
渋谷の小さなレコード店が越境ECと向き合った1年間
オイラは渋谷でオリジナル盤12インチシングル専門の中古レコード店を営んでいます。
気が付けばこの渋谷という街でレコード屋を始めて26年が経ちました。
ネット通販も20年以上続けています。
昔は、お目当てのレコードを探すためにレコード屋を何軒もハシゴして巡るのが当たり前でしたが、今ではスマホひとつで世界中のレコードが探せる時代になりました。
当店もそんな時代の変化に合わせながら、店頭販売だけでなくネット通販にもチカラを入れてきました。
ありがたいことに国内向けの通販は多くのお客様に利用していただけるようになり、小さなレコード店ながら全国のお客様にレコードを届けられるようになりました。
トコロがひとつだけ大きな課題がありました。
それが海外への販売です。
実店舗には毎日のように外国人のお客様が来店してくれます。
今では売上の半分以上を海外からのお客様が占めることも珍しくありません。
アメリカ、イギリス、オーストラリア、フランス、ドイツ、シンガポール、韓国…。
世界中のレコード好き、特に12インチシングル好きが渋谷の小さなレコード店であるNext Recordsに足を運んでくれています。
それなのにネット通販では海外からホトンド注文が来ない。
この不思議な状況を何とかしたい。
そんな思いから昨年、本格的な越境ECをスタートさせました。
その時、投稿したブログ記事はコチラ
世界中にレコードを通販したい!目指せ越境EC化っ!
「これならいけるかもしれない」と思っていた
正直に言えば、オイラは越境ECにかなり期待していました。
モチロン、そう簡単ではナイとは思っていましたよ。
だけど実店舗には海外のお客様がたくさん来てくれている & インスタグラムでも海外のフォロワーが増えている。
だから少なくとも毎月ある程度の注文は入るだろうなぁ〜と思っていたのです。
海外のお客様が日本のレコード店へ注文した場合、送料が高いコトも理解しています。
だから1枚だけの注文ではなく、送料の負担を分散させるために何枚かまとめて購入してくれるのではないかなぁ〜って都合のイイ事を考えていました。
最初の1年は大きく儲けようというより、
「まずは海外のお客様に認知してもらおうっ!」
そんな気持ちでした。
トコロが現実は予想とはまったく違いました。
オーストラリアから届いた最初の注文
まぁ〜そうはいってもそれでもスタート直後は期待に胸を膨らませていたんですよね。
ナゼならサービス開始直後にオーストラリアから結構まとまった枚数の注文が入ったからです。
今でも鮮明に覚えていますよ。
20枚以上のレコードをまとめて購入していただき、金額もかなり大きなものでした。
その注文を見た時、
「あ、本当に海外でも売れるんだっ!」って思いました。
実店舗で外国人のお客様が増えている実感はありましたが、それがネット通販でも証明された瞬間でした。
そしてオイラはこう思いました。
「コレは、もしかして思ったより早く軌道に乗るかもしれないなぁ〜」
トコロが現実はそんなに甘くありませんでした。
期待のあとにやってきた長い停滞
しかし最初の注文以降、実際は思ったように売上は伸びませんでした。
ホント、注文がまったく入らない。
だけど海外からのアクセスはそこそこある。
でも売れない。
その状態が何ヶ月も続いたんですよね…ん〜コレは、正直辛かった…。
売れないコト自体も辛いのですが、それ以上に辛かったのはナンで売れないのかっていう理由が分からないコトなんですよね。
店頭なら分かりますよ。
お客様の表情を見ればナンとなく興味を持っているか分かるし、ハナシをすればナニを探しているかも分かる。
でもネット通販は違うんですよ。
世界中の誰かがサイトを見ている。
だけど何を考えているのか分からない。
ナンで買ってもらえないのかも分からない。
オイラは手探りの状態でサイトをイロイロ修正しました。
説明文を変えたり、翻訳を見直したり、配送方法を調べたり、ホント自分なりに出来る色々なコトを試しました。
しかし目に見える成果は出ませんでした。
英語でレコードを紹介し続けた日々
そんな中でも続けたコトがあります。
インスタグラムで英語のレコメンドを毎日書いて投稿するコトです。
正直、ものすごく手間がかかります。
しかも始めた当初はホトンド反応がありませんでした。
「こんなコトやってホント意味あるのかな?」
そう思ったコトが何度もあります。
だけどオイラは、いつか、ドコかでこの努力は報われるという気持ちで続けました。
やはりレコードの魅力は国境を越えると思っていたからなんですよね。
Houseも。
Discoも。
R&Bも。
HipHopも。
そしてオイラが大好きな12インチシングルも…。
良い音楽は世界共通です、その証拠に毎日世界中から様々な国籍のお客さんが店頭に訪れてレコードを買ってくれますからね〜ホント、それだけを信じて投稿し続けていました。
で、半年ホド経った頃から少しずつ変化が出始めたんですよね。
海外から問い合わせがポロポロ来るようになったのです。
オイラがインスタグラムで紹介したレコードを「このレコードは購入できますか?」とか「海外発送できますか?」なんていうメッセージが届くようになったんですよね
で、実際に購入につながったこともありました。
その時初めて、「見えないトコロでちゃんと読まれていたんだな〜」と実感しました。
だけど、越境ECを開始した当初目標としていた注文数にはまだまだゼンゼン達成出来ずにいました。
一本の営業電話が転機になった
そんなある日、一本の営業電話がお店にかかってきました。
相手は海外向けの購入代行サービスを行っている会社でした。
海外のお客様が日本の商品を購入する際に間に入って購入や発送を代行してくれるというサービスです。
以前からそういったサービスの存在は知っていました。
ヤフオクやメルカリでレコードを売買している知人からも、
「最近は購入代行経由でレコードを買う海外ユーザーが増えているんだよ」っていうハナシを聞いていましたからね。
だからオイラも少し興味がありました。
もしかしたらそういうサービスを利用すれば海外のお客様からの注文が増えるのではないか…って。
今の停滞している状況を打破できるのではないかって、そんな期待も少しありました。
トコロが営業さんのハナシを詳しく聞いてみると、オイラが思い描いていたものとはちょっと違っていたんですよね。
オイラは勝手に、
「その購入代行会社がたくさんの海外ユーザーを集めて当店のオンラインショッピングサイトへ送客してくれるのではないか」
と思っていたのです。
しかし営業さんの説明では実際には集客の主体はあくまで自分自身つまり当店の集客力にかかっているというワケです。
購入代行サービスは海外のお客様が購入しやすくする仕組みであって、お客様そのものを連れてきてくれるワケではありませんでした。
電話を切ったあと、
「ナルホドなぁ…」って思いました。
利用する価値がないというハナシではありません。
ただオイラが抱えている問題の本質はそこではナイような気がしたのです。
そしてその時、フト思ったんですよね。
もしかすると今のオイラに必要なのは新しい販路を探すコトではなく、自分のECサイトをもっと深く知るコトなんじゃないだろうかって。
店主は本当にサイトを理解しているのか?
前記しましたがオイラは20年以上ネット通販をやっています。
コレまで様々な経験を経ているのでネット通販に関してはそれなりの知見があると自負していました。
だから正直なトコロ、
「自分のサイトのコトは、自分がイチバンよく知っている」って思っていたんですよね。
どんな商品が売れるか。
どういったタイプのお客さんが買うか。
どういうレコードが今は人気なのか。
20年以上の現場で積んだ経験があるのでそれなりに理解しているつもりでした。
トコロが越境ECだけはどうも上手くいかないんですよ。
アクセス解析を見ても、
訪問者数
閲覧数
購入率
などの数字はメチャ詳細に記録されていて表示されます。
しかし数字が分かったトコロで、
「じゃあ何を改善すればイイのか」ってコトが分からない。
数字は見える、でもその数字の裏側にはどんなイミがあるのかが分からない。
ホント、そんな状態でした。
そこでオイラは、Shopify(当店が使っているショッピングカートサービス)のバックエンドに組み込まれているAIに質問してみることにしました。
ま〜たまにちょっとして手直しに使う程度でソレホドガッツリと使ったコトがなかった機能です。
正直、最初はあまり期待していませんでした。
せいぜい数字を集計してくれる程度だろうと思っていました。
トコロが、そこから予想もしなかった発見が始まったのです。
一番の誤算は「人が来ていないワケではなかった」こと
オイラはずっと「海外からのアクセスが少ないんだろうな…」って思っていました。
だからインスタグラムを頑張った。
英語の投稿も頑張った。
もっと見てもらわなければ…もっと当店の存在を知ってもらわなければってそう思っていました。
トコロが分析結果を見て驚きました。
オイラが思った以上に思った以上に世界中からアクセスがあったんですよ。
アメリカ。
オーストラリア。
シンガポール。
台湾。
韓国。
ヨーロッパ各国。
オイラが想像していた以上に多くの人がNext Recordsを見つけてくれていました。
しかもただ見ているだけではありません。
商品ページを何ページも閲覧し、レコードをカートに入れている人までいる。
コレは本当に意外でした。
問題は集客不足ではなかったのです。
台湾という予想外の発見
さらに驚いたことがありました。
オイラはオーストラリアに強い印象を持っていました。
実店舗でもオーストラリアからのお客様は本当にメチャ多いんですよね。
通販でも最初の注文はオーストラリアからでした。
だから当然、当店のECサイトでも海外からのアクセスがイチバン多いのもオーストラリアだと思っていました。
トコロが分析すると、別の国が浮かび上がってきたんですよね
それが台湾なんですよ。
台湾からのアクセスが想像以上に多く、しかも商品ページをかなりシッカリと見てくれている。
中には長時間滞在しているユーザーもいました。
さらに驚いたのは、気になったレコードをカートにまで入れている人が結構たくさんいたコトです。
だけど、最後の購入には至らない。
あと一歩のトコロで離脱してしまうといういわゆる「カート落ち」が多数起きているようでした。
これはオイラにとって大きな発見でした。
ナゼなら、
「誰も興味を持っていない」
のと、
「興味はあるケド買えない」
のでは意味がまったく違うからです。
レコードは普通のEC商品ではない
ここで改めて感じたコトがあります。
レコードは一般的なEC商品とはちょっと違うというコトです。
例えば家電や日用品なら、欲しいものを見つけたら比較して購入する。
比較的シンプルな購買行動です。
でもレコードはそういった一般消費財とは違うんですよね。
特にオリジナル盤の12インチシングルはホトンドが一点物です。
二度と出会えないかもしれない、だから興味を持つ部分があると思います。
でもスグには決められない。
で、カートに入れて考える。
後でまた見に来る。
他のレコードと比較する。
そんな独特の行動を取ります。
オイラ自身もレコードコレクターなので、その気持ちはとてもよく分かります。
だからデータを見ながら、
「ナルホド、みんな同じコトをやっているんだな」って思いました。
数字だけでは見えなかったお客様の行動が少しずつ見えてきたのです。
AIが教えてくれたのは答えではなくヒントだった
面白かったのは、AIが魔法のように答えを教えてくれたワケではないコトです。
むしろ、「ココに問題がありそうですよ」というヒントをくれた。
そんな感覚でした。
送料は分かりやすいだろうか。
海外のお客様は配送方法を理解できるだろうか。
関税の説明は十分だろうか。
商品ページの案内は親切だろうか。
そうした部分を改めて見直すキッカケになったんですよね。
オイラは自分がサイトをイチバン理解していると思っていました。
でも実際には、お客様の行動データを見続けているシステムの方が気付いているコトもあったのです。
これは素直に驚きました。
世界中の誰かに12インチシングルを届けたい
オイラは26年間レコード店を続けています。
その中でずっと思っているコトがあります。
それは12インチシングルの魅力をもっと多くの人に知ってほしいというコトです。
最近はレコード人気が復活しています。
若い人もレコードに興味を持ってくれています。
でも多くの人がイメージするレコードはLPです。
12インチシングルの魅力はまだまだ全然知られていません。
迫力のある音。
深いグルーヴ。
DJ文化から生まれた独特のエディット。
クラブで鳴らすために作られた圧倒的な存在感と音質。
オイラはそういう12インチシングルが大好きなワケです。
だから日本だけでなく、世界中のレコード好きにも12インチシングルの魅力をもっと知ってもらいたい。
その気持ちが越境ECを続けている原動力でもあります。
まだ挑戦の途中
越境ECを始めて1年。
正直に言えば目標は全然達成できていません。
オイラが最初に思い描いていた未来とは違いました。
懸命に取り組んでいる努力が空回りしているように感じたコトもあって途中で嫌になったコトもあります。
でも今回、自分のサイトを深く分析してみて思ったんですよね。
問題はあるし、課題もある…だけど改善すべき点も見えてきたってカンジなんですよね。
それは大きな前進だと思うんですよ。
以前は暗闇の中を手探りで歩いているような感覚だったんですが今はちょっと違います。
進むべき方向が少し見えてきたんですよね。
だから不思議とワクワクしています。
渋谷の小さなレコード店。
世界的な企業と比べれば本当に小さな存在です。
それでも世界中の誰かがNext Recordsのサイトを見てくれてレコードをチェックしている。
そしてお気に入りのレコードをカートに入れて悩んでくれている。
そう思うとやっぱり嬉しくなりますよ。
だけど、ナンかの事情で「ん〜やっぱり買うのヤメよう〜」ってなっているんですよね。
で、オイラの次のシゴトはそういった「買うのをヤメよう」を「やっぱり買おうっ!」ってなるような気持ちさせるにはどうすればイイのかってコトですよね。
まぁ〜国内のネット通販に関してはこの問題はある程度クリアされているので、海外特有の問題を丁寧に解決すればイイんじゃなかかなぁ〜ナンて思っています。
JANET JACKSON / WHAT HAVE YOU DONE FOR ME LATELY
JANET JACKSON / WHAT HAVE YOU DONE FOR ME LATELY の試聴
next recordsのサイトでJANET JACKSONのレコードを探してみる
Next Recordsの越境ECへの挑戦はまだ続きます。
そしていつの日か、世界中のもっと多くの人にオリジナル盤12インチシングルの魅力を届けられたら最高だなと思っています。
Next Recordsではインスタグラムもやっています!
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12インチシングルとは何なのか、その良さをわかりやすく解説したQ&Aもゼヒ参考にしてください。
12インチシングルのFAQ
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