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こんにちは、東京 渋谷のレコード屋街 宇田川町で零細レコード店を営んでいるnext. recordsです。
当店は、小さな中古レコード店といっても狭い店舗ながら店頭在庫に加えてストックを合わせると数万枚のレコードが店舗や倉庫にあります。
昨今のアナログレコード人気の影響もあって店頭の在庫に関してちょっと変化が出てきました。
2020年から起きたコロナ禍前は、店頭で実際にお客さんが購入できるタイトルっていうのは、多少の増減があるもののコレまで大体7500枚から8000枚くらいで推移していました。
まぁ〜日々売り切れてゆくレコードもアリながら、追加で補充するレコードもあったりでコレまで7500枚から8000枚くらいの店頭在庫数でやってきたワケです。
サスガに8000枚くらいの在庫数となると店頭にあるレコード棚は、常時パンパンにレコードが詰まってかなりのボリュームになってしまうのですが・・・(笑)
しかし、コロナの問題も沈静化しつつある2023年から先に書いたレコード人気や海外からの旅行者が頻繁にお店に訪れるようになって店頭の在庫数がメチャ少なくなってきて来ました。
現在のトコロ、約5500枚の在庫数になっています。
長い間7500枚くらいで営んでいた通常モードでの在庫数からすると約2000枚減の在庫数という状況です。
やはり店頭在庫が2000枚も減ってしまうと、レコード棚はかなり空きスペースがふえてきましたね。
レコード店主の目線からすると・・・
「うわ・・・お店の在庫がメチャ少なくなってる・・・ヤバい、売上がダウンするかもしれないぞ」って思うのですが、実際にはソレホド売上は、さがってないんですよ。
むしろ数年前から取扱をはじめたレコード針の販売もまずまずの売れ行きでトータル的には、売上が増加しているかもしれません。

不思議ですね・・・レコード店主の心境からすると在庫数が多くても少なくても売上がそんなに変わっていない、いや視点を変えた見方によれば、売れ行き好調になっているという状況。
もしかしたらコレまでの7500枚とか8000枚とかの在庫数って当店にとっては多スギたのかもしれないの?って思っちゃうホドです。
「ジャムの法則」という人間の選択肢に対する行動をあらわした説があります。
日本語では、「決定回避の法則」とも言われています。
ザックリとした説明をすると人は多くの選択肢があると逆に選択が難しくなるという状況になってしまい、選択するコト自体を諦めてしまうそうです。
「ジャムの法則」という説を唱えた人がジャムさんだから・・・って言うワケではなくって、この法則は、パンとかに塗るジャムを実際のお店で24種類のジャム並べて販売した場合と6種類だけのジャムを並べて販売した場合とで売上を比べた時に6種類だけのジャムを販売したほうが売上は高かったという実験から由来したネーミングだそうです。
コレね・・・ホント、レコード店の店主的な目線だと、レコードを買いに来るお客さんのニーズに応えるために多くのレコードを扱った方がイイって単純に思うのですが、実際はそんな単純ではなかった・・・ってコトなんでしょうね。
でもどうです? 1万枚の在庫数を誇るレコード店と3000枚の在庫しているレコード店ってドッチのレコード店に行ってみたいと思いますか?
フツーに考えたら少ない在庫数のレコード店よりもたくさんの在庫があるレコード店のほうがイイレコードがアリそうって思いますよね・・・なのでたくさんの在庫があるレコード店へ行ってみようと思うのですが、実際に、訪れてみると膨大なレコードの枚数から気に入るレコードを選択するというのは、かなりタイヘンだというコトになります。
また、レコード店へ実際に訪れてレコードを掘っている状況ってレコードを手にとってパタパタしている度に「買う or 買わない」の選択と決断をしているワケです。
人は選択と決断を何度も迫られるというコトに対してどうやらストレスをカンジるという実験結果もあるそうです。

ん〜ムズカシイですね〜人のココロって。
レコード店の在庫数って先に書いたようにたくさんのレコードを扱っている方がそのお店のアピールポイントになっているんですケドね。
レコードを購入する側もそう思っている部分が多分にあるのですが、実際には多くのレコードからお気に入りのレコードを探すってコトに対してストレスにカンジている部分が結構あった・・・的なコトなのでしょうか。
ソレにたくさんのレコードがあるコトで、イイレコードが埋もれてしまうっていう問題もあります。
この「イイレコードが埋もれてしまう問題」ってこの「渋谷レコード店日記」の過去の記事でも言及したコトがあるのですが、多くのレコード店が抱えている問題で、これを出来るだけ回避する為にレコード店は、アリとアラユル施策をしています。
例えば、在庫数が増えてくるとお客さんがレコードを探しにくくなるので音楽ジャンルのカテゴリー分けを見直してみるとか。
レア盤セレクションや特集コーナー、オススメレコードなどセールスポイントを明確にしたコーナー分けを工夫するとかしているワケです。

当店の場合、在庫数が多かった時期に比べると現在かなり在庫の数が減っています。
しかし、トータルの売上は、減っていない・・・むしろ売れ行きは好調・・・ナンでこうなったのかって考えてみました。
先に書いた「ジャムの法則」っていうのもあるとは思います、その上でコロナの沈静化よるお客さんの消費が戻ってきたコトもあります。
さらに、海外から訪れる訪日外国人の増加によるインバウンドもあります。
オマケに日本だけにととまらない世界的なアナログレコードの人気の高まりっていう追い風的な事情もあります。
そして多くの在庫を有しているレコード店が抱えている「レコードが埋もれちゃう問題」も在庫数が少なくなってきたコトでお客さんが望む良いレコードが表出してきた・・・ってコトもあるような気がします。
先日、当店のスタッフがこんなコトを言っていました。
「メチャ少ない在庫の中からよくコレだけの欲しいレコードを選んで買ってくれるなぁ・・・」って。
レコード店を運営している側からすると、他店にないレコードをよりたくさん揃える、レアなレコードを揃える、人気の高いレコードを揃える、イイ曲だけのレコードを揃える・・・そういったお客さんが求める高いレベルでのニーズに的確に応えるコトによって売上アップにつながるって単純に思っていたのですが、実際はソレだけではなくもっとフクザツな要因が絡んでいたってコトなのかもしれませんね。

レコード店を営んでいくにあたって以前こんな記事を書きました。
「レコード店のビジネスプラン コダワリ路線 or 拡大路線」
上記では、コダワリ路線ならばソレなりの売上を上げるコトは出来るがドコかでアタマ打ちになる。
しかし、レコードの在庫数や店舗数を増やして規模を拡大すれば、大幅に売上を上げるコトは出来るが、運営する側のモチベーションや利益率の悪化、競合他店との差別化がムズカシイ・・・みたいなコトを述べています。
単純に解りやすく二者択一みたいなコトを書いていますケドね、実際はもっとフクザツってことなんですよね。

ココ最近、特にオンラインでの通販では顕著なのですが、ひとりのお客さんが購入するレコードの枚数がメチャ増えてきているんです。
一度のお買い物での購入枚数が10〜20枚ってザラで多い人は、50枚以上の人もいたり、先日は、おひとりで一度に200枚のレコードを購入していただいたお客さんもいらっしゃいました。
おひとりの1回の購入枚数が10枚以上ってコレは、オイラの考察では12インチシングルならではの購入なんじゃないかな・・・って思うんですよね。
レコードのイメージってアルバムのジャケットがパッと思い浮かぶと思うのですが、じゃあそのイメージしたアルバムの中に収録されている代表的な曲ってどの曲をイメージします?
ソレってもしかしてシングルになった曲では、ないでしょうか?
そういったそのアーティストのシングル曲ってやはり購入を検討している人からするとかなりイメージが強いと思うのです。
そしてこのブログでも過去に何度も書いているように自分が好きな曲が12インチシングルという高音質で、カッコいいバージョンで収録されているという12インチシングルならではのアピールポイントを解っている人からすると、コレ欲しいっ!アレも欲しいっ!ってカンジでカートに入れて購入していただいているようなカンジなのかももしれません。
他にも「シングル盤ならではの1曲の強み」って言うのも影響していると思います。
アルバムだとシングル化された曲以外にも他の曲はどうなんだろう・・・って収録された曲の評価のコトを考えたりしますが、シングル曲はもうその曲ズバリの評価で、良い or ダメ というシンプルな選択が出来ますしね。
さらに12インチシングルならではのDJ的な視点って部分も多少アルと思いますし、コレは自分が所有しているレコードのバランスや傾向、プレイのスタイルを考えた上で、その曲を単純な好きか、そうでないかだけで選んでいるワケでない視点もあったりしますしね。
そういったイミでは、12インチシングルは購入しやすいアイテムなのかもしれません。

SHAKIRA feat. WYCLEF JEAN / HIPS DON'T LIE
SHAKIRA feat. WYCLEF JEAN / HIPS DON'T LIE の試聴
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いや〜しかし、在庫数が少なくなるコトってレコード店主からすると比較的ピンチな部類になるのですが、ソレがお客さんにとって買い物しやすくなるというメリットの部分に作用するとは・・・ホント、商売ってわからないですね。
当店は、すでに中古レコード店の営業をはじめて23年になるのですが、オハズカシイコトにこんなコトが起きるんだ・・・ってコトをはじめて知りました・・・。
そうはいっても、このまま在庫が少なくなっているコトをまるっきり良しとしているワケでは、ありませんっ!
バンバン仕入れをしてガンガン店頭に「ナンだっ!コレーーーっ!」なレコードを投入するコトに全力を注ぐ次第でありますっ!

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