヴの役割を深掘り
じゃあインナースリーヴの役割って何か?大きく3つあります。
・摩擦や紙粉からの保護
ジャケットはザラザラしてるから、直接盤を入れると細かい傷が入る。
・静電気・湿気対策
素材によっては静電気の帯電を抑えたり、湿気を吸収したり。
・情報の付加
歌詞や解説を印刷したスリーヴも多く、資料的価値も高い。
これだけ見ても、内袋が単なる「袋」じゃなくて、レコード文化の一部だってわかると思います。
紙製インナーとポリ製インナーの違い
で、前置きが長かったですがココからが本題。インナースリーヴって大きく分けると「紙製」と「ポリ製(PE/PP系)」の2種類があります。それぞれのメリット・デメリットを整理してみますね。
紙製の特徴
メリット
・安価で大量生産しやすい
・歌詞や解説を印刷できる
・通気性がある
・オリジナル付属品としての価値
デメリット
・紙粉や繊維カスが出て盤に付着
・摩擦が大きく細かい擦り傷の原因
・酸性紙だと劣化・黄ばみ・カビの温床になる
ポリ製(PE/HDPE/PP系)の特徴
メリット
・摩擦が少なく盤に優しい
・紙粉が出ない
・静電気を抑えるタイプもある
・化学的に安定していて長期保存に有利
デメリット
・印刷ができない
・経年で黄ばみや硬化が出る場合もある
・通気性がなく湿気がこもるリスク
補足:PE - ポリエチレン / HDPE - 高密度ポリエチレン / PP - ポリプロピレン の略称です。
オイラ個人的には「盤を守る」という意味でポリ製に軍配が上がるかなぁ。ただ、歌詞カード兼スリーヴみたいな文化的役割は紙製じゃないと味わえないんですよね。
MoFiのライスペーパーはなぜ人気?
マニアの間で定番なのが、Mobile Fidelity(MoFi)純正のライスペーパー・インナースリーヴ。
これはHDPEと紙を組み合わせた三層構造で、摩擦が少なく静電気も抑えられる優れモノのインナースリーヴで世界中のアーカイブやマニアが愛用しているだけあって、保存性はバツグンと評価が高いアイテムとして知られています。
「とにかく最高のインナースリーヴを!」と言われればコレがベストチョイスで特に高額盤や状態重視のコレクターさんにはこのタイプをおすすめしています。
コレクター度合いによるおすすめ
でもね、全員がMoFiを使う必要はナイと思うんです。
コレクションの熱意やスタイルって人それぞれだから。そこでオイラは、お客さんの「コレクター度」に合わせてこんなふうにアドバイスしています。
・ライト層(最近レコードを買い始めた人)
→ 安価なPEインナーで十分。紙粉対策になるだけでも安心。
・ミドル層(中堅コレクター)
→ 紙+ポリのハイブリッドタイプがおすすめ。扱いやすく保存性も高い。
・ハード層(保存至上主義のマニア)
→ MoFiライスペーパーなどHDPE多層構造タイプ一択。オリジナル紙インナーは別添え保存。
「ビニールやけ」は起きるのか?
ココでよく訊かれるのが「ポリ袋に入れるとビニールやけしない?」という心配。
結論から言うと、ビニールやけはPVC袋特有の現象です。
PVC(塩化ビニル)は可塑剤(かそざい)を含むので、長期保存でその成分が盤に移行して曇りやモヤが出る。でも、HDPEやPEなどのポリ製インナーには可塑剤が含まれないので、基本的にビニールやけは起きないというコトになります。
オイラの経験でも、ビニールやけが見られるのは昔の柔らかいPVC製インナーや外袋ばかり。だから「古いビニール袋は全部交換!」と覚えておけば安心です。
US盤は紙、日本盤はポリ、その違い
輸入盤を扱っていると気づくのが「US盤はホトンド紙製インナー、日本盤はポリ製インナー」という違い。
これは文化と産業の差みたいですね。
アメリカは大量生産・低コスト・宣伝重視で、歌詞や広告を刷った紙製インナーが合理的だった。
一方、日本はオーディオブームで「音質」「保存」を重視する市場だったから、湿気対策や品質保持のためにポリインナーが標準になったんです。
こういう背景を知ると、ただの袋にも国ごとの文化が反映されてるんだなぁと感じます。
レコード店主的な考え
最後にオイラ個人の考えです。
レコードを大切にしたい気持ちはスゴく理解できるし、実際そのための方法論もたくさんある。でも大事なのは自分のスタイルに合った保管だと思うんですね。
レコードを過剰に覆って出し入れが面倒になって聴かなるのって本末転倒だと思うんですよ。レコードは聴いてナンボですからね。
オイラ自身はカジュアルに楽しむ派なので、内袋にそこまでコダワリがナイんですよ。
ただし「ビニールやけ」だけは最悪なので、古いPVC袋は必ず交換します。
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・内袋は「盤を守る」ために必然的に生まれた存在。
・紙製とポリ製、それぞれメリット・デメリットがある。
・コレクター度合いに応じて選ぶのがベスト。
・「ビニールやけ」はPVC特有で、PE/HDPE製なら心配なし。
・US盤と日本盤の違いにも文化的背景がある。
ん〜レコードってただ音楽を聴くだけじゃなく、こうした「モノとしての歴史」や「文化的背景」を知るのも楽しみのひとつでしよね。
ぜひみなさんも自分のスタイルに合った保管を見つけて、末永くレコードライフを楽しんでください。
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