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Resident Advisorというオンラインマガジンに「東京を代表する4店のレコードショップのスタッフが卓を囲み、日本のレコード・ビジネスについて談論。」という特集記事が掲載されたのを興味深く読みました。
というかレコード好きならかなり気になる話題です。
内容をザックリ説明すると、都内のCLUB/DANCE系レコードを扱う新譜・中古レコード店のスタッフが現在のアナログ・レコードビジネスの状況や今後の展望なんかを座談会形式でハナシをするという内容です。
なかなか同業者とザックバランに自分のお店の状況なんかを話し合う機会って意外とナイので結構「他の店では、そうなんだ・・・」ってカンジでした。

昨今、「アナログ・レコードの人気」っていう内容の話題がテレビや新聞、ニュースサイト等の大手のメディアに頻繁に取り上げられていますが、やっぱり今以上に確実に90年代終わりから2000年代前半のほうがレコード人気の度合いはケタ違いに高かったのにその当時は、実際にレコードは爆発的に売れているにも関わらず、今ほど大手のメディアが話題にするコトなんてなかったんですけどね。
ソレが、ナンで今になってちょこっとアナログレコードの売上が上がったくらいで「人気です!」「アナログレコードの良さが見直されています!」みたいなニュースが次々と出てくるのかちょっと疑問に思っていたんですよね。
まぁ~確かに海外ではアナログレコードの人気が高いっていうのは解りますよ。
座談会での記事にも書いていますが、レコード・ストア・デイに限定プレスみたいなプレミア感たっぷりのアイテムをその日にあわせてリリースさせたり等のキャンペーンをレコード会社やアーティストが大々的に仕掛けている影響もあってかアメリカなんかではレコード・ストア・デイ当日にショップの前に長蛇の列が出来てるっていうのをYouTubeなんかで見かけます。
でも、メディアで頻繁に「流行っている!」って言われるほど、レコード店に務めている現場の人間の立場からするとイマイチ実感がナイっていうのがホントなんだよなぁ~ってオイラは感じていたんですよね。
今回の記事でもそういった話題が出てきているのですが、案外他のショップの人達もオイラと同じ様な印象を持っていたので「あ~やっぱりそうなのか・・・」って共感出来る部分が結構ありました。
ロックとか、POPSなんかは、やっぱりメディアが取り上げるくらい人気なんでしょうね~でも、ダンスミュージックなんかはソレ等とは全然事情は違っているんだっていうコトなんでしょう。
確かに大物ロック・アーティストの未発表曲やJ-POPアイドルのアナログレコードが、たくさんリリースされても記事に登場しているショップやウチのお店なんかの営業には関わるコトって全然ナイですからね。

それに今、アナログ・レコードを購入している人っていうにはツールとしての必要性よりもドッチかというとホビーとしてのニーズの方が高いっていうのは、ホントに良く解ります。
記事の中でも新譜のレコード屋さんが言っていますが、レコードをツールとして利用している人も確かにいますが、以前はツールとしてはアナログ・レコード一択だった選択肢がCDやデジタル音源という他の選択肢が増えてるので必ずアナログ・レコードでなくてはイケないという状況ではナイですからね。
もともと、コレクションやホビー目的の人もある程度の比率はあったのですが、アナログレコードをツールとしての利用する人が、かなり大きな比率として占めていたのでその比率が低下したコトによってコレクター&ホビー比率の数字が目立ってきたのかもしれません。
今回の特集に参加しているショップは、disk unionさん以外は新譜メインの販売のレコードショップなのでそういったお店でレコードのツールとしての利用が減るというと売れる枚数が、かなり少なくなっていくのはキビシイ様な気がしますね。
ハナシの中にもありますが、アンセム級の特大ボムなタイトルがあれば、以前であれば、その曲のレコードだけでも数千枚のレコードが売れていたのですが、今はそういったコトはかなり少ないですからね。
売れ残りロスのコトとかを考えると、どうしても仕入れする注文の枚数は渋くなるし、レーベルも今は、アナログレコードのプレミア感を演出する為だったり、在庫をイヤがったりなんかの理由で1タイトルの曲をそんなにたくさんプレスしている様に思えないですからね。

しかし、disk unionさんも言っていましたが今の時代、新譜のレコードを売っているレコード屋さんっていうのは、ホントにスゴいなって思います。
「3枚売っても在庫1枚残ったら儲けが出ない」という状況で絶対にロスが出ないように仕入れをしなきゃイケないナンてものスゴいバイヤーのセンスが問われるんじゃないかなって思います。
しかも、かなりキビシイ円安の状況下で、オマケにレコードのプレス数が少ないことによる1枚単価の値段な高さも相まって全てをクリアにしてはじめて利益を出せるみたいな・・・。
だけど、レコードを購入するお客さんからすれば、今まで、3000円で3枚のレコードが買えたのが、2枚しか買えないって相当イタイですよね。
高い場合だと新譜1枚の店頭での売値が2000円っていうハナシも出てきていますが、 円安になって売値を上げたトコロで、レコード屋の利益率が上がるワケでは決してナイですからね。

「実店舗にとって、自分らのサイトが商売敵になっているような状況もあります。WEB通販で買ってもらうほどお店に来る人は減っているので、その葛藤がありますね。」このコトバ・・・ホントにマジで身にしみます。
next.もマジでコレですよ。
「next.さんにとってのライバルのレコード店ってドコですか?」って店頭で訊かれたら、「ウチのWEB通販です!」ってホントに思います。
店頭にまでお客さんになかなかお越しいただけない状況っていうのは、大勢のお客さんがネット通販に流れちゃっているからなんだろうな~ってカンジます。
そんな中で「オープン当初からずっとお店の方が売り上げが高い状態をキープしてます。」と言っているLight House Recordsさんはスゴいです!
どうやってそういう状況がオープン当初から維持し続けているのか、ホント知りたいです。
Light House Recordsさんの場合、店頭販売は、地理的な要素が絡んでいるので、見方によってはWEB通販の売上の伸びしろがまだまだたくさん残されているんじゃないか?ッて思います。う~んソレはかなり羨ましい・・・。


「では、今後の話をしましょう。レコード・ビジネスは今後どうなっていくと思いますか?また、レコード文化を盛り上げていくために、今後どうするべきだと考えていますか? 」って訊かれたらオイラならどう答えるかなって考えてみました。
ナン十年先とかとなると判らないですが、当分の間はレコードがなくなるっていうコトはナイと思いますね。ある一定数の音楽好きな人のトコロへレコードの良さっていうのは確実にささっていると思うので・・・。
ただマーケットというコトになると、今後は今よりやはり先細っていく感じはあるとは思います。でもソレを悲観的に感じるとかではなくって肯定的に捉えるっていくか、もともとそんなにデカいマーケットではナイと思うんですよ。
好きな人には、キチンと判るというちょっとマニアックな趣味としては、長く残っていくような気がします。
で、ソコで自分の店はナニをすべきか?って考えたらもう、地道にレコードが好きなお客さんが「欲しい!!」って思えるタイトルを確実にお店へ並べて、なお且つ「知名度は高くないけど、スゴくいい曲ですよ!」っていうオススメの曲を提案出来るようなお店作りをするってコトだけじゃないですかね・・・。

コチラは、2015年1月31日のロンドンで行われたレコード・フェアの模様・・・。
ん~こんなカンジで人がモリモリでレコードの入った箱を熱心に掘っていたら「今、レコードってキテるな・・・」ってやっぱり思っちゃいますよね~。
若干年齢層が高いのと、オジサン率が気になりますが・・・w