
オイラは東京・渋谷で12インチシングル専門の中古レコード店Next Recordsを営んでいるんですが、最近ありがたいことにインスタグラムを見てお店に来てくれるお客さんが増えました。
毎日、店頭在庫の中から1枚の12インチシングルを選んで、だいたい1000文字くらいのレコメンドを書いて投稿しています。すると、その投稿を読んだお客さんがレコードを買ってくれたり、インスタをキッカケに渋谷まで足を運んでくれたりするんです。ホントありがたいですね。
そんなお客さんと店頭でハナシしていたとき、こんな質問をもらいました。
「よく記事に“Dubもオススメっ!”って書いてありますケド、Dubって何なんですか?」
…ん〜たしかに。
オイラはフダン、レコード紹介で「このDub Mixがメチャ格好いいっ!」なんてサラッと書いています。それも結構な頻度で…でも、改めて「Dubってナニ?」と聞かれると、意外とちゃんと説明してこなかったなぁ…と。
なので今回は、自分自身の知識の復習や勉強も兼ねて
Dub Mixとはナニか?
というテーマを、レコード好きな皆さんと一緒に掘り下げてみようと思います。
まぁ〜専門家ではないのでザックリ解説ですがユルく読んでいただければなぁ〜と思います。
Dubはジャマイカで生まれた
Dubの起源は1970年代のジャマイカです。コレに関しては異論はナイでしょう。
当時、レゲエのシングル盤のレコードはA面に歌入りの曲、B面にインストゥルメンタルが入るという構成がよくありました。
しかし、そのB面のインストをただ流すだけではなく、エンジニアがミキサーを使って大胆に作り替えるようになったんです。
その中心人物が
King Tubby
そして
Lee "Scratch" Perry
この2人です。
例えば有名な例として
Jacob Miller / Baby I Love You So という曲があります。
この曲のマルチトラックを使って、King Tubbyが再構築したのが
Augustus Pablo / King Tubby Meets Rockers Uptown(1976)です。
ボーカルは消え、ベースとドラムが前面に出て、エコーやディレイが飛び交う音響空間を作り上げた曲というカンジですね。
同じ曲の素材を使っているのに、まるで別の曲に生まれ変わっているんです。
もうひとつ有名な例としては
Johnny Clarke / Every Knee Shall Bow を元に作られた
U Roy / Every Knee Shall Bow(1978) などがあります。
つまりDubというのは「曲をもう一度ミックスして別の音楽に作り替える手法」なんですね。
Dubは「ミックスで曲を作る」という革命
ココがDubの一番面白いトコロです。
普通の音楽制作は
作曲
↓
演奏
↓
録音
↓
完成
という流れで曲が制作されるのです。
しかしDubは違います。
録音
↓
ミックス
↓
別の曲になるという構造なんです。ようするに作曲ではなく「ミックスで音楽を作る」という発想です。
つまりミキシングが創作になるという革命が起きたワケです。
これは音楽史的にかなり大きな出来事でした。
ナゼなら、この発想が後に
-
Remix
-
Extended Mix
-
Club Mix
といった文化に繋がっていくからです。
DubがDiscoへ広がる
1970年代後半になると、このDubの思想はNew YorkのDiscoシーンにも影響を与えます。
この頃、クラブDJたちはある問題を抱えていました。
「曲が短いっ!」
当時の曲って1曲の長さがだいたい3分くらいで終わってしまうんですね。
そこで登場するのが
Tom MoultonやWalter Gibbonsといったリミキサーたちです。
彼らは曲を
-
長くする
-
ブレイクを伸ばす
-
パートを組み替える
という編集を始めました。
これが Disco Remix です。
つまりジャマイカで生まれたDubの「ミックスで曲を作る」という思想が、New Yorkのクラブ・カルチャー文化に取り込まれたワケです。
なぜ12インチにはDubが入っているのか
ココで12インチシングルのハナシになります。
クラブDJは曲をミックスして次の曲へ繋ぎます。
そのとき便利なのがDub Mixだったりします。
ナゼかというとDub Mixは、概ねボーカルが少ない、リズム主体のアレンジだからです。
DJは
Club Mix
↓
Dub
↓
次の曲
という流れを作ることができます。
つまりDubは、DJツールでもあるんですね。
そのため1970年代後半から80年代にかけてプレスされた12インチシングルには
Club Mix
Dub Mix
Instrumental
という構成がよく見られるようになります。
レコードを掘っていると
「A面よりB面のDubの方がカッコいい」
なんてコトもよくあります…これ、レコード好きアルアルですね。
Discoの12インチシングルでも特にDub Mixの収録を積極的にやっていたのがSalsoul / Prelude / West EndといったNew York Discoを牽引していたレーベルです。
クラブ・カルチャーと一体化していたこれらのレーベルの影響はとても大きかったと思われます。
Dub → Remix → Extended Mix
今回改めて調べてみて思ったんですが、Dubというのは「元曲のパーツをバラして再構築する手法」なんですよね。
そしてこの手法が後に
Remix
Extended Mix
Club Mix
へと進化したっていう経緯のようですね。
つまり
Dub
↓
Remix
↓
Club Music
という流れがあるワケです。
今のHouseやTechno等のElectronic音楽の文化も、この流れの延長にあると言えそうですね。
オイラが初めてDubを意識した曲
オイラ自身が初めて「Dubっぽいな」と明確に意識した曲があります。
それがThe Clash / Rock The Casbah (1982) です。
オイラは10代の頃、New Wave〜Punk少年でした。
中学生の頃、この曲がラジオで流れてきて、もうイッパツでトリコになりました。
ストレートなPunk Rockなんだけど、メチャPopでダンサブルなんですよ。
ソッコーでレコード屋に行って12インチを買いました、そして聴きまくりました。
そのRock The Casbahの12インチのB面に入っていたのが
Mustapha Dance という曲。
買ったときはチラッと聴いたくらいで、正直ピンとこなかったんです。
でもRock The Casbahを何十回も聴いた後に
「アレ?B面ってどんな曲だっけ?」
って改めて聴いてみたら
「ナンじゃコレ!?メチャ格好いいやんけっ!」
となったワケです。
イントロからパーカッションが鳴り、ファンキーなベースラインとキレキレのギターリフがループするトラックでJoe Strummerのボーカルは断片的に切り刻まれている。
クレジットはDubとは書いてないんですが、どう聴いても「Rock The CasbahのDub Mix」なんですよね〜コレ、当時は「Dub」というコトバ自体も知りませんでしたケドね。
後から知ったんですが、The Clashは先に紹介したLee "Scratch" Perryの大ファンだったそうです。
The ClashはLee "Scratch" PerryがプロデュースしたJunior Murvin / Police and Thievesをカバーしたりもしていますね。
当時中学生だったオイラは、そんな背景なんて全然知らずに聴いていました。
The ClashといえばThe Magnificent SevenのDub的バージョン
The Magnificent DanceもGarage Classicとして有名ですね。
レゲエのDubとNY DiscoのDubはナゼ違うのか?
前回の記事でDubの起源がジャマイカのレゲエにあるコト、そしてその手法が後にDiscoやクラブミュージックへと広がっていったコトを紹介しました。
しかし実際にレコードを聴き比べてみると、レゲエのDubと、NY DiscoのDubはかなりサウンドが違うというコトに気づきます。
レゲエのDubはエコーやディレイが飛び交う音響的な世界なのに対してDiscoのDubは、あくまでビートやグルーヴが中心で、エフェクトは比較的控えめ。
オイラも昔は「Dubってこういう音のコトだよね」と、なんとなく感覚で理解していたんですが、改めて考えるとこの違いはとても面白いポイントですよね。
では、なぜ同じ「Dub」という言葉が使われているのに、こんなにアレンジが違うのでしょうか。
実はそこには、音楽が生まれた文化の違いが大きく関係しているようです。
まず一番大きな違いは、音楽が鳴る場所でしょうね、レゲエのDubはジャマイカのサウンドシステム文化から生まれました。
巨大なスピーカーを積んだサウンドシステムの前で人々が集まり、Deejayがトースティング(マイクで語るパフォーマンス)をするのですが音楽はその場の空気を作るための背景のような役割も持っていました。
だからDubでは、音が突然消えたり、スネアにエコーが飛んだり、空間が広がったりと、音響的な演出がとても重要になるワケです。
つまりレゲエのDubは音響空間を演出する音楽と言ってもいいかもしれません。
一方でNew YorkのDiscoはどうだったかというと、こちらは完全にダンスフロアの音楽でクラブでは人々が踊るコトが目的なので、音楽の役割はシンプルで踊り続けられるグルーヴを作ることです。
もしレゲエDubのように音が頻繁に消えたり、空間演出ばかりになってしまうと、ダンスフロアの流れが止まってしまいますよね〜だからDiscoのDubは、グルーヴをキープしたまま
-
ボーカルを減らす
-
リズムを強調する
-
パートを再構成する
といった方向に進化したんでしょうね。
そんなNew York Discoに於けるDub MixでもFrancois Kevorkianが手がけた"D" Train / Keep On (Dub Mix)はかなり異彩を放つアレンジで最高にカッコイイですね。
Dubはちょっとクセがある…でもハマるとヤバい
今回ざっくりDubについて調べてみて思ったんですが、Dubって自由すぎる音楽なんですよね。
イントロ〜Aメロ〜Bメロ〜サビというカンジの普通の曲のフォーマットに全然収まらない…だから最初は少しとっつきにくいかもしれません。
でも聴き込んでいくとその自由なアレンジと中毒性のあるグルーヴにハマるとたまらないんです。
そして面白いコトにA面のメインMixよりB面のDubの方がカッコいいなんてレコードも結構あります。
なのでレコードを聴く時はぜひB面もチェックしてみてください。
思わぬ名トラックが潜んでいるかもしれませんよ。
GEORGE KRANZ / DIN DUB DUB
GEORGE KRANZ / DIN DUB DUB の試聴
next recordsのサイトでGEORGE KRANZのレコードを探してみる
当初は、サラリとシンプルにしようと綴り始めたザックリDub解説なのですが熱が入りすぎて超長文になってしまいました…笑
まぁ〜この記事をキッカケにDubに少しでも興味を持っていただければなぁ〜と思います。
もし渋谷に来る機会があれば、ぜひNext Recordsにもお立ち寄りください。
店頭では、そんな「B面がヤバい12インチ」なんかもたくさんありますよ。
レコードの世界は、まだまだ奥が深いです…。
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