店内に立っていると、毎日のように同じ光景を目にする。
レコード棚の前で立ち止まり、1枚のレコードをそっと抜き出し、ジャケットを眺め、レーベルを確認し、スマホで何かを調べる…そして一度棚に戻したかと思えば、数分後、また同じ場所に戻ってきて、もう一度そのレコードを抜き出す。
オイラはカウンター越しにその様子を見ながら、「あぁ、今まさにココロの中でせめぎ合いが起きているなぁ」って思うコトがよくあるんですよね。
「欲しい。でも、本当に買っていいのか?」
この一瞬の葛藤こそが、レコードを買うという行為のイチバン面白いトコロであり、アナログ文化の奥深さでもあるんじゃないでしょうかね〜。
レコード屋には「買うため」に来ている、でも…
多くのお客さんは、最初から「ナニか買おう」「良いレコードがあれば買おう」と思ってレコード店に来ているワケで今日は1枚くらい買って帰ろう…そんな気持ちでレコード棚を見ている人がホトンドだと思います。
それなのに、いざ本当に欲しい1枚が目の前に現れると、急に足が止まるんですよね。
「買うつもりで来たのに、なぜ悩むのか?」
これがレコードの不思議なトコロです(笑)
サブスクの配信なら、そこまで悩まずに済むコトも多いと思うんですよね、タップひとつ、再生ボタンひとつで「ハイ、コレクションに追加完了」ってカンジです。
でもレコードは違う。実体があり、価格があり、しかも多くの場合は一期一会です。
特に高額なレア盤…長年探していた12インチシングルが突然目の前に現れたとき、そのココロの揺れはかなり大きいみたいです。
欲しい。これは間違いない。でも、本当に今、買っていいのか?みたいなせめぎあいがあるようです。
欲しいと感じた瞬間、実はもう勝負はついている
オイラの経験上、レコードを手に取った瞬間に、気持ちはホボ決まっているんじゃないかなぁ。
ジャケットの雰囲気、盤の存在感、レーベルのロゴ、クレジットの文字…そのどれかが、無意識にスイッチを押している。
この段階では、まだ価格も、相場も、レア度も、頭の中では整理されていないと思うんですよね、ホント「良い」「好き」「気になる」という感覚だけが先に立ち上がっているんだと思います。
よく「衝動買いは良くない」と言われるけれど、個人的には少し違うんじゃやないかな〜って思っているんです。
この瞬間は、衝動というより「直感」じゃないでしょうか。
長年音楽を聴き、レコードに触れてきた人ほど、この直感は鋭いと思うんですよ。
ナンていうか、頭で考える前に、カラダが反応しているみたいな感覚ですね、針を落とした記憶、フロアで鳴っていた音、過去の体験が一瞬で結びついちゃう。
だから、この時点で「買いたい」という感情は、すでにココロの中の大部分を占めている状態になっていると思うんです。
それでも人は、理由を探し始める
問題はココからです。
欲しい。でも、感情だけで買ったと思いたくない。ん〜ありますよね〜こういう気持ち。
そこで人は、レコードを棚から抜いたまま、理由探しを始める。
・USオリジナルかどうか
・12インチならではの音圧
・このミックスはこの盤にしか入っていない
・コンディションがいい
・次に出会える保証はない
スマホでDiscogsにアクセスして、相場を確認し、過去のリリース年をチェックする。
この一連の行動、オイラは毎日のように見ています。しかもコレは人種や国籍、性別・年齢関係ナシで多くの人が同じ行動になっていますね。
そして一度「よし、買おう」と決めたあと、ナゼかもう一度棚に戻す。
でも数分後、また戻ってきて、同じレコードを抜き出す。
あ〜、メチャ悩んでるな〜、って、もうそのココロの動きがビンビン伝わってくるんですよね。
ナゼ人は「買っていい理由」が欲しくなるのか
ココで少しだけ、ココロのハナシをしてみようと思います。
人は多くの場合、感情や感覚で購入を決め、そのあとで理屈を使ってそれを正当化するみたいです。
コレは、オイラがレコード屋になる前から、何度も自分自身で体験してきたコトでもあります。
買いたい。でも「ただ欲しいから買った」と思うと、ドコか落ち着かない。
だから人は、「ちゃんとした理由」を欲しがるんでしょうね。
それは見栄でも、ウソでもない。
自分は合理的な判断をしている、という感覚が欲しいんでしょうね。
この感覚がないと、心がザワザワする。いわゆる違和感をカンジちゃうですよね。
人はこの違和感を嫌う。だから、理由をつけて安心したいって思うんでしょうね…タブン。
感情と理性は対立していない
ココで誤解してほしくないのは、感情と理性は敵同士ではない、というコトです。
感情が「方向」を決め、理性が「納得」をつくる。
レコードの場合、感情が「コレだ!」って教えてくれる。
理性は、その選択が自分にとって許容できるかどうかを確認する役割を担っているみたいなカンジですね。
価格、相場、置き場所、予算。そういった現実的な要素を整理する。
この順番が逆になると、レコードは面白くなくなる。
オイラの場合、アタマだけで選んだレコードは、あとで聴いた時に「あれ?」となるコトも多いという印象があります。
逆に、感情が動いたレコードは、理由が多少後付けでも、結構印象が強く残ってよく聴いてたりレコードを購入したシチュエーションを覚えていたりしますね。
「聴いてみますか?」の一言で決着がつく瞬間
店頭でよくあるのが、このパターンです。
レコード棚の前で悩んでいるお客さんに、「よかったら聴いてみますか?」と声をかけて試聴してもらうと、多くの場合、「やっぱり、イイ曲ですね〜」という反応が返ってくる。
その瞬間、迷いはかなり消えているんでしょうね〜レコードの音は理屈をイッキに飛び越えるんでしょう。
そして「やっぱり12インチは音音がありますよね〜」なんてハナシをすると、「そうですよね〜」と頷いて、「コレ、買いますっ!」となるみたいな…。
ココで起きているのは、感情と理性の合意だと思います。
感情はすでにYESと言っていた、そして理性が、最後の確認を終えたみたいなカンジでしょうね。
「自分にご褒美」という最強の理由
もうひとつ、よく聞く理由がある。
「最近、仕事がんばったから」的な自分へのご褒美要素です。
コレは、ものすごく人間的で、健全な理由だと思うんですよね。
レコードは生活必需品じゃない。でも、レコード好きな人のココロにとっては必要なアイテムです。
がんばった自分に、少しだけ許可を出す。
この「ご褒美」という言葉は、欲しい気持ちと理性をうまくつないでくれると思うんですよ。
衝動買いではなく、意味のある選択に変えてくれる…みたいな印象がありますよね。
ん〜コレ、誰が最初に言ったのかわかりませんが実にウマい表現ですね。
買わなかった後悔のほうが、ずっと重い
コレね〜オイラ自身、何度も経験してきましたね。
これまでに「今日はやめておこう」と棚に戻したレコードはン百枚、いやン千枚は在ると思います。
数日後、あるいは数年後に思い出すんですよ。
「ナンであのとき買わなかったんだろう…」って。
不思議なコトに、買って失敗した記憶より、買わなかった後悔のほうが、ずっとココロに残るんですyね。
手に入れるチャンスがあったのに、逃したという感覚は、あとからジワジワ効いてくる。
だからこそ、人は最終的に「買う」という選択をすると、心が安定するみたいトコロありますよね。
レコードを買うという行為の正体
レコードを買うコトは、音楽を買うコトでもあり、モノを買うコトでもあります。
でもそれ以上に、「自分の気持ちを整える行為」っていう要素もあるんじゃないかなって思うんですよ。
悩むのは、「真剣」だからだし理由を探すのは、自分を大切にしているからですよね。
そして、最終的に1枚をレジに持ってくるときの、あの少しホッとした表情。
あれを見るたびに、「欲しいレコードが見つけるコトが出来てよかったなぁ」ってカンジちゃうんですよね。
ALICIA KEYS / NO ONE
ALICIA KEYS / NO ONE の試聴
next recordsのサイトでALICIA KEYSのレコードを探してみる
渋谷のレコード店の片隅から
レコード店ではこんな小さなココロのドラマをいつも見続けているワケです。
棚の前で悩む時間も、理由を探す時間も、あるイミではレコードを楽しむ要素のひとつですよね。
もし、あなたが次にレコードを手に取って迷ったら、こう思ってほしいんですよ。
「実はもう、気持ちは決まってるかもしれないな」って。
そのレコードを買う理由は、あとからいくらでも見つかる。
そして、その1枚は、きっとあなたの生活のどこかで、静かに鳴り続けていると思いますよ。
ん〜ちょっとポエミーな表現ですが(笑)
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