渋谷レコード店日記 - アナログレコードコレクションのススメ

東京 渋谷の12インチシングル専門の中古レコード屋next. recordsで日々思ったコトやレコードについて書いてます

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オイラは東京・渋谷で12インチシングル専門の中古レコード店Next Recordsを営んでいるんですが、最近ありがたいことにインスタグラムを見てお店に来てくれるお客さんが増えました。

毎日、店頭在庫の中から1枚の12インチシングルを選んで、だいたい1000文字くらいのレコメンドを書いて投稿しています。すると、その投稿を読んだお客さんがレコードを買ってくれたり、インスタをキッカケに渋谷まで足を運んでくれたりするんです。ホントありがたいですね。

そんなお客さんと店頭でハナシしていたとき、こんな質問をもらいました。

「よく記事に“Dubもオススメっ!”って書いてありますケド、Dubって何なんですか?」

…ん〜たしかに。

オイラはフダン、レコード紹介で「このDub Mixがメチャ格好いいっ!」なんてサラッと書いています。それも結構な頻度で…でも、改めて「Dubってナニ?」と聞かれると、意外とちゃんと説明してこなかったなぁ…と。

なので今回は、自分自身の知識の復習や勉強も兼ねて

Dub Mixとはナニか?

というテーマを、レコード好きな皆さんと一緒に掘り下げてみようと思います。
まぁ〜専門家ではないのでザックリ解説ですがユルく読んでいただければなぁ〜と思います。


Dubはジャマイカで生まれた

Dubの起源は1970年代のジャマイカです。コレに関しては異論はナイでしょう。

当時、レゲエのシングル盤のレコードはA面に歌入りの曲、B面にインストゥルメンタルが入るという構成がよくありました。

しかし、そのB面のインストをただ流すだけではなく、エンジニアがミキサーを使って大胆に作り替えるようになったんです。

その中心人物が

King Tubby
そして
Lee "Scratch" Perry

この2人です。

例えば有名な例として

Jacob Miller / Baby I Love You So という曲があります。


この曲のマルチトラックを使って、King Tubbyが再構築したのが

Augustus Pablo / King Tubby Meets Rockers Uptown(1976)です。


ボーカルは消え、ベースとドラムが前面に出て、エコーやディレイが飛び交う音響空間を作り上げた曲というカンジですね。

同じ曲の素材を使っているのに、まるで別の曲に生まれ変わっているんです。

もうひとつ有名な例としては


Johnny Clarke / Every Knee Shall Bow を元に作られた

U Roy / Every Knee Shall Bow(1978) などがあります。


つまりDubというのは「曲をもう一度ミックスして別の音楽に作り替える手法」なんですね。


Dubは「ミックスで曲を作る」という革命

ココがDubの一番面白いトコロです。

普通の音楽制作は

作曲

演奏

録音

完成

という流れで曲が制作されるのです。

しかしDubは違います。

録音

ミックス

別の曲になるという構造なんです。ようするに作曲ではなく「ミックスで音楽を作る」という発想です。

つまりミキシングが創作になるという革命が起きたワケです。

これは音楽史的にかなり大きな出来事でした。

ナゼなら、この発想が後に

  • Remix

  • Extended Mix

  • Club Mix

といった文化に繋がっていくからです。


DubがDiscoへ広がる

1970年代後半になると、このDubの思想はNew YorkのDiscoシーンにも影響を与えます。

この頃、クラブDJたちはある問題を抱えていました。

「曲が短いっ!」

当時の曲って1曲の長さがだいたい3分くらいで終わってしまうんですね。

そこで登場するのが

Tom MoultonWalter Gibbonsといったリミキサーたちです。

彼らは曲を

  • 長くする

  • ブレイクを伸ばす

  • パートを組み替える

という編集を始めました。

これが Disco Remix です。

つまりジャマイカで生まれたDubの「ミックスで曲を作る」という思想が、New Yorkのクラブ・カルチャー文化に取り込まれたワケです。


なぜ12インチにはDubが入っているのか

ココで12インチシングルのハナシになります。

クラブDJは曲をミックスして次の曲へ繋ぎます。
そのとき便利なのがDub Mixだったりします

ナゼかというとDub Mixは、概ねボーカルが少ない、リズム主体のアレンジだからです。

DJは

Club Mix

Dub

次の曲

という流れを作ることができます。

つまりDubは、DJツールでもあるんですね。

そのため1970年代後半から80年代にかけてプレスされた12インチシングルには

Club Mix
Dub Mix
Instrumental

という構成がよく見られるようになります。

レコードを掘っていると

「A面よりB面のDubの方がカッコいい」

なんてコトもよくあります…これ、レコード好きアルアルですね。
Discoの12インチシングルでも特にDub Mixの収録を積極的にやっていたのがSalsoul / Prelude / West EndといったNew York Discoを牽引していたレーベルです。
クラブ・カルチャーと一体化していたこれらのレーベルの影響はとても大きかったと思われます。


Dub → Remix → Extended Mix

今回改めて調べてみて思ったんですが、Dubというのは「元曲のパーツをバラして再構築する手法」なんですよね。

そしてこの手法が後に

Remix
Extended Mix
Club Mix

へと進化したっていう経緯のようですね。

つまり

Dub

Remix

Club Music

という流れがあるワケです。

今のHouseやTechno等のElectronic音楽の文化も、この流れの延長にあると言えそうですね。


オイラが初めてDubを意識した曲

オイラ自身が初めて「Dubっぽいな」と明確に意識した曲があります。

それがThe Clash / Rock The Casbah (1982) です。


オイラは10代の頃、New Wave〜Punk少年でした。

中学生の頃、この曲がラジオで流れてきて、もうイッパツでトリコになりました。

ストレートなPunk Rockなんだけど、メチャPopでダンサブルなんですよ。

ソッコーでレコード屋に行って12インチを買いました、そして聴きまくりました。

そのRock The Casbahの12インチのB面に入っていたのが

Mustapha Dance という曲。


買ったときはチラッと聴いたくらいで、正直ピンとこなかったんです。

でもRock The Casbahを何十回も聴いた後に

「アレ?B面ってどんな曲だっけ?」

って改めて聴いてみたら

「ナンじゃコレ!?メチャ格好いいやんけっ!」

となったワケです。

イントロからパーカッションが鳴り、ファンキーなベースラインとキレキレのギターリフがループするトラックでJoe Strummerのボーカルは断片的に切り刻まれている。

クレジットはDubとは書いてないんですが、どう聴いても「Rock The CasbahのDub Mix」なんですよね〜コレ、当時は「Dub」というコトバ自体も知りませんでしたケドね。

後から知ったんですが、The Clashは先に紹介したLee "Scratch" Perryの大ファンだったそうです。

The ClashはLee "Scratch" PerryがプロデュースしたJunior Murvin / Police and Thievesをカバーしたりもしていますね。

当時中学生だったオイラは、そんな背景なんて全然知らずに聴いていました。

The ClashといえばThe Magnificent SevenのDub的バージョン

The Magnificent DanceもGarage Classicとして有名ですね。






レゲエのDubとNY DiscoのDubはナゼ違うのか?

前回の記事でDubの起源がジャマイカのレゲエにあるコト、そしてその手法が後にDiscoやクラブミュージックへと広がっていったコトを紹介しました。

しかし実際にレコードを聴き比べてみると、レゲエのDubと、NY DiscoのDubはかなりサウンドが違うというコトに気づきます。


レゲエのDubはエコーやディレイが飛び交う音響的な世界なのに対してDiscoのDubは、あくまでビートやグルーヴが中心で、エフェクトは比較的控えめ。

オイラも昔は「Dubってこういう音のコトだよね」と、なんとなく感覚で理解していたんですが、改めて考えるとこの違いはとても面白いポイントですよね。

では、なぜ同じ「Dub」という言葉が使われているのに、こんなにアレンジが違うのでしょうか。

実はそこには、音楽が生まれた文化の違いが大きく関係しているようです。


まず一番大きな違いは、音楽が鳴る場所でしょうね、レゲエのDubはジャマイカのサウンドシステム文化から生まれました。

巨大なスピーカーを積んだサウンドシステムの前で人々が集まり、Deejayがトースティング(マイクで語るパフォーマンス)をするのですが音楽はその場の空気を作るための背景のような役割も持っていました。

だからDubでは、音が突然消えたり、スネアにエコーが飛んだり、空間が広がったりと、音響的な演出がとても重要になるワケです。

つまりレゲエのDubは音響空間を演出する音楽と言ってもいいかもしれません。

一方でNew YorkのDiscoはどうだったかというと、こちらは完全にダンスフロアの音楽でクラブでは人々が踊るコトが目的なので、音楽の役割はシンプルで踊り続けられるグルーヴを作ることです。


もしレゲエDubのように音が頻繁に消えたり、空間演出ばかりになってしまうと、ダンスフロアの流れが止まってしまいますよね〜だからDiscoのDubは、グルーヴをキープしたまま

  • ボーカルを減らす

  • リズムを強調する

  • パートを再構成する

といった方向に進化したんでしょうね。

そんなNew York Discoに於けるDub MixでもFrancois Kevorkianが手がけた"D" Train / Keep On (Dub Mix)はかなり異彩を放つアレンジで最高にカッコイイですね。



Dubはちょっとクセがある…でもハマるとヤバい

今回ざっくりDubについて調べてみて思ったんですが、Dubって自由すぎる音楽なんですよね。

イントロ〜Aメロ〜Bメロ〜サビというカンジの普通の曲のフォーマットに全然収まらない…だから最初は少しとっつきにくいかもしれません。

でも聴き込んでいくとその自由なアレンジと中毒性のあるグルーヴにハマるとたまらないんです。

そして面白いコトにA面のメインMixよりB面のDubの方がカッコいいなんてレコードも結構あります。

なのでレコードを聴く時はぜひB面もチェックしてみてください。

思わぬ名トラックが潜んでいるかもしれませんよ。



GEORGE KRANZ / DIN DUB DUB
GEORGE KRANZ / DIN DUB DUB の試聴
next recordsのサイトでGEORGE KRANZのレコードを探してみる

当初は、サラリとシンプルにしようと綴り始めたザックリDub解説なのですが熱が入りすぎて超長文になってしまいました…笑

まぁ〜この記事をキッカケにDubに少しでも興味を持っていただければなぁ〜と思います。

もし渋谷に来る機会があれば、ぜひNext Recordsにもお立ち寄りください。

店頭では、そんな「B面がヤバい12インチ」なんかもたくさんありますよ。

レコードの世界は、まだまだ奥が深いです…。


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渋谷で中古レコード店をやっていると、時々お客さんに訊かれるコトがあります。

「レコードってどこに保管しているんですか?」って。

店内に並んでいる膨大なレコードの量を見れば、たしかに気になりますよね。

しかしですね、実はあれは氷山の一角なんです。

Next Recordsでは店頭に並んでいるレコードの何倍もの在庫が、店舗とは別の場所に保管されています。

そしてその倉庫が、今回またしても引越しすることになってしまいました…。

いや〜もうね、本当にこれはレコード屋の宿命と言っていいかもしれません、決して宿命にはしたくないのですケドね。

今日はそんな「レコード屋の裏側」の話を書いてみようと思います。


渋谷でレコード店を始めて26年

オイラの運営しているNext Recordsは、2000年に渋谷・宇田川町でスタートしました。

気がつけば今年で26年目になります。

お店をはじめた当初の渋谷といえば、レコード店の密集地帯でした。

最盛期はホントに凄かった。

90年代から2000年代前半、宇田川町から神南あたりまで歩けば、あちこちにレコード店がありましたからね。

当時に比べると今はさすがに数は減りましたが、それでもこのエリアにはまだ何軒ものレコード店が営業しています。

この街には、やっぱり音楽文化の土壌があるんでしょうね〜今でも海外からのレコードコレクターやDJもよく来てくれます。

そんな渋谷で長くレコード店をやってきて思うのは、レコード屋のイチバンの悩みは在庫の保管…。

これに尽きるんですよ。


中古レコード屋はとにかく在庫が増える

レコードというのは不思議なもので、仕入れを続けていると本当に増えていきます。

オイラの店でもホボ毎日のようにレコードが入荷します。

買取もありますし、海外から仕入れるコトもあります。

そして中古レコードは基本的に1枚1枚違う商品なんですよ、つまり同じ商品を大量に売る商売ではないんですね。

中古レコード屋は、「1枚しかない宝物」を扱う商売です。

だからこそ、良いレコードはできるだけ持っておきたい…次はいつ再び入荷できるか解らないのでストックしておきたいっていう心理が強く働くんですよね。

でもその結果どうなるかというと…店がレコードで埋まります。(笑)

今のお店の状態はというと

・入口 → レコードのダンボール山盛り
・店内 → エサ箱の下のストック棚がパンパン
・バックヤード → 指が入らないほどレコードが詰まっている
・カウンター → 入力作業中のレコードで溢れている

つまり、完全に飽和状態です。

店主としては、お客さんを迎える入り口くらいはキレイにしておきたいって常に思っているんですよ。

でもレコードがそれを許してくれないっ!

これがレコード屋のリアルです。


2013年、最初の倉庫を借りた

この問題が限界に達したのが2013年でした。

もう店内では保管しきれない。

そこでオイラは自宅の近くにコンテナ倉庫を借りました。

その時の記事はコチラ

レコード用の倉庫を借りました!


ダンボールに詰めたレコードを大量に移動して、

「いや〜スッキリした!」と思ったんですよ。

しかしですね…数年後にはまた店内がレコードのダンボールだらけになりました。

そしてコンテナ倉庫をもうひとつ借りるコトになりました。

それでもまた数年後には店内がレコードだらけになっちゃいました…。

もうこの頃から物理的に店が破綻し始めていたんでしょうね。


2017年、倉庫兼事務所を借りる

そこで2017年、オイラは一大決心をしました。

倉庫兼事務所を借りるコトにしたんです。

ご存知の通り渋谷の賃貸物件って、めちゃくちゃ高いんですよ。

でももう店内だけでは仕事が回らないんですよ。

フダンの入力作業にご来店いただいたお客さんとの接客に1000枚単位で持ち込まれる買い取りの査定…ソレを店内の限られたスペースで行うのはゼッタイにムリっ!って状況になっちゃんたんですよね。

そうして借りたのが、築60年の超古い雑居ビルでした。

広さは23平米くらい。広さ的には約14畳くらいの広さです。

でもこれがレコード屋的には最高だったんですよね

なぜなら

・ビルの1階の物件だった
・しかもレコードを積んだ車を横付けできる
・さらに天井高め(レコードが詰まったダンボールを積み上げることが出来る)

・オマケにリアル店舗からメチャ近いっ!(徒歩2分)

・さらに家賃は10万円以下っ!(ありえないっ!)

レコード屋にとって、「車を横付けできる1階」は神物件なんですよね。

重たいレコードを何箱も運ぶワケですから。

この築60年の超古い雑居ビルはまるで当店の倉庫兼事務所のために存在するような物件でした。


そして2023年、突然の退去通告

この場所を倉庫兼事務所として6年くらい使っていました。

店内から溢れ出た大量のレコードを保管したり、数千枚規模の買い取り査定のレコードを査定したりとメチャ重宝していました。

ところが更新のタイミングで大家さんから

「次回の更新はできません」って言われたんですよ。

その理由は、「建物の老朽化による取り壊し」でした。

まあ築60年ですからね。

仕方ないとはいえ…また引越しです。


新しい倉庫はより最高の物件だった

物件探しをして見つけたのが、お店からすぐ近くの物件。

しかも

・徒歩1分いや走ったら30秒っ!
・しかもコチラも1階の物件
・モチロン、車を横付け可能
・さらに築60年の物件よりも天井が高い

・オマケに広さも前より少し広い。

これはもう「理想的で完璧なレコード倉庫」でした。

築60年の物件も相当なレア物件でしたがコチラは更にソレを上回るくらいの好条件の物件だったんですよね〜。

ただしっ!「家賃は2割アップ」でしたが…(泣)

しかしもう退去勧告がすでに出されていたので内覧したその日のうちに即決で契約しました。

家賃が上がるのは正直イタかったですがそれでも「ココで腰を落つ付けて長くやっていこうっ!」と思って引越ししました。

その時の記事はコチラ

急遽、レコード倉庫の引越しを敢行っ!


しかし2年でパンパンに…

上記に紹介したブログ記事を見て思ったのですが広いですね〜数万枚のレコードを積み込んでもまだスペースに余裕があるように見えます。

トコロがですね、レコードというのは本当に恐ろしいもので最初は

「収納力スゴいっ!」

と思っていた倉庫も2年足らずでパンパンになりました。

イヤ〜マジでに恐ろしい…。

レコードは増える生き物なんじゃないかと思うくらいです。

まぁ〜だけど四方八方をレコードが詰まったダンボールに囲まれた中でオイラはレコードの選別作業や査定に勤しんでいました。


そして再び退去通告

で、はじめての倉庫件事務所の更新を終えた翌月に管理会社から通知が来ました。

「オーナーチェンジしました〜」

まぁコレは、収益性の高い繁華街の賃貸物件ではよくあるハナシなので

「ふ〜ん…そうなんだ…」

くらいに思っていたんです。

しかしその2ヶ月後。

新しい不動産会社から電話がかかってきました。

その内容は、

「建て替えるので退去してください」

えっ…「マジかっ!?

もう本当に青天の霹靂でした。

少し前に更新したばっかりなのにナンでだよっ!って。


渋谷で倉庫を探すのは大変

急いで物件探しを始めました。

条件は

・店から徒歩2〜3分
・できれば1階
・車横付け可能
・20平米以上
・家賃安め

しかし…

そんな好都合な物件はナイっ!

不動産屋から紹介されるのは、こんなよく見るワンルームマンションばかりなんですよね。

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玄関
ユニットバス
キッチン
ベランダ…いやいやレコード倉庫に風呂やベランダ、キッチンもいらないんですよ。

とにかくレコードを保管するというコトに特化した使い方としてはムダなスペースが多すぎるんですよね。


そして選んだのはマンション

退去の期限は一応決められていたのですがオイラの性分上、引越し先が未確定というそういった問題点がクリアされなければ落ち着いてシゴトが出来ないんですよ。

物件を紹介してくれる不動産屋も連日、「コレはどうですか?」ってカンジで物件のチラシを見せてくれるのですがまったくオイラの希望にカスらない…。

そんなダメダメ物件の中でも唯一、マシなのが1つだけあったんですよね。

しかしっ!家賃が今より2.5割増っ!コレは、イタい出費です。

決してキレイとは言えない古いレコードを保管するのに高額な家賃を払うのは効率的に考えて正直ムダです。

述べ30件以上の賃貸物件を紹介してくれましたがチラシを見ただけでひとつも内覧してみようって思う物件がありません。

そんな状況を見かねた新しいオーナーから「今の家賃の差額分を営業補償として補填するので移転してほしい」って条件が提示されました。

そこまでの好条件を提示されるとサスガに移転先を決めざるを得ませんよね。

で、最終的に決めたのが唯一マシな物件でした。

この物件、今の倉庫のすぐ近くのマンションなんですよ。

しかしコレが完全にオーバースペック。

・15階建ての高層マンションの6階
・オートロック
・日当たり最高
・眺望良好

・しかもリアル店舗から徒歩1分

というか、オイラが住みたいレベルの部屋なんです。

正直

「ココをレコード倉庫にしていいの?」ってカンジです。

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300箱のレコード引越し

現在オイラは、台車にレコードを積んでせっせと引越ししています。

そのダンボールの数、推定300箱くらいあります。

ホントはもっと多かったんだケド、50箱をコンテナ倉庫に移動させました。

引越し先が近くとはいえ、300箱は相当な量です。

しかもレコードは重い…だいたい1箱20kg近くありますからね。

もう完全に筋トレ状態です。

新しいオーナーさんからは引越し期間として2ヶ月の猶予をもらったので少しづつダンボールを移動させて行こうと思います。

ん〜しかし、時間的に余裕があるとはいえホントにタイヘンです。


レコード屋という仕事

レコード屋ってハタから見ていると優雅なシゴトに見えるかもしれません。

音楽に囲まれて

レコードを聴いて

好きなものを売る。

でも実際は結構、肉体労働の比率が高いんですよ。

レコードは

重い
場所を取る
増え続ける

そして

引越しがタイヘン。


それでもレコードが好き

正直に言うともう引越しはホントに勘弁してほしいです。

っていうか引越しのたびに毎回言っていますケドね。

引越ししたくないのに強制的に引っ越しさせられちゃうって状況は、コレまでに何回もありましたからね。

あ〜思い返してみれば今のリアル店舗も建物を取り壊すから出ていってくれって言われて移転したんですよね。


ん〜今回の引越しストレスで口内炎までできました。

しかしですね〜それでもレコード屋を続けている理由はやっぱりレコードが好きだからなんでしょうね。


レコードという文化

アナログレコードは、単なる音楽メディアではありません。

ジャケット
盤の質感
音の温度

そして

ナニよりもレコードを探す体験

コレ等すべてが文化だと思います。

Next Recordsでは12インチシングルのオリジナル盤だけを扱っています。

すべてのレコードは

・クリーニング
・品質チェック
・試聴可能  にしています。

そして1枚1枚に推薦コメントを書いています。

これは率直に「レコードとの出会いを楽しんでほしい」という気持ちからなんです。


次の引越しはもう勘弁

今回の移転先のマンションは、築10年くらい。

なのでタブン…もう引越しはナイでしょう。

タブンですが…(笑)

むしろ心配なのは家賃の大幅UPです。

こんな高額な家賃を中古レコード販売で維持できるのか…。

それより先にオイラのカラダが300箱の引越しに耐えられるのか(笑)


ONE WAY feat. AL HUDSON / DO YOUR THANG
ONE WAY feat. AL HUDSON / DO YOUR THANG の試聴
next recordsのサイトでONE WAYのレコードを探してみる

レコード屋の裏側

もし渋谷に来る機会があればゼヒお店にも寄ってください。

店内に並んでいるレコードの裏には

こんな倉庫と在庫の物語があります。

でもそれもレコード文化を守るシゴトの一部…。

今日もまた台車にレコードを積んで倉庫と店を往復しています。

願わくば…

次の引越しは10年後くらいでお願いします(笑)

イヤ、もう引越しはしたくないっ!



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ヒット曲の裏側を読み解く音楽制作のハナシ

オイラは毎日、Instagramでおすすめの12インチシングルを紹介しています。
ただ「良い曲です」ではつまらないから、その曲が生まれた背景や制作陣、当時のシーンなんかも含めてできるだけ深掘りな解説をしています。

そんな作業を続けていると、

「アレ…この曲、アーティスト以上にプロデューサーの色が強くないか?」ってコトに気がつきます。

音楽の主役はもちろんアーティストです…歌い、演奏し、表現するのはやはり彼らです。

でも、レコードジャケットやレーベルに記載されているクレジットをじっくり見ていくと、同じ名前のプロデューサーが別のアーティストのヒット曲にも並んでいるってケースが少なくありません。

そして不思議なコトに、そのプロデューサーが関わっている曲は、どれも「似た雰囲気」がする。

で、思ったんですよ…。

「もしかして、このヒットはプロデューサーが生んだのでは?」

今回はそんな“アーティストとは別のもう1人の主役であるプロデューサーについて整理してみたい。


プロデューサーって何をしている人?

フダン音楽を聴いていると、アーティスト名は覚えていてもプロデューサー名までは意識しないコトが多いと思うんですよね。

でも楽曲の制作現場では、プロデューサーはかなり重要な存在です。

例えるなら映画の監督であったりスポーツのコーチみたいな存在ですね。

アーティストがフツフツと内側から湧き上がる衝動を持つ存在だとすれば、プロデューサーは外側からその衝動を整理し、カタチにする人みたいな役割ですね。

テンポを変える。
キーを下げる。
サビをもう一度作らせる。
不要なパートを削る。

場合によってはバックミュージシャンの選定やスタジオの選択まで決めたりすることもあります。

つまり「この曲をどう完成させるか」の最終責任を負うのがプロデューサーという立場になります。


12インチ文化とプロデューサー

当店が扱っている12インチシングルの世界では、プロデューサーの存在は特に重要だったりします。

もうゼッタイに無視できない存在ですね。

70〜80年代のDiscoやPost Discoの時代は、12インチはDJのためのフォーマットでした。

長いイントロ、ブレイク、ダブミックスにさまざまなリミックス…。
これらは決して偶然生まれたものではありません。

フロアを知るプロデューサーが緻密に設計しているワケです。

同じアーティストでも、プロデューサーが違うとまるで別物のサウンドになります。

だから商品札に「◯◯がプロデュース!」と書くだけで、それはブランドになるんですよね。

実際、お客さんとの会話でも

「このアーティストが好きだったんですケド、実はプロデュースしている◯◯の曲が好きだったみたいです。」

コレって、本当に多いんですよね〜。

つまり聴き手であるリスナーは無意識に「プロデューサーの色」を聴いているとも言えますよね。


衝突が生む名盤

自己表現の塊のようなアーティストと、客観的に作品を整えるプロデューサー。

この関係は時に衝突します。

でも面白いのは、その衝突が名盤を生むことがあるというコトでしょう。

やっぱりアーティストって結構、感情で進みたがるトコロってあると思うんですよ。
だけどプロデューサーは完成度で止める。

この緊張感が、余分なものを削ぎ落とし、核心だけを残すみたいな効果があるようです。

一方で、衝突が悪い方向に進むとどうなるか…。

方向性が定まらず、ドッチつかずのボンヤリした作品になっちゃうみたいですね。
また場合によってはヒットの再現を狙いすぎて、前作の劣化コピーになる…このケースもよくありますよね。
時には音が整いすぎてそのアーティストの躍動感や生命感が損なわれるコトもあったりします。

ん〜成功と失敗は紙一重ってカンジですね。


なぜセルフプロデュースが増えたのか?

イロイロ調べてみるとどうやら90年代以降、セルフプロデュース志向が強まったようです。

楽曲制作における環境やテクノロジーの進化で、自宅で録音できるようになったコトも大きいようですね。

でもそれ以上に、

「自分の物語を自分でコントロールしたい」

ってアーティスト自身の欲求が強くなったんじゃないかなって思います。

80年代はヒット工場型のプロダクションが強く、アーティストの個性が均質化することもあったようです。

その反動として、DIY精神や自主制作文化が広がったみたいな流れでしょうね。

ただし、セルフプロデュースが必ずしも正解ではないっていうコトもあります。

やはり外部の耳が入らないと、客観性を失うコトもあるようですね。

結局はバランスなのかもしれません。


プロデューサーで聴く音楽

コレまでアーティスト名で曲を探していた人にオススメのレコードの探しかたのご提案。

次はプロデューサー名で探してみてはどうでしょうか。

同じプロデューサーが手掛けた別アーティストの曲を聴くと、音の共通点っていうのが結構が見えてくるんですよ。

Next Recordsのオンラインサイトでは各レコードにタグを付けているので気になるプロデューサー名のタグをクリックして、横断的に試聴してみてください。

きっと「あ〜ナルホドね〜」と思う瞬間があると思いますよ。


レコードは設計思想の結晶

アナログレコードの面白さは、クレジットが物理的に残るコトでもあります。

ジャケットを裏返し、小さな文字を読んでみるとそこに制作の痕跡があるワケです。

ストリーミングでは見逃しがちな情報が、12インチシングルにはガッツリと刻まれています。

当店では店頭に並んでいる商品札にそういったプロデューサー名をキッチリ記載しています。
コレって単なる情報ではなく、その曲の設計思想としてとても大切な情報だと思うんですよね〜。


調べれば調べるホド、プロデューサーの役割は想像以上に大きいってコトがよく解ります。

メチャヒットした曲も、もし別のプロデューサーだったら全然違う結果になっていたかもしれないですしね。

でも主役はやっぱりアーティストです。

プロデューサーはあくまでも影の設計者という存在です。

この関係が面白いですよね。


だけど音楽はアーティストだけでできているワケではないっていうのがよく解ります。

その背後にいるプロデューサー、エンジニア、バックミュージシャン。

特にプロデューサーは、楽曲の方向性を決める極めて重要な存在です。

次にレコードを手に取ったら、ぜひクレジットを見てみてほしいなぁ〜って思います。

そして、
「このプロデューサーが関わっているなら間違いないっ!」

そんなお気に入りの名前をゼヒ、見つけてほしいですね。

タブン、音楽の聴き方が少しだけ変わると思いますよ


店頭でもオンラインでも、ぜひプロデューサーという視点でレコードを探してみてください。

音楽は、もっと面白くなると思いますよっ!


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オイラは毎日、店頭に並んでいる12インチシングルの中から1枚を選んで、Instagramにレコメンド記事を投稿しています。
紹介する曲の背景やそのアーティストのプロフィールとかをウィキペディアや公式サイト等で調べて、自分なりの解釈を交えながら紹介する時間は、正直いって結構まぁまぁ楽しかったりします。

で、調べ物をする中で、フト気づいたコトがあります。

「アレ?この曲ってカバーだったのか…」って。

しかも、そういうケースってホントに多いんですよね。

まぁ〜オイラの浅い音楽知識では、そういうのも仕方がナイのですが…(笑)

で、思ったんですよ…表現者であるプロのアーティストが、どうして他人の曲を歌うのだろうって。
アルバムの1曲として収録するならまだしも、シングルカットされている場合も少なくないんですよね〜アーティストにとってシングルってのは、セールスの顔でもあるワケですよ、そうイミではいわば勝負曲だとも言えます。

なのにどうして、他人が作った曲 & 物語を自分の代表曲にするのか…。

今回は、そんな疑問を出発点に、カバー曲についてオイラなりにじっくりと考えてみたいと思います。


なぜプロはカバーするのか?

最初は単純に、商業的な理由だと思っていたんですよね。

すでに知名度のある曲をカバーすれば、元曲の認知度に乗っかるコトができるしね。

レコード会社の戦略としては、カバー曲をリリースするコトってアル意味で合理的な判断だともいえます。

新人アーティストがヒット曲をカバーして注目を集める例は枚挙にいとまがないですよね。

でも、それだけなんでしょうかね〜。

オイラはレコードを眺めながら、もう少し深い理由があるのではないかとカンジるようになったワケです。

まず前提として、アーティスト・ミュージシャンにはいくつかのタイプがいると思います。

自分で曲を書くソングライター型。
歌や演奏で楽曲を最大限に輝かせるパフォーマー型。
そして、その両方を兼ねるタイプ。

プロの世界では、「自作曲でなければ価値がない」という考え方は必ずしも主流ではないと思います。

むしろ「この曲を最も輝かせられるのは誰か」という視点の方が重要になるコトも多いんじゃないでしょうか。

音楽は「創る」芸術であると同時に、「解釈する」芸術でもあると思います。

例えばJazzのスタンダードを思い浮かべてみると、同じ曲を何十人ものミュージシャンが演奏しています。でも、どれも同じにはならないですよね。

テンポ、フレージング、音色、グルーヴ…そこに宿るのは、その曲をプレイしている演奏者の人生そのものです。

カバーとは、他人の曲を借りる行為ではなくって「自分のフィルターを通して語り直す」行為なのかもしれないって思ったワケです。

そしてもうひとつ、カバーはリスペクトでもあるとも言えます。

個人的には音楽は系譜だと思っているんですよね。
例えばSoulはゴスペルから、RockはBluesから、HipHopはSoulやFunkから生まれたワケです。

好きだから歌う。
影響を受けたから弾く。

それは継承であり、対話でもあると思うんですよね。

ちょっとロマンチックな言い方だと「カバー曲は、過去と現在をつなぐ橋」なんじゃないかなってレコード棚を整理しながら時々思ったりするワケです。


シングルという「勝負のフォーマット」

Next Recordsは12インチシングル専門のレコード店です。
シングルは、アーティストの名刺のような存在だとも言えます。

特にダンスミュージックの世界では、12インチは武器でもあります。
フロアでどう鳴るか、どう身体を動かすか…それが全てみたいなトコロってありますからね。

そんなフォーマットでカバーを出すというコトは、「この曲で勝負するっ!」という宣言に近いですよね。

アーティスト的にはココには葛藤もあるハズです。

他人の曲をやることへの抵抗。
オリジナルとの比較。
ファンからの評価。

それでもカバーを選ぶのは、その曲を「自分のモノにできる」と確信した瞬間なのじゃないかな。

そういった考えだと、元曲を聴いて「確かにこの曲、イイ曲だけどもっとこうすれば更にカッコよくなるんじゃないかな」とか思ったりするんでしょうね。

で、表現者の性分として自分の思うようなスタイルでこの曲をカバーする…で出来上がったカバー曲のを多くの人に聴いてもらいたくなる…「よしっ!シングルカットしてオレのカバー曲で勝負してやるっ!」みたいなカンジになるのかもしれませんね〜まぁ、かなり妄想が入っていますが(笑)


カバーがオリジナルを超える瞬間

では、カバーがオリジナルを超えるコトはあるのだろうか。

コレね〜結構多くあると思うんですよね。

ただし、超えるとは「売れた」という意味では決してありません。
曲の「意味」が更新されるコトだという解釈です。

同じメロディ、同じ歌詞でも、歌う人が変わればその物語は変わる…みたいなカンジです。

例えば男性目線のラブソングが、女性の視点で歌われた瞬間、その曲は別のメッセージを帯びてきます。

ジャンルが変われば、身体性も変わる。
ホッコリ和やかなFolkがキレキレのRockになり、しっとりと聴かせるバラードがエモーショナルなHouseになる。

ダンスフロアで鳴った瞬間、それまで静かに聴かれていた曲が踊れる曲に変わるみたいなイメージですね。

12インチ文化は、この「更新」を加速させたフォーマットだとも言えます。

ロングバージョン、ダブミックス、リミックス。
原曲を素材に、再構築する…これはコピーではなくって新たな再解釈であるワケです。

「カバーは、慣れ親しんだ物語を、別の語り部が語るようなものですよ」ってよく店頭でお客様に言ったりしています。

その曲の結末は知っている…でも、語り口が違えば、感動はまったく別モノのように変わる。


時代の鏡としてのカバー

カバーを聴き比べると、面白い発見に気が付きます。

同じ曲なのに、
70年代は生音主体、
80年代はシンセが前に出て、
90年代はビートが太くなる。

音の質感は、時代の鏡でもあるワケです。

個人的にはこれを「時間旅行」的感覚だと思っている。

ある曲のカバーをキッカケに元曲へ遡る、さらにその曲のルーツを辿るみたいカンジですね。

レコードは、音楽の歴史の地層みたいなものかもしれませんね〜。


カバーは葛藤の産物でもある

それでも、表現者としての葛藤はやっぱりアルんじゃないかな〜。

他人の曲をやることへの違和感や比較される怖さみたいなトコロってありますからね。

でも逆に言えば、オリジナルがあるからこそ、カバーは丸裸になるとも言えます。

そういったイミでは言い訳ができないワケです。

アーティスト的にはそこに覚悟があるのかもしれませんね。

だからこそ、カバーが成功したときの輝きは結構強いんじゃないかな。


レコード屋として思うコト

オイラの店には、オリジナルの元曲のレコードもあれば、カバーのレコードも扱っています。

同じ曲だけど市場価値はまったく違うんですよね。
でも音楽的価値はホント単純ではないですよね。

元曲を知らなかったお客様が、カバーから入ってルーツを辿る姿なんかを見ると、音楽の面白さを改めてカンジるワケです。

元曲とはジャンルや音色が全然違っていてもカバーは新たにその曲を聴く人たちの入口になるってコトも多いですしね。

そして時には、元曲よりもその人の人生に深く刺さるコトもあったりしますしね。

それって、スゴいコトじゃないですか。


次にカバーを聴くときは

次にカバー曲を耳にしたときに「どうしてこのアーティストは、この曲をカバーしたんだろう?」って少しだけ考えてみてください。

ヒット曲だから?
尊敬する先達へのオマージュ?
それとも、今の時代にこの歌詞を投げかける意味を感じたから?

背景を想像するだけで、その曲は一段と立体的になると思うんですよね。

で、オイラがぜひオススメしたいのは、聴き比べるコトです。

元曲とカバーを続けて聴いてみると、不思議なホド違いが浮かび上がってくる。

テンポは速いのか遅いのか。
キーは変わっているか。
イントロはアレンジの仕方。
ドラムは生か打ち込みか。
ベースラインは強調されているか。

特に12インチシングルの場合、ロングイントロやブレイクの処理、ビートの抜き差し、空間の使い方に、そのアーティストやリミキサーの美学が明確に出てきますよね。

「あ、この人はフロアで鳴らすコトを前提に再構築しているな」とか、
「原曲のメロディを残しながら、グルーヴだけを今っぽくしているな」とか。

そうやって耳を澄ませていくと、カバーは「答え合わせ」ではなく、「解釈の比較」になると思います。

そしてもうひとつ面白いのは、声の違いです。

同じ歌詞でも、
ささやくように歌うのか、
叫ぶように歌うのか、
淡々と語るのか。

声の質感、息遣い、間の取り方で、曲の物語はまるで違う方向へ進んでゆきます。

カバーは、慣れ親しんだ物語を、別の語り部が語ってくれるようなモノですからね。

さらに一歩踏み込むなら、「このカバーが出た時代」を想像してみるのも楽しいと思いますよ。

70年代の温かい生音。
80年代のシンセの煌めき。
90年代の太いビート。
2000年代以降の洗練された音圧。

同じ曲が、時代というフィルターを通してガラリと姿を変えるワケです。
ホント、カバーは時代の鏡でもあるってコトがよく判ります。

そして、最後にもうひとつ。

カバーから元曲へ、さらにそのルーツへと遡っていくコトもイイですよ。

「あ、このコード進行、もっと古い曲にも使われているな」
「このメロディ、Jazz由来だな」なんてカンジで掘っていくと、音楽は一本の線ではなく、巨大な樹のように枝分かれしているコトが判ってきます。


レコードは、そういう聴き方ができるメディアだと思うんですよね。

レコードプレーヤーの前に立ってレコード盤に針を落とすという行為は、音楽に真正面からストレートに向き合うというコトでもありますからね。



元曲は無名でカバーで世界的ヒットになった有名曲

ココまでカバー曲についてイロイロ書いてきましたが、じゃあカバー曲で元曲はソレホド有名じゃなかったのにカバーされたコトで世界中に知れ渡るコトになった曲ってナニ?って言うのが気になったので調べてみました。


Whitney Houston / I Will Always Love You (1992)



原曲:Dolly Parton / / I Will Always Love You (1974)



コレは、調べる前から「タブン、このカバー曲だろうな〜」って思っていた通りでした。

原曲は Dolly Parton が1974年に発表したカントリー・バラードです。
恋人への歌ではなく、当時のプロデューサーでありビジネスパートナーとの決別に際して書かれた曲だったそうです。

原曲は素朴で温かく、アコースティック主体であくまで「私的な手紙」のような楽曲です。

実は当初、映画の主題歌候補は別の楽曲だったそうです。
しかし権利の問題などで使用できなくなり、代替案を探していたトコロ、俳優のケヴィン・コスナーがDolly Partonの曲を提案したとされています。


やはりこの曲はプロデューサーの David Foster による大胆なアレンジの刷新がWhitney Houstonの圧倒的なヴォーカルワークと見事にハマったんでしょうね。

ちなみにWhitney Houstonのカバーが世界的にヒットしたコトで原曲を歌ったDolly Partonは嫉妬どころか、誇りに思っていたと言われてます。

Whitney Houston版の成功により、Dolly Parton自身の印税収入も大きく増えましたがDolly Partonはそれ以上に、「私の曲が新しい世代に届いた」というコトをとても喜んでいたそうです。

ここにカバー文化の理想形があると思うんですよね〜オリジナルへのリスペクト…そして原作者の祝福。


BLACKNUSS feat. NAI-JEE-RIA / THINKING OF YOU
BLACKNUSS feat. NAI-JEE-RIA / THINKING OF YOU の試聴
next recordsのサイトでBLACKNUSSのレコードを探してみる

オイラは今日も、インスタグラムへ紹介記事を投稿するために店頭から12インチを1枚選んでいます。

それがオリジナルであれ、カバーであれ、そこに宿る解釈を感じながらね。

今度、Next Recordsに来ていただいた時にカバー曲に思いを馳せながらレコード棚を覗いてみてください。

きっと、新しい物語に出会えると思いますよ。

店頭在庫のカバー曲はコチラのリンクからチェックできますよ!



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stephaniem_youcantrun_uk
少し前、ソニーがブルーレイレコーダーの生産を終了するというニュースを目にしました。

DVDの完全上位互換として登場したブルーレイ…より高解像度で、より長時間録画ができる記録メディアの発表当時は「ついにココまで来たかっ!」と素直に思ったんですよね。

時期的には2004〜5年頃ですね、家電量販店のイチバン良い売り場を大型液晶テレビと並んでブルーレイ・レコーダーは並んで売られていたのを覚えています。

時代は高精細へ向かい、家庭の映像体験はドンドン進化していく…そんな未来をカンジさせる存在だったと思います。

けれど、その勢いは想像以上に短かったようです。

登場直後はあれほど盛り上がったのに、気がつけばストリーミング配信に主役の座を奪われたってカンジですね〜ナンていうかその移り変わりの速さに正直驚きました。

このニュースをキッカケに、ひとつの疑問が頭に浮かんだんですよ。

記録メディアはナゼ消えていくのか…。
そして、なぜアナログレコードだけが、いまだに残り、しかもココ数年は再評価までされているのかって。

今回はそんなコトを、このブログを読んでくれるレコードが好きな人たちと一緒に考えてみたいなぁ〜って思います。


記録メディアの歴史は「上位互換」の歴史だった

音楽も映像も、その歴史を振り返ると、実はとてもわかりやすい構造をしていまよすね。

新しい技術が生まれるたびに、それまでのメディアは置き換えられてきました。

SP盤からLPへ。
カセットからCDへ。
CDからMP3へ。
そしてストリーミングへ、みたいなカンジです。

映像で言えば、VHSからDVD、DVDからブルーレイ、そして配信へ。

そこには明確な共通項がありますよね、新しいメディアは常に、より高音質・高画質であり、より小型で、より長時間収録ができ、より扱いやすく、より便利な方向へ向かってゆく。

技術革新は「効率」を軸に進化してきたと言ってイイと思います。

ブルーレイもその流れの中にありますよね、DVDよりも高精細で、容量も大きい…技術的には明らかに優れています。

しかし、ストリーミングというさらに便利な形態が現れた瞬間、その優位性はイッキに色あせてしまいました。

これは決してブルーレイが劣っていたワケではないですよね〜むしろ優れていたと思います。

ただ、より効率的な仕組みによって役割を終えただけってコトなのでしょうね。

この構図を見ると、ひとつの前提が浮かび上がってきます。

記録メディアは常に、上位互換に置き換えられてきたという歴史があります。

だとすれば、なぜレコードだけが例外なのだろうって。


初めて音楽を「所有」した日の記憶

オイラが初めて音楽を所有したメディアは、アナログレコードでした。

子供にとってレコードは決して安いものではなかったです。それでも、自分の好きな曲を自分の意思で、好きな時に再生出来ちゃうという体験は、それまでのラジオやテレビとはまったく違うものだったんですよね。

好きな曲がラジオではいつ流れるかわからないしテレビも同じです…エアプレイされるのを待つしかない。偶然に頼るしかない。レコードを手にするコトによってその世界から、自分で音楽を再生する世界を体験できるワケです。

ターンテーブルに盤を置き、アームを持ち上げ、針を落とす。わずかなノイズのあとに音楽がグワッ!っと立ち上がる。その瞬間の高揚感は今でもハッキリ覚えているくらいインパクトがありました。

そしてナニよりも、自分の棚にレコードが増えていく感覚…この好きな曲がモノとしてそこにあるという安心感は子供ながらに、コレクション欲がメチャ刺激されました。

「所有する」という行為は、音楽体験を何倍にも濃くしてくれたワケです。


CD時代にも消えなかった感覚

CDが主流になり、レコードのリリースが減っていった時代はやっぱり寂しさはありましたね。

でも不思議と、レコードが完全になくなるとは思わなかったんですよ。

当時のオイラは12インチシングルに強く惹かれていました。DJ文化と結びついた12インチシングルは、単なる音源ではなく、現場で鳴らすためのフォーマットだったワケです。

音圧、溝の深さ、ミックスの構造…そこにはCDとは違う文脈があったんですよね。

2000年以降、DJの現場がデジタルへと移行した時は、サスガに時代の大きな転換をカンジましたね。

それでも過去の名作は中古市場に残り、誰かの棚で生き続けていたワケです。

レコードは生産が止まっても、存在は消えない。そこが他のメディアとは少し違っていたのかもしれないですね。


レコードの「存在感」という価値

オイラがレコードに最も価値をカンジているのは、その存在感だと思うんです。

何十年も前にプレスされたオリジナル盤、ちょっと色褪せたジャケット、角の丸みや盤面に刻まれた微細な傷…そのすべてがその盤が辿ってきた時間を語っているワケです。

同じアートワークでも、再発盤ではこの味わいは出ないと思うんですよね〜不思議なものだけど、オリジナル盤には当時の空気が宿っているとカンジる瞬間が結構あるんですよね。

レコードは単なる音の容れ物ではなくって時間を封じ込めた物体みたいなイメージかなぁ。

ストリーミングで同じ曲を聴くコトはできる、音は同じかもしれない。でも、その曲が生まれた時代の空気までは再生されないって思うんですよ。

レコードは音楽と同時に、その時代の物語を再生するって感覚があるんですよね。


不便さが生む集中

現代は常に急かされているって感じるコトがあります。倍速視聴、タイパ、短尺動画…情報はドドドドっ〜て無限に流れ込み、次から次へと更新されてゆきます。

そんな世界でレコードを聴くという行為は、少し異質ですよね〜盤をセットし、針を落とし、A面が終わるまで耳を傾ける、途中で簡単にスキップはできないし曲順も変えられない。

その不便さが、音楽と向き合う時間を強制するんですよね。

この融通の効かないトコロから「レコードは時間を取り戻す装置」なんじゃないかなってって個人的には思うんですよ。

効率の世界から一歩外れて自分のペースで音楽を味わう、その贅沢さが今の時代に逆にフィットしているんじゃんないのかな。


店に来る人が求めているもの

今や多くの購買行為はインターネット経由となっていますよね〜それでも、時間と手間をかけてわざわざレコード店に足を運ぶ人がいます。しかもデジタルネイティブと呼ばれる若い世代の人たちがです。

これは単に音楽メディアを買いに来ているワケではないとカンジているんですよ。

当店では、お客さんの雰囲気や会話から好みを感じ取ってソレとなくその人が好きそうな曲を店内でプレイするコトがよくあります。その一期一会の出会いでレコードを購入していただくコトも少なくないんですよね。

アルゴリズムではなく、人の感覚によるキュレーションみたいなカンジですね。

レコード棚から盤を手に取り、ジャケットを眺め、音を聴き、会話をする。その体験そのものが、レコード店でしか得られない価値になっているっていう部分があるような気がします。


Next Recordsではナニを売っているのか

これまでオイラは、音楽が記録されたレコードを販売していると思っていたんですよね〜まぁ〜実際にレコードを売っているワケですが(笑)

でも最近は少し違う要素もレコードと一緒に販売しているんじゃないかなぁって気がしています。

オリジナル盤だけを扱い、12インチシングルに特化し、自分なりの視点でキュレーションする…そこには単なる商品以上の意味やコダワリがあります。

お客さんはレコードを買うと同時に、自分の時間を買っているのかもしれない…あるいは、自分の物語の一部を手に入れているのかもしれないって感じるんですよね。

レコードは効率のメディアではない、だからこそ、意味のメディアとして残っているんじゃないかなって。


本当の競合は「時間の奪い合い」

レコード店経営者としてカンジているのは、レコード店の本当の競合は他のレコード店ではないんじゃないかなってっていうコトです。

最大の競合は、時間を奪うあらゆるモノだと思うんですよ。

SNS、動画配信、ストリーミング…今って人の注意力は常に分断されて引き裂かれていると思います、でレコードを楽しむには、その人のココロの余裕が必要なワケです。

だからこそレコードは残っているんじゃないかなって…効率を求める世界の中で、あえて非効率を選ぶ人は必ずいますからね。

レコードは決してメインストリームにはならないでしょう〜でも、一定の規模で支持され続けるとは思うんですよね。

デジタルとアナログを行き来するハイブリッドなライフスタイルの中で、バランスを取る存在としてレコードが残るってカンジかもしれません。


レコードは人生そのもの

ブルーレイは衰退しました、それは技術の進化の中で自然なコトだと思います。

でもレコードは残った、性能で勝ったのではなくって意味で残った。

オイラにとってレコードとは何かってコトを時々考えるんですよね〜仰々しいですが(笑)

能書き的なコトはイロイロあるのですが端的に一言で言えば、人生そのものかなっていうトコロに行き着くんですよね。

傷がつき、味が出て、時間と共に深みを増す…回り続けながら音を刻み、誰かの記憶と結びつく…ん〜ちょっとポエミーですが(笑)


STEPHANIE MILLS / YOU CAN'T RUN FROM MY LOVE
STEPHANIE MILLS / YOU CAN'T RUN FROM MY LOVE の試聴
next recordsのサイトでSTEPHANIE MILLSのレコードを探してみる

この記事を読んでただ音楽を聴くだけではなく、音楽と向き合う時間を持ちたいと思ったならゼヒ、レコード店を訪れて見てください。そしてお気に入りのレコードを探してみてください。
ソコからそのレコードとあなたの物語が記録されてゆくと思いますよ。

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